トップ 事例を探す 長野県 【事例】長野県佐久市の部活動地域展開 ─ 認定地域クラブ「NACS(New Area Club in Saku)」と指導者人材バンクによる7中学校段階移行
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 長野県

【事例】長野県佐久市の部活動地域展開 ─ 認定地域クラブ「NACS(New Area Club in Saku)」と指導者人材バンクによる7中学校段階移行

公開:2026.07.10 更新:2026.07.10
この記事でわかること

・佐久市NACS(New Area Club in Saku)認定制度の設計思想と申請書類の全体像
・指導者人材バンクの18歳以上・経験のみで登録可能な広い間口設計とマッチング運用
・ハラスメント防止研修と活動報告義務による質保証・持続可能性の担保

自治体名 長野県佐久市
人口規模 約9.7万人(2024年時点)
中学校数 市立中学校7校
運営形態 佐久市教育委員会社会教育部スポーツ課が認定する「NACS(New Area Club in Saku)」制度+指導者人材バンク
対象競技 移行できる競技・文化芸術活動から段階的に拡大(種目限定なし)
保護者負担額 クラブごとに設定(市方針での統一額は非公表)

取り組みの概要

佐久市は「佐久市部活動地域移行の方針」に基づき、令和5年度から3年後の令和7年度末(令和8年3月)を目標に部活動の地域移行を進めています。核となるのが、地域の各種団体が運営し佐久市が認定する「NACS(New Area Club in Saku・仮称)」制度と、それを支える「佐久市地域クラブ指導者人材バンク」です。市立中学校7校の全部活動が一斉に移行するのではなく、移行できる競技・文化芸術活動から段階的に進める設計になっています。既存事例[「7中学校で令和8年度末完全移行」](https://hitonova.com/case/【事例】長野県佐久市の部活動地域展開-─-7中学/)(ID:3377)が全体スケジュールを扱っているのに対し、本記事はNACS認定制度と人材バンクの制度設計に焦点を当てます。

特徴的な取り組み

  • 「NACS」= New Area Club in Saku という愛称ブランド化: 認定地域クラブに独自の愛称を付けることで、住民・生徒・保護者が「NACSに入る」と認識できるようにし、学校部活動との識別を制度上明確化。姫路市「姫カツ」・宮崎市「MIYA活」・神戸市「KOBE◆KATSU」と同様の「愛称でブランド化」型モデルです。
  • 指導者人材バンクの入り口を広く設計: 登録要件は「年齢18歳以上」「指導や実技の経験があること」の2点のみで、公的資格は必須ではありません。地域の一般市民から幅広く指導者を集める設計で、教員の兼職兼業依存を回避しやすい構造になっています。
  • マッチングシステムを市が運営: 市教育委員会が「地域指導者」と「地域クラブ等運営団体」をつなぐマッチングを担当。個別のクラブが指導者探しに苦労する構造ではなく、市が中央処理する形で指導者供給のボトルネックを解消しています。
  • ハラスメント防止研修を義務化: 登録指導者向けの研修会を実施し、特にハラスメント防止の観点から研修を予定。指導者の質と安全性を市が担保する枠組みです。
  • 認定申請の書類一式を要綱で標準化: 認定団体は「誓約書兼申請書」「認定要件確認書」「団体規約」「活動計画書」「収支計画書(個人事業主・法人の場合)」を提出。運営団体が市に任用結果を報告する仕組みも整備されており、事後モニタリングが可能な設計です。

課題と解決策

課題 解決策
移行スケジュール(R7年度末目標)が国の改革実行期間(R8〜R13年度)より前倒しで、指導者確保が急務 18歳以上・経験のみで登録可能な広い間口の人材バンクを設計し、市がマッチングを中央処理して指導者供給を効率化。
認定クラブの質のばらつきや不適切運営リスク 要綱に基づく5種類の申請書類を標準化し、団体規約・収支計画書の提出を必須化。市への活動報告義務で事後モニタリングを組み込む。
ハラスメント・体罰など指導者側のコンプライアンス問題 登録指導者向けの研修会を実施し、ハラスメント防止研修を市が主催する形で質を担保。

成果・効果

「NACS」というブランド愛称化により、地域クラブ活動が学校部活動とは別枠の存在として住民に認識されやすくなり、指導者・保護者・生徒それぞれが自分の関わり方を選択しやすくなっています。指導者人材バンクの登録要件を「18歳以上・経験のみ」まで広げたことで、公的資格を持たない地域住民(保護者・OB・地域スポーツ愛好家等)が指導側に回れる構造ができました。認定要件の書類標準化と活動報告義務により、認定クラブの質担保と説明責任も制度に組み込まれています。R8年3月末の完全移行に向けて、認定クラブ数・登録指導者数の推移が今後の指標となります。

出典

→ 原文1: 佐久市「部活動の地域展開(地域移行)について」

→ 原文2: 佐久市「佐久市地域クラブ指導者人材バンク」

→ 原文3: 信濃毎日新聞デジタル「部活地域移行、佐久市教委が素案『指導者人材バンク』新設へ」(2024年6月5日)

→ 関連事例: 佐久市の部活動地域展開 ─ 7中学校で令和8年度末完全移行・指導者人材バンク新設(全体スケジュール)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

佐久市の事例で特徴的なのは、認定地域クラブに「NACS」という愛称ブランドを付けたことと、指導者人材バンクの登録要件を「18歳以上・経験のみ」まで広げたことの2点です。姫路市「姫カツ」・宮崎市「MIYA活」・神戸市「KOBE◆KATSU」と同様のブランド化アプローチを、9.7万人規模の中規模都市で実装している好例です。人材バンクの広い間口設計は、地域住民の裾野を活かして指導者供給を確保する現実的な方法で、教員兼職兼業依存を減らす方向性として参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

中規模都市でNACSと同様の制度を導入する場合、ブランド愛称の選定は住民アンケートやワークショップを経て決める必要があります。「地域住民が自分の街の言葉として認識できるか」が浸透の分かれ目です。人材バンクの間口を広げる場合、質担保のためのハラスメント防止研修・活動報告義務を要綱でセット設計するのが必須です。認定書類一式(誓約書・要件確認書・規約・活動計画・収支計画)は行政の負担にもなるため、電子申請システムの併設が現実的です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

NACS認定制度は要綱・書類一式・報告義務まで整備されており、透明性・持続可能性の観点で健全な設計です。人材バンクの入り口を広げつつハラスメント防止研修で質担保する両輪は理にかなっています。R7年度末目標が国改革実行期間より前倒しである点は、制度の実効性を試す試金石で、認定クラブ数・登録指導者数の実績がR8年度以降の全国モデル評価につながる可能性があります。

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