【事例】福島県須賀川市の部活動地域展開 ─ 市が運営団体となる認定地域クラブ制度・指導者配置基準を国より手厚く設定
・市が運営団体となり、認定地域クラブと認定指導者を市が認定する二層構造の制度設計
・指導者配置は参加26人以下でも2人以上と国基準を上回り、保険料は令和8年度は市が公費負担
・主任指導者1,600円/時間・指導者1,200円/時間という謝礼単価と8段階の運営事務フローを公開
| 自治体名 | 福島県須賀川市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.3万人(2026年1月1日時点:73,103人・27,887世帯) |
| 中学校数 | 10校(中学校9校+義務教育学校1校) |
| 運営形態 | 行政直営(市が運営団体となり、市が認定した「認定地域クラブ」が実施主体) |
| 対象競技 | 準備が整った種目から順次実施(市内中学校で実施している種目および中学校体育連盟等の種目が基本) |
| 保護者負担額 | 金額未公表。ガイドラインで「参加者による費用負担を原則とし、可能な限り低廉な参加費の設定に努める」と規定。令和8年度は保険料を市が公費負担、施設使用料は免除 |
取り組みの概要
福島県須賀川市は、令和8年7月に「須賀川市 中学校休日の部活動地域展開ガイドライン」を策定し、同年9月から休日の認定地域クラブ活動を段階的に開始します。国のガイドラインと「須賀川市立学校における休日の部活動地域移行推進計画」に基づき、休日の地域クラブ活動の基本的な考え方・実施方法・関係者の役割を1冊に整理したものです。
特徴は、市自身が運営団体となる点にあります。ガイドラインは「認定地域クラブ活動は、市が運営団体となり、学校、地域、関係団体、指導者、保護者等が連携して実施します」と明記しており、民間団体に受け皿を委ねるのではなく、市が制度全体の運営・クラブ認定・指導者認定・施設利用調整を担う設計です。
対象は市内の中学校および義務教育学校後期課程に在籍する生徒で、学校部活動への所属の有無にかかわらず希望する生徒が参加できます。ガイドラインは「認定地域クラブ活動への参加を理由として、学校生活において有利又は不利な取扱いを受けることはありません」とも定めています。
並行して、市は令和8年度に部活動指導員を中心とした「休日合同部活動」も実施します。対象はサッカー・バスケットボール・バドミントン・バレーボール・剣道・吹奏楽の6種目で、5月中旬から月1回程度の合同練習を行う計画です。
特徴的な取り組み
- 市が運営団体となる認定地域クラブ制度: 市が「認定地域クラブ」を認定します。認定要件は、クラブ名称を定めていること、活動目的・内容が明確であること、市の認定を受けた認定指導者を2名以上配置していること、代表者および会計担当者を置き責任体制が明確であること、生徒の健全育成を目的とした活動であること、営利を主たる目的としないこと、安全管理・緊急時対応に配慮した活動体制を有すること、の7項目です。
- 国基準を上回る指導者配置基準: 令和8年度実施計画は、参加生徒27人以上で指導者3人以上、1〜26人で2人以上という市独自の配置方針を示しています。国の基準(27人以上で3人以上、13〜26人で2人、5〜12人で1人)と比べ、少人数の活動でも2人以上を求める点が手厚い設計です。活動時は認定指導者のうち1名を主任指導者とし、活動全体を統括する責任者と位置づけます。
- 認定指導者の欠格要件と研修の明文化: 認定指導者には、暴力・暴言・ハラスメント等を行わないことの誓約に加え、拘禁刑以上の刑に処せられその執行が終わっていない者、暴力団等の反社会的勢力に該当する者、過去に暴力・ハラスメント等の不適切な行為または性犯罪歴がある者を認定しないという欠格要件が定められています。市は制度理解・安全管理・救急対応・ハラスメント防止・生徒理解・個人情報保護等の研修を実施し、教員や部活動指導員等の指導経験者は研修の全部または一部を免除できます。
- 時間単価を明示した謝礼と公費負担: 令和8年度予算では、主任指導者1,600円/時間、指導者1,200円/時間として、1回の実施あたり5,000円を認定地域クラブへ支給します。謝礼支払上限人数は参加生徒51人以上で5人、27〜50人で4人、13〜26人で3人、1〜12人で2人です。謝金の額は学校部活動における部活動指導員・地域人材活用の基準に準じたものと明記されています。
- 保険と施設使用料の扱いを制度側で吸収: 認定地域クラブ活動は学校管理下の活動ではないため日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象外となりますが、令和8年度は市が一括して保険加入手続きを行い、保険料は市が公費負担します。施設使用料も免除扱いで、月1回の休日活動を基本としつつ、平日を含め複数回活動する場合も免除されます(謝金の支給対象は月1回分)。
- 申込みから活動報告までの事務フローを8段階で公開: 地域クラブ認定→指導者認定→活動計画書提出→施設予約→参加生徒募集→保険加入→月次活動報告書提出→謝金支払、という8段階の運営事務フローを図解で公開しています。令和8年度は7月13日から地域クラブ・指導者の認定申請を受け付け、活動計画書の提出期限は8月7日、生徒のオンライン申込みは8月25日から9月2日まで、1人1種目のエントリーとされています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 地域クラブ活動は日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象外となり、けがや賠償のリスクが保護者に転嫁される | スポーツ安全保険等への加入を必須とし、令和8年度は市が一括して加入手続きを行い保険料を公費で負担する |
| 少人数の種目では指導者が1人しか確保できず、事故発生時の対応が手薄になる | 参加26人以下でも指導者2人以上という国基準を上回る配置方針を定める。ただし当日指導者が不足した場合は、半数以上の認定指導者とその他のスタッフがいれば活動できる例外も併せて規定する |
| 教員が地域クラブの指導者になると働き方改革の趣旨と矛盾しかねない | 兼職兼業は本人の意思による希望であること、学校業務に支障がないこと、健康状態・勤務状況に十分配慮されていること、校長による事前確認が行われていること、関係法令に適合していること、の5点を教育委員会等が確認したうえで許可する |
| 経済的な理由で参加できない生徒が生じ、体験機会に格差が出る | 国・県の補助制度を活用しながら市の予算状況を踏まえて指導者への謝金等を支援し、参加費を可能な限り低廉に抑える。経済的な理由による体験機会の格差が生じないよう支援の在り方を検討すると明記する |
| 活動場所までの移動をどう確保するか | ガイドラインは活動場所までの移動を参加者および保護者の責任で行うものと明示し、自転車利用時は交通ルールの遵守とヘルメット着用に努めることを求める。遠征時は運行事業者の安全管理体制を事前確認し、無理のない日程設定に努めるとする |
成果・効果
令和8年9月開始のため、参加者数などの実績値は現時点で公表されていません。制度面では、認定地域クラブの認定要件7項目、認定指導者の欠格要件、指導者配置基準、謝礼の時間単価と支払上限人数、保険・施設使用料の負担区分、8段階の運営事務フロー、申込み期限までがガイドラインと実施計画の2文書で確定しており、開始前に運用ルールがほぼ出そろっている点が特徴です。
活動時間は休日1日3時間以内、活動日は土日のいずれか、学校部活動との調整を図りながら原則として週2日以上の休養日を設けるとされています。令和8年度は毎月1回の実施からスタートし、生徒のエントリーも1人1種目に限定するなど、初年度の運営負荷を抑えた設計になっています。
出典
→ 原文: 須賀川市「中学校休日の部活動地域展開」
→ 原文: 須賀川市 中学校休日の部活動地域展開ガイドライン(令和8年7月/須賀川市・須賀川市教育委員会)PDF
→ 原文: 令和8年度須賀川市中学校休日の部活動地域展開実施計画 PDF
→ 原文: 須賀川市「須賀川市休日合同部活動」
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