トップ 事例を探す 三重県 【事例】三重県伊賀市の部活動地域展開 ─ 連絡協議会設立・野球3クラブ+剣道1クラブで先行・令和9年度から会費負担開始の段階移行モデル
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【事例】三重県伊賀市の部活動地域展開 ─ 連絡協議会設立・野球3クラブ+剣道1クラブで先行・令和9年度から会費負担開始の段階移行モデル

公開:2026.05.17 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・三重県伊賀市の部活動地域展開の地域展開で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 三重県伊賀市
人口規模 約8.5万人
中学校数 市立中学校11校
運営形態 市教育委員会主導/伊賀市地域クラブ活動連絡協議会で関係者協議/指導者認定要件を承認したうえで種目別に地域クラブ活動を開始
対象競技 野球3クラブ・剣道1クラブ(令和6年度)/陸上競技3拠点(令和7年4月開始予定)
推進体制 令和6年度に連絡協議会設立/令和9年度から会員費負担開始予定

取り組みの概要

伊賀市では、少子化が進む中で学校部活動の課題として「入りたい部活がない」「部員数が不足している」「専門の先生がいない」といった問題が顕在化し、学校部活動を従来通り続けることが困難になっている状況がある。市教育委員会はこれに対し、地域クラブ活動への移行を実証事業として進めている。

令和6年度には「伊賀市地域クラブ活動連絡協議会設立総会」を開催し、協議会規約や指導者認定要件などの承認を得ている。協議会という会議体を制度として整備したうえで、令和6年10月から野球の3つの地域クラブ活動を、11月からは剣道の1つの地域クラブ活動を開始した。種目ごとに指導者が確保できたタイミングで順次活動を立ち上げる現実的な進め方が採られている。

令和7年4月からは陸上競技の地域展開を予定しており、3つの拠点での活動を進める計画である。また令和9年度からは会費負担の開始が予定されており、立ち上げ初年度は公的財源を中心に運営しつつ、段階的に受益者負担へ移行する設計が組まれている。

特徴的な取り組み

  • 連絡協議会と指導者認定要件の整備: 令和6年度の設立総会で協議会規約と指導者認定要件を承認。運営主体と指導者の基準を制度として整備。
  • 種目別の段階立ち上げ: 野球3クラブ(令和6年10月)→剣道1クラブ(令和6年11月)→陸上競技3拠点(令和7年4月)と、指導者確保ができた種目から順次開始。
  • 令和9年度から会費負担開始予定: 立ち上げ初年度は公的財源中心、令和9年度から受益者負担を段階導入する設計。家計負担急増を避ける順序設計。
  • 地理的な拠点分散: 陸上競技は3つの拠点で展開する計画で、市内広域の生徒が物理的にアクセス可能な場所に拠点を分散。
  • 「指導者がいる種目から始める」現実的選択: 全種目一斉開始ではなく、指導者が十分にいる野球・剣道を先行させ、不足する種目は受け皿づくりを並走させる順序。

課題と解決策

課題 解決策
少子化で部活動の維持が困難 地域クラブ活動として種目ごとに立ち上げ、市内広域から希望生徒を集約することで活動を維持
種目によって指導者数に差がある 野球・剣道のように指導者が確保できた種目から先行立ち上げ、不足する種目は受け皿づくりを並走
受益者負担と家計影響のバランス 立ち上げ初年度は公的財源中心、令和9年度から会費負担を段階導入する設計
運営主体・指導者の信頼性確保 連絡協議会で指導者認定要件を承認し、認定された指導者のみが運営に関わる仕組み

成果・効果

伊賀市の取り組みは、人口8.5万人規模の自治体が「連絡協議会で指導者認定要件を承認した上で、種目別に段階立ち上げを進める」という現実的な実装プロセスを示している点で参照価値が高い。野球3クラブ・剣道1クラブの先行立ち上げが令和6年度に実現し、陸上競技3拠点が令和7年4月に追加される計画は、指導者数の充足状況に応じて種目を増やす運用が確立していることを示す。

会費負担開始を令和9年度に設定する設計も実務的である。立ち上げ初年度から保護者負担を求めると加入が伸びず制度が定着しにくいが、立ち上げから3年間は公的財源中心とし、その間に運営の見通しと活動の価値が共有された段階で会費を導入する順序は、受益者負担と公的支出のバランスを取る現実解として参考になる。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 三重県伊賀市(スポーツ庁)

→ 原文: 三重県|学校体育:中学校部活動の地域連携・地域移行

→ 原文: 三重県|「三重県部活動ガイドラインおよび新たな地域クラブ活動方針」を策定しました

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

伊賀市の事例で参照価値が高いのは、「指導者がいる種目から始める」という現実的な順序設計である。全種目一斉開始を理想として掲げる自治体は多いが、種目によって地域の指導者プールに大きな差があり、指導者不足の種目を先行させると質の低下と運営崩壊のリスクが高まる。伊賀市は野球・剣道という指導者が確保できた種目から先行し、知見を蓄積しながら陸上競技などへ拡大する現実解を採っている。

令和9年度からの会費負担開始という時間軸も実務的である。立ち上げから3年間は公的財源中心で運営し、活動が定着した段階で受益者負担を段階導入する順序は、保護者の納得感を醸成しながら持続可能な運営に移す現実解として優れている。「最初から会員費を取る」と加入が伸びず制度が定着しないリスクがある。

連絡協議会で指導者認定要件を承認した点も重要である。地域クラブの指導者の質を制度的に担保する仕組みがないと、保護者からの信頼が得られず加入も伸びない。協議会レベルで指導者要件を承認することで、認定された指導者のみが運営に関わる仕組みが整い、保護者への安全・品質の説明がしやすくなる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

①「指導者がいる種目から始める」順序設計は、種目ごとに指導者プールの実態調査が前提となる。伊賀市は協議会設立時に種目ごとの指導者状況を把握したと推察されるが、導入する自治体は協議会設立前に種目別の指導者棚卸し(指導歴・資格・稼働可能性)を実施する必要がある。これがないと「種目別段階立ち上げ」のスケジュールが立てられない。

②令和9年度からの会費負担開始は、額の設定が運用の成否を左右する。月額1,000円・3,000円・5,000円のどこに置くかで加入率と運営の持続性が大きく変わる。導入時は保護者アンケートで負担許容額を把握したうえで、種目・拠点別の運営費試算と組み合わせて妥当ラインを決定する必要がある。

③陸上競技3拠点の地理的分散は、伊賀市のような市域の広い自治体(合併市町村が多い場合)に必要な設計である。1拠点に集約すると遠隔地の生徒が参加できなくなるが、拠点を増やすと運営事務と指導者確保のコストが上がる。導入時は中学校区の中心地・公共交通アクセス・既存施設の利用可能性の3点で拠点候補を選定し、最低限の数(多くても3〜4拠点)に絞る判断が現実的である。

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