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【事例】福島県郡山市の部活動地域展開 ─ プロバスケ・ファイヤーボンズ連携など4種目モデル事業と「部活動自由加入」への段階移行

公開:2026.07.22 更新:2026.07.22
この記事でわかること

・郡山市が進める陸上・水泳・アイスホッケー・バスケ4種目のモデル事業と受け皿の型の違い
・教育委員会と文化スポーツ部の両輪体制・地域移行推進チームによる推進の仕組み
・合同チーム倍増など少子化データを起点に「部活動自由加入」まで見据えた段階移行の工程表

自治体名 福島県郡山市
人口規模 約31万人(2024年時点)
中学校数 20校(ほかに義務教育学校2校)
運営形態 行政主導(教育委員会・文化スポーツ部の連携による地域移行推進チーム)
対象競技 陸上競技、水泳、アイスホッケー、バスケットボール(2024年度モデル事業)
保護者負担額 調査時点で未公表

取り組みの概要

郡山市は、スポーツ庁の「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」(2022年12月)が示した改革推進期間(2023〜2025年度)を受け、「まずは休日の学校部活動から段階的な地域移行を目指す」ことを基本方針に掲げています。2023年度にモデル事業と各種調査、「部活動等のあり方検討会」による推進計画の検討を開始し、2024年度からは地域移行推進チームによる取り組みを本格化させました。市の資料(2024年6月・市議会6月定例会常任委員会)では、2025年度にモデル事業の拡大と推進計画の検証を行い、2026〜2027年度に体制整備・支援方策の検討とあわせて「新たな地域クラブ創設」「部活動自由加入の完全実施」へ進むロードマップが示されています。

特徴的な取り組み

  • 4種目のモデル事業: 2024年度は①陸上競技(市陸上競技協会と連携した活動)、②水泳(部活動指導員と地域クラブによる合同の活動)、③アイスホッケー(熱海中学校で行う合同の活動)、④バスケットボール(地域プロチーム・福島ファイヤーボンズと連携した合同の活動)の4種目でモデル事業を実施。競技協会・地域クラブ・プロスポーツチームと受け皿の型を変えて試行している点が特徴です。
  • 教育委員会と文化スポーツ部の両輪体制: 教育委員会(市内中学校・市中学校長会・中学校体育連盟・市音楽教育研究会等と連携)と文化スポーツ部(市体育協会・市スポーツ少年団・各種競技団体・スポーツ推進委員・プロスポーツチーム・総合型地域クラブ・文化関係諸団体等と連携)が協力し、地域移行推進チームが実働を担う体制図を明示しています。
  • 「部活動自由加入」への段階移行: 学校側の取り組みとして、部活動自由加入の検討・推進を段階的に進め、2026〜2027年度に完全実施する計画を掲げています。適正な部活動数の設置検討や日本中体連改革への対応も並行して進めます。

課題と解決策

課題 解決策
少子化の進行(中体連加盟生徒数は2016年度から2022年度で男子861人減・20.0%減、女子446人減・14.6%減) 合同チームの結成(2021年度のべ6校3チーム→2023年度のべ13校6チームに拡大)と地域クラブへの段階移行で活動機会を確保
休日の受け皿となる運営組織の不足 競技協会・地域クラブ・プロチームと連携する4パターンのモデル事業で受け皿の型を検証し、可能なところから中学生受け入れを検討・準備
推進計画の実効性確保 「部活動等のあり方検討会」が推進計画の検討・作成と取り組みの検証・改善を毎年度実施し、2025年度に評価・分析を行う

成果・効果

市の資料によると、市総合体育大会における合同チームの結成は2021年度の「のべ6校・3チーム(サッカー2・野球1)」から2023年度には「のべ13校・6チーム(野球3・サッカー2・ソフトボール1)」へと2年間で倍増しており、少子化による単独チーム編成の困難化が進む中で、学校の枠を越えた活動の必要性が高まっていることが示されています。こうした現状認識のもと、2024年度からの4種目モデル事業と推進体制の整備が進められています。

出典

→ 原文: 本市における部活動の地域移行について(郡山市学校教育部学校管理課・2024年6月26日 市議会6月定例会常任委員会資料)
→ 参考: 部活動等のあり方に関する指針(郡山市公式ウェブサイト)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

郡山市の事例で注目すべきは、モデル事業の4種目それぞれで「受け皿の型」を意図的に変えている点です。陸上競技は競技協会、水泳は部活動指導員と地域クラブの組み合わせ、アイスホッケーは拠点校での合同活動、バスケットボールはプロチーム(福島ファイヤーボンズ)との連携と、1つの方式に決め打ちせず複数パターンを並行検証しています。中核市規模の自治体では競技ごとに地域資源の厚みが異なるため、この「型のポートフォリオ」を先に作るアプローチは、後続の全市展開時に競技特性へ合わせた受け皿選択を可能にします。また、地域移行と同時に「部活動自由加入の完全実施」を明記している点も、部活動そのものの位置付けを見直す一歩先の改革として注目されます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

プロスポーツチームとの連携は地域に必ずしも存在しない資源であり、そのまま移植できるとは限りません。ただし郡山市の体制図が示すように、本質は「教育委員会と首長部局(文化スポーツ部)が両輪で動き、体育協会・スポーツ少年団・競技団体・総合型クラブ・文化関係団体まで幅広く巻き込む」ことにあります。導入時のハードルは部局間の役割分担の曖昧さになりがちなので、郡山市のように推進チームと検討会(計画策定・検証・改善のサイクル)を分けて設置し、市・学校・地域の3主体別に年度ごとの役割を工程表で明示することが有効です。プロチームがない地域では、大学や企業クラブ・競技協会が同じ役割を代替できます。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

「部活動等のあり方検討会」が推進計画の検討・作成から取り組みの検証・改善までを担い、2025年度に評価・分析を挟んでから2026年度以降の体制整備へ進む設計は、PDCAが工程表に組み込まれており計画の透明性は高いと言えます。一方、資料時点では保護者負担や運営財源の枠組みが示されておらず、新たな地域クラブ創設段階での財源設計が持続可能性の鍵となります。少子化データ(中体連加盟生徒数の大幅減)を公開し移行の必要性を定量的に示している点は、市民への説明責任の観点で評価できます。

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