トップ 事例を探す 兵庫県 【事例】兵庫県川西市の部活動地域展開 ─ 公募・登録型で7中学校区の受け皿を整える「部活動の社会移行」
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 兵庫県

【事例】兵庫県川西市の部活動地域展開 ─ 公募・登録型で7中学校区の受け皿を整える「部活動の社会移行」

公開:2026.07.22 更新:2026.07.22
この記事でわかること

・川西市が「社会移行」と呼ぶ公募・登録型の地域クラブ整備と7中学校区×19種目の受け皿マトリクス
・学校施設の無償使用・自転車通所許可・スポーツ安全保険義務化・中体連大会出場の担保という運用ルール
・部活動にない種目まで登録クラブに含め生徒の多様なニーズに応える設計と他地域への示唆

自治体名 兵庫県川西市
人口規模 約15万人(2023年11月に15万人を割り込み・約149,996人)
中学校数 7校(川西南・川西・明峰・多田・緑台・清和台・東谷)
運営形態 行政主導(川西市教育委員会事務局教育保育課)による地域クラブ登録制度
対象競技 軟式野球・サッカー・陸上・柔道・剣道・バレー・バスケ・卓球・ソフトテニス・水泳・吹奏楽・美術ほか全種目
保護者負担額 会費が必要(金額は各クラブが設定)。スポーツ安全保険加入を義務化。経済的支援が必要な家庭には支援策を検討中

取り組みの概要

川西市は、部活動の地域移行を市独自に「部活動の社会移行」と呼び、川西市教育委員会事務局教育保育課が主体となって地域クラブの登録・公募制度を軸に推進しています。市の説明資料によると、市内の小学生は令和25年度(H25)の約8,650人から令和9年度に約6,350人へ、中学生も約4,340人から約3,460人へと減少見込みで、この生徒数減に伴い教員数も減少しており、令和6年度の教職員アンケートでは「顧問をする部活動の競技経験がない」が42.1%と最多で、約半数の顧問が指導種目の競技未経験という実態が示されました。こうした背景のもと、休日を中心に学校部活動を地域クラブへ移していく方針で、猪名川町・伊丹市・神戸市・三田市など近隣自治体とともに令和8年に部活動を地域クラブへ完全移行する動きの一つに位置付けられています。

特徴的な取り組み

  • 公募による地域クラブ登録制度: 令和6年度に第1〜3回の公募を実施し、現行の部活動と同じ種目の受け皿として、軟式野球(東谷ベースボールクラブ等)、サッカー(川西南クラブ・多田FC・大和キッカーズ等)、陸上(川西ランニングクラブ)、バスケ(BCkawanishi・シャイニングラビッツ等)、吹奏楽(川西ジュニアウインドバンド等)など、7中学校区ごとに登録クラブを整備。卓球は川西市卓球協会と連携して地域クラブの設立を予定するなど、種目・地区ごとに受け皿を積み上げています。
  • 学校施設の無償使用と自転車通所の許可: 認可された団体は中学校の施設・設備を無償で使用でき、地域クラブへの参加には自転車の使用を認めています。平日は午後5〜7時に活動する団体が多く(午後9時まで活動可)、活動時間は平日2時間・休日3時間程度を目安としています。
  • スポーツ安全保険の義務化と中体連大会出場の担保: 地域クラブにスポーツ安全保険(災害共済給付と同等の補償)の加入を義務づけ、登録すれば中体連主催の大会に出場可能(中体連ガイドラインの厳守が条件)としています。部活動にない種目(ダンス・プログラミング・ゴルフ・レスリング・調理・イタリア語など)を提供する地域クラブも中学校施設やその他施設で活動しており、生徒の多様なニーズに応えています。

課題と解決策

課題 解決策
生徒数減で部活動の存続が危機・約半数の顧問が指導種目の競技未経験(42.1%) 経験豊富な地域の指導者による地域クラブへ移行し、常に大人(指導者)が監督する一貫した指導方針を確保
地域クラブは会費が必要となり保護者負担が増える 学校施設の無償使用でコストを抑制。経済的な支援が必要な家庭には支援のあり方を検討中
活動場所への移動が生じる・開始時間が指導者都合で一定しない 参加への自転車使用を許可し、市内中学校を活動場所として広く開放。1校・複数校・多世代など参加範囲を柔軟に設定

成果・効果

令和6年10月時点で、現行の部活動と同じ19種目について7中学校区ごとに受け皿となる地域クラブの整備が進み、東谷ベースボールクラブ・川西南クラブ・多田FC・川西ランニングクラブ・BCkawanishiなど具体的な登録クラブが稼働しています。さらに、部活動にない種目としてダンス・音楽・演劇・プログラミング・ゴルフ・陶芸・レスリング・調理・書道・イタリア語など多彩な地域クラブが中学校施設やその他施設で活動しており、生徒アンケート(中学生回答1,032人・回答率42.0%)で「みんなで楽しむレクリエーション的な活動」を求める声が41%と最多だった多様なニーズに対応する体制が形づくられています。

出典

→ 原文: 川西市における部活動の社会移行について(川西市教育委員会事務局 教育保育課・保護者説明会資料)
→ 参考: 部活動における社会移行について(川西市公式ホームページ)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

川西市の特徴は、市が受け皿を新設・運営するのではなく「登録制度」で既存の地域クラブを公募・認定し、中学校施設を無償開放して呼び込む点です。第1〜3回の公募を重ね、7中学校区×19種目のマトリクスを埋めていく進め方は、行政が全種目を抱え込まず地域資源を面で活用する現実的な設計です。さらに部活動にない種目(ダンス・プログラミング・ゴルフ・レスリング等)まで登録クラブに含めることで、「部活動の移植」を超えて生徒の実ニーズ(レクリエーション志向41%)に応える器へと拡張しています。猪名川町・伊丹市・神戸市・三田市と足並みを揃えた広域同時移行という点も、単独市では難しい指導者・大会運営の共有を可能にする布石として注目されます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

登録制度型は、地域に受け皿となるクラブがある程度存在することが前提になります。川西市は大阪都市圏に近く民間クラブが厚い地域ですが、クラブが乏しい地域では公募をかけても「募集中」の空欄が埋まりません。導入する場合は、川西市の受け皿マトリクスのように「どの種目・どの中学校区に穴があるか」を可視化し、空欄部分だけ競技協会・総合型クラブ・近隣自治体との連携で個別に埋める戦略が有効です。また会費負担が新たに生じるため、学校施設の無償使用でランニングコストを抑えつつ、経済的支援が必要な家庭への補助スキームを移行と同時に用意することが、参加格差を防ぐ実務上の要点になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

認可要件(施設無償使用・スポーツ安全保険義務化・中体連ガイドライン厳守)を明文化し、生徒・保護者・教職員アンケートを公表して現状認識を共有している点で、制度の透明性は高い水準にあります。受け皿を市の直営ではなく登録クラブ主体としているため、行政の事務負荷と財政依存が相対的に軽く、持続可能性の面で有利です。一方、会費はクラブごとの設定に委ねられており、経済的支援策が「検討中」の段階にとどまるため、参加費格差への対応の具体化が今後の持続性の鍵となります。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →