トップ 事例を探す 北海道 【事例】北海道旭川市の部活動地域展開 ─ 3パターン実証と認定クラブ制度整備で令和13年度休日全面移行を目指す
全種目 👥 30万人以上 🏫 大規模校(300人以上) 📍 北海道

【事例】北海道旭川市の部活動地域展開 ─ 3パターン実証と認定クラブ制度整備で令和13年度休日全面移行を目指す

公開:2026.05.04 更新:2026.05.04
この記事でわかること

・旭川市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 北海道旭川市
人口規模 約31万4,000人(令和7年4月現在)
中学校数 24校
運営形態 地域展開認定クラブ制度による多様な主体(整備中)
対象競技 全種目(休日の部活動170部・加入生徒3,597人)
保護者負担額 未公表(アンケートで月額2,001〜4,000円を許容する保護者が最多・28.3%)

取り組みの概要

旭川市は令和5年度から3パターンの実証事業に着手し、約3年かけて課題を整理しました。令和8年3月には「旭川市運動部活動の地域展開に関する基本方針(案)」を策定し、市民へのパブリックコメントを開始しています。人口約31万人・中学校24校・運動部170部を抱える道北最大の都市として、令和8〜13年度を「改革実行期間」と位置づけ、段階的に休日部活動の全面地域展開を目指す体制を整えています。令和5年7月には学識経験者・スポーツ団体関係者など5名からなる懇話会を設置し、地域実情に即した推進体制の検討を続けています。

特徴的な取り組み

  • 3パターン実証事業(令和5〜7年度):「指導者派遣(パターン1)」「競技団体活動への参加(パターン2・上限10団体)」「様々な運動機会の確保(パターン3・上限10団体)」の3形態を並行試行し、競技ごとの移行可能性を検証してきました。
  • 地域展開認定クラブ制度の整備:市が定める基準を満たした団体を「地域展開認定クラブ」として認定する制度を設ける方針です。受け皿の質の担保と保護者の安心感の醸成を図ります。
  • アンケートによる実態把握(令和7年度):令和7年9〜10月に北海道教育委員会と連携してアンケートを実施。中学生の76.8%が部活動に在籍、13.1%が地域クラブ活動に参加していることが判明しました。保護者が許容できる月額費用は2,001〜4,000円が最多(28.3%)で、今後の料金設定の根拠データとなっています。

課題と解決策

課題 解決策
地域移行への認知が低い(中学生の65%が「知らない」) 基本方針策定・パブリックコメントを通じた周知を強化。認定クラブ制度の公開によりサービス内容の見える化を推進
受け皿となる地域クラブが不足している 令和8〜9年度に整備方針を確定し、令和10年度以降を全面移行期として設定。段階的に受け皿を拡充する計画
指導者の確保と指導の質の担保 認定クラブ制度に指導者要件を盛り込み、外部指導者の育成・登録を一元管理する仕組みを整備

成果・効果

令和5〜7年度の3パターン実証事業を通じて、競技ごとの移行難易度や指導者確保の課題が具体的に整理されました。令和8年3月の基本方針(案)策定により、令和8〜13年度のロードマップが初めて公式文書として示されています。アンケート結果により、保護者が受け入れられる費用水準が月額2,001〜4,000円であることが定量的に裏付けられ、今後の料金設定の判断材料となっています。また、地域移行を「知らない」中学生が65%に上るという調査結果は、令和8年度以降の周知活動の優先課題を明確にする根拠となりました。

出典

→ 原文: 旭川市公式ホームページ「運動部活動の地域展開」(令和8年3月・基本方針案)

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

旭川市の取り組みで特筆すべきは、「まず試してみる」という姿勢で3パターンの実証事業を並行して走らせた点です。指導者派遣・競技団体参加・多様な運動機会という3軸を同時に検証することで、競技ごとに適した移行形態を比較できます。人口30万人超の大都市でも一律の方針を押しつけるのではなく、競技特性に応じたきめ細かい対応を志向している点は、同規模の自治体にとって参考になるでしょう。

もう一つの注目点は「認定クラブ制度」の設置方針です。受け皿クラブの質を行政が保証することで保護者の不安を和らげると同時に、クラブ側にも運営水準向上のインセンティブが生まれます。保護者アンケートで「月額2,001〜4,000円」という具体的な費用水準を把握し、それを政策立案の根拠にしている点もエビデンスに基づく行政運営として評価できます。令和13年度という明確なゴールを設定したロードマップは、学校・地域・保護者・行政という関係者全員の見通しを揃えるうえで重要な役割を果たすはずです。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

旭川市モデルの最大のハードルは、実証事業から基本方針策定まで3年以上を要したタイムラインです。同規模の中核市であれば、実証期間を1〜2年に圧縮し、既存の総合型地域スポーツクラブや競技団体との早期合意形成を図ることで時間を短縮できます。認定クラブ制度については、先行自治体の認定基準を参考に最低限の安全・指導資格要件を定めたひな型を活用するのが現実的です。また、旭川市のように「地域移行を知らない生徒・保護者」が多数いる地域では、方針策定と同時に学校説明会や広報誌での周知を組み合わせることが移行の円滑化につながります。

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