トップ 事例を探す 北海道 【事例】北海道音更町の部活動地域展開 ─ 「平日休日を分けない」一体展開×拠点校方式×認定制度の二段ロケット型移行
全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 北海道

【事例】北海道音更町の部活動地域展開 ─ 「平日休日を分けない」一体展開×拠点校方式×認定制度の二段ロケット型移行

公開:2026.05.22 更新:2026.05.22
この記事でわかること

・国の「休日先行」方針に対し平日休日一体展開を選択した音更町モデルの判断と理由
・拠点校方式合同部活動を前段階に置き、認定制度で多様な運営団体を受け入れる二段ロケット設計
・人口4.3万人規模・5中学校・生徒数半減見込み地方都市での実装パターン

自治体名 北海道音更町
人口規模 約4.3万人(2024年時点)
中学校数 5校
運営形態 町教育委員会主導・段階的地域クラブ化(運営団体は多様:スポーツ協会・競技団体・少年団・総合型クラブ・民間事業者・PTA等)
対象競技 20種目69部(運動部17種目+文化部3種目):アイスホッケー・スピードスケート・サッカー・野球・バスケットボール・バレーボール・卓球・ハンドボール・テニス(軟硬式)・剣道・柔道・水泳・体操・陸上・バドミントン・ソフトボール・吹奏楽・コンピュータ・総合文化
保護者負担額 原則として運営団体の会費収入で賄う(具体額は団体ごとに設定/現時点では未確定、就学援助対象化を予定)

取り組みの概要

音更町(人口約4.3万人)は令和5年4月に小学5・6年生〜中学3年生とその保護者を対象としたアンケート調査を実施し、令和7年3月に「音更町部活動の地域移行に関する推進計画」を策定しました。中学校生徒数は平成29年度1,527人から令和6年度1,207人へ7年間で2割超減少、令和16年度には推計815人とピーク比半減見込みです。「平日と休日で異なる指導体制とすることに懐疑的な意見が多い」ことを踏まえ、休日のみの分割ではなく「活動日による区分を設けずに一体的な地域展開を図る」方針を打ち出し、令和7年度から新規地域クラブの設置と拠点校方式合同部活動を並行で進めています。

特徴的な取り組み

  • 平日・休日「分けない」一体展開方針: 国の改革推進期間は休日先行が一般的ですが、音更町は「指導の一貫性や生徒の安心感を考慮した場合に、平日と休日で異なる指導体制とすることに懐疑的な意見が多い」として、活動日による区分を設けない一体的地域展開を基本方針に明文化。
  • 拠点校方式合同部活動の導入拡大: 学校単位での部活動維持が困難な団体種目(野球・サッカー・バレーボール・吹奏楽等)について、1校を種目の拠点とし他校生徒も自由に参加できる「拠点校方式合同部活動」を、地域クラブ化の前段階として整備。
  • 地域クラブ認定制度の整備: 運営体制・活動方針・活動費の情報開示、適切な指導者配置と報酬設定、学校との連携、事故対応方針の共有等の認定基準を制定。認定団体には施設使用・遠征移動支援を部活動と同等に提供。
  • 多様な運営団体・新規種目への対応: スポーツ・文化協会、競技団体、少年団、総合型クラブ、民間事業者、クラブチームに加え、学校運営協議会・保護者会・同窓会など学校関係組織も運営主体に想定。アーバンスポーツ・メディア芸術・アート活動・複数並行参加可能な活動・インクルーシブ活動など新ニーズにも対応。
  • 4,257名対象の3層アンケート(児童・生徒・保護者): 小5・6(児童776人/保護者)・中1〜3(生徒1,319人/保護者)合計5層計4,257人にアンケート実施。問題点として「顧問教員の負担が大きい」を保護者68.9%が指摘、地域移行への期待として「より専門的な指導」「教員の負担軽減」が上位に。
  • 就学援助・施設使用料軽減・大会参加補助の財政支援: 地域クラブ会員・指導者を就学援助・各種大会参加補助の対象に追加。学校・公共施設使用料を軽減。クラウドファンディング・スポンサーシップ・企業版ふるさと納税も活用検討。

課題と解決策

課題 解決策
生徒数のピーク比半減(令和16年度推計815人)見込み 拠点校方式合同部活動で団体種目の継続を確保し、地域クラブ化の前段階を経て段階的に地域移行
指導の一貫性確保(教員の定期異動・未経験顧問問題) 「部活動指導員」を地域専門人材から配置し、地域に根差した指導体制を構築
指導者確保(種目多様化への対応) 道の「部活動サポーターバンク」活用、町・圏域での人材バンク整備、教員兼職兼業・地域おこし協力隊・公認スポーツ指導者・企業関係者の登用
保護者負担増(送迎・活動費)への不安(保護者16.9%が送迎負担を懸念) 就学援助・大会参加補助対象に地域クラブ会員を追加、施設使用料軽減、移動手段は公共交通・民間運送・乗合送迎ルール整備
勝利至上主義への過熱化リスク(生徒5.7%・保護者8.5%が懸念) 生徒の心身状態把握・適切な休養確保・体罰ハラスメント認識を指導者育成研修で必修化

成果・効果

令和5年4月のアンケート(児童444名・小学生保護者394名・中学生451名・中学生保護者533名計1,822回答)により、生徒・保護者双方が「より専門的な指導」「中学校以外の人との交流」を地域移行に期待し、保護者68.9%が「顧問教員の負担」を最大の問題点とみなしていることが明らかになりました。これを踏まえ「部活動改革協議会」が令和5年度に設置され、部活動指導員配置による地域連携強化と拠点校方式合同部活動が並行進行中です。令和7年度には新規地域クラブが活動を開始し、令和8年度以降は国の新ガイドライン・北海道の次期推進計画を踏まえた本格的な一体的地域展開へ移行する計画です。

出典

→ 原文: 音更町部活動の地域移行に関する推進計画(令和7年3月/音更町教育委員会)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

音更町モデルの最大の特徴は、国の改革推進期間が「休日先行」を基本としているなか、敢えて「平日と休日を分けない一体的地域展開」を計画書で明文化した点にあります。理由として明示されているのは「指導の一貫性や生徒の安心感」で、現場の懐疑的な声を真正面から受け止めた判断です。さらに、拠点校方式合同部活動を地域クラブ化の前段階に位置付けることで、団体種目の存続と新クラブ立ち上げ時間軸の調整を同時に解決しています。これは少子化が深刻化する地方都市に共通する課題への現実解と評価できます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

平日休日一体展開は教員の働き方改革効果を最大化できる一方、平日活動の運営主体・指導者確保が休日先行より圧倒的に難しくなります。音更町モデルでは「まずは部活動指導員から地域連携を強化」というプロセスを丁寧に設計し、地域クラブ完全移行までの過渡期を「部活動指導員+拠点校方式」で繋ぐ二段ロケット型のアプローチを取っています。他地域導入時は、認定基準(情報開示・指導者報酬・事故対応等)を先に整備しないと、一体展開の急速な拡大で運営トラブルが噴出するリスクがあるため、認定制度の事前整備が必須です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

運営主体を特定の1団体に集約せず多様な担い手を認定制で受け入れる方針は、運営リスク分散と地域実情への柔軟性で持続可能性が高く評価できます。一方で、活動費は原則として運営団体の会費収入で賄うため、団体間の会費水準ばらつきや小規模クラブの財政持続性は今後の課題です。クラウドファンディング・企業版ふるさと納税の活用と就学援助対象化の組み合わせで、参加機会の格差を抑える仕組み設計が進められており、SDGs目標(3・4・8・11・17)との整合性も計画上明示されています。

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