トップ 事例を探す 岡山県 【事例】岡山県玉野市の部活動地域展開 ─ R5-7実証6種目×R8基本方針×市内5中学校対象「玉野地域クラブ活動」正式開始モデル
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 岡山県

【事例】岡山県玉野市の部活動地域展開 ─ R5-7実証6種目×R8基本方針×市内5中学校対象「玉野地域クラブ活動」正式開始モデル

公開:2026.07.08 更新:2026.07.08
この記事でわかること

・令和5年度実証6種目(運動3+文化3並行)から令和8年度本格運用4種目への種目絞り込みの意思決定
・「地域移行」→「地域展開」呼称変更に込められた学校部活動との共存志向
・10団体+市役所関係課による検討委員会構成と令和8年1月「基本方針」策定プロセス

自治体名 岡山県玉野市
人口規模 約5万5千人(令和6年時点)
中学校数 公立5校(荘内中・八浜中・宇野中・日比中・山田中)
運営形態 玉野市部活動地域移行検討委員会(学識者・中学校長・PTA・スポーツ少年団・スポーツ協会・スポーツ推進委員・総合型スポーツクラブ・文化協会・図書館・中央公民館・市役所関係課で構成)/令和8年度から「玉野地域クラブ活動」として本格展開
対象競技 令和5年度実証6種目(陸上競技・バスケットボール・軟式野球・書道・茶道・吹奏楽)/令和8年度本格運用4種目(サッカー・ソフトテニス・卓球・吹奏楽)
保護者負担額 令和8年1月策定「玉野市部活動地域展開基本方針」で低廉な参加費原則を提示(具体額は種目・活動団体ごとに設定)

取り組みの概要

岡山県玉野市は、少子化に伴う部活動の継続困難と教員の働き方改革への対応を背景に、「学校単位の活動」から「地域単位の活動」への転換に取り組んでいます。令和5年度から3年間を実証事業期間と位置付け、令和5年度は11月〜1月に市内5中学校(荘内中・八浜中・宇野中・日比中・山田中)を対象に陸上競技・バスケットボール・軟式野球・書道・茶道・吹奏楽の6種目で実証を実施。令和8年1月に「玉野市部活動地域展開基本方針」を策定し、①活動機会の確保、②部活動の教育的意義や役割の継承・発展、③活動団体との連携及び指導者や施設の確保、の3本柱で令和8年度から「玉野地域クラブ活動」として本格運用を開始します。令和8年度の対象種目はサッカー・ソフトテニス・卓球・吹奏楽の4活動で、令和7年度までの「地域移行」呼称から令和8年度以降は「地域展開」へと名称も刷新されました。

特徴的な取り組み

  • スポーツ4種目+文化2種目のバランス型実証: 令和5年度実証は運動部(陸上・バスケ・軟式野球)と文化部(書道・茶道・吹奏楽)を並行実施。文化活動は玉野市立中央公民館を活動場所として、スポーツ活動は各中学校を活動場所として役割分担。運動部と文化部の両方を検証した点が全国的にも珍しい。
  • 10団体+市役所関係課による幅広い検討委員会構成: 玉野市部活動地域移行検討委員会は学識者・中学校長・PTA・スポーツ少年団・スポーツ協会・スポーツ推進委員・総合型スポーツクラブ・文化協会・図書館・中央公民館・市役所関係課で構成。運動と文化の両分野の関係団体を漏れなく巻き込む設計で、令和8年基本方針策定の合意形成基盤を築いた。
  • 令和5→令和8で対象種目を6→4に絞り込み: 実証結果を踏まえ、令和5年度の6種目(陸上・バスケ・軟式野球・書道・茶道・吹奏楽)から令和8年度本格運用の4種目(サッカー・ソフトテニス・卓球・吹奏楽)へと種目構成を大幅に見直し。実証で得た知見に基づき「本格運用に耐える種目」を選定した点は他自治体の参考になる。
  • 令和8年1月「玉野市部活動地域展開基本方針」の策定と呼称変更: 3年間の実証を経て、令和8年1月に基本方針(PDF5.48MB)を策定。令和7年度までの「地域移行」から令和8年度以降は「地域展開」へと呼称を切り替え、「移行」ではなく「展開」として学校部活動と共存する形での発展を志向している点が特徴。
  • 実施期間を11月〜1月の3ヶ月に集中設定: 令和5年度実証は11月〜1月に集中実施。陸上競技は12月2・9・16・24日、1月13日の計5回。バスケットボールは11月18日、12月9・23日、1月13・27日の計5回。年度の後半に集中実施することで、他の部活動大会との日程重複を回避しつつ検証データを取得した。

課題と解決策

課題 解決策
市内5中学校での部活動継続困難と少子化 市内全域を対象とする実証事業で「玉野地域クラブ活動」として一元化。5中学校の生徒が学校の枠を越えて参加できる体制を構築。
運動部と文化部を並行して地域化する体制設計 10団体+市役所関係課の検討委員会で運動・文化両分野の関係者を巻き込み、実施場所も各中学校(運動)と中央公民館(文化)を役割分担。
実証3年間で得た知見を本格運用に反映する方法 令和8年1月に基本方針を正式策定し、種目構成を6→4に絞り込み。呼称も「地域移行」→「地域展開」に切り替え、学校部活動と共存する発展モデルへ転換。
実証事業から本格運用への移行と持続性 令和5〜7年度をスポーツ庁委託事業として実証実施、令和8年度から本格運用を開始する明確な3年+本格運用のタイムラインを設定。

成果・効果

令和5年度実証事業では市内5中学校(荘内中・八浜中・宇野中・日比中・山田中)を対象に6種目で活動を実施し、運動部3種目(陸上・バスケ・軟式野球)と文化部3種目(書道・茶道・吹奏楽)の並行検証データを取得しました。令和6・7年度の継続実証を経て、令和8年1月に「玉野市部活動地域展開基本方針」が正式策定され、令和8年度から「玉野地域クラブ活動」としてサッカー・ソフトテニス・卓球・吹奏楽の4種目で本格運用が開始されます。3年間の実証を経て種目を絞り込み、「移行」ではなく「展開」として呼称変更を行った点は、実証データを本格運用に反映する意思決定プロセスの好例といえます。

出典

→ 原文: 玉野市社会教育課「玉野市部活動地域展開」玉野市社会教育課「令和5年度玉野市部活動地域移行の取組について」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

玉野市モデルの本質は「3年実証→本格運用への種目絞り込み」の意思決定プロセスと、「地域移行」ではなく「地域展開」への呼称変更にあります。令和5年度実証の6種目(陸上・バスケ・軟式野球・書道・茶道・吹奏楽)から令和8年度本格運用の4種目(サッカー・ソフトテニス・卓球・吹奏楽)への刷新は、実証で得た「どの種目が地域化に耐えうるか」の判断を反映したものです。運動部3種目・文化部3種目のバランス型実証は全国的にも珍しく、「地域展開」への呼称変更は学校部活動との共存を志向する姿勢を示すもので、地域移行を「置き換え」ではなく「補完」として捉える新しい制度観として注目されます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

最大のハードルは「検討委員会の関係者巻き込み範囲の設計」です。玉野市は学識者・中学校長・PTA・スポーツ少年団・スポーツ協会・スポーツ推進委員・総合型スポーツクラブ・文化協会・図書館・中央公民館・市役所関係課の10団体+市役所関係課で構成し、運動と文化の両分野を含めた点が特徴的。他地域が導入する場合、①スポーツ関連団体だけでなく文化協会・公民館・図書館も巻き込む、②実証期間を年度の後半(11〜1月)に集中させて既存部活動大会との重複を回避、③3年実証後に種目を絞り込む意思決定プロセスを最初から設計する、の3点が実務のカギとなります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

10団体+市役所関係課による検討委員会構成と、令和8年1月の基本方針策定は透明性の面で高い水準にあります。3本柱(活動機会確保・教育的意義の継承・活動団体連携)を明文化し、実証3年→本格運用の明確なタイムラインを持つ点も持続性を担保。令和8年度本格運用は4種目に絞られたため、指導者・施設の確保負担が比較的軽く、令和9年度以降の種目拡大余地を残しています。

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