トップ 事例を探す 三重県 【事例】三重県菰野町の部活動地域展開 ─ 元気アップこものスポーツクラブが両中21部活一括運営・サッカー部は大会出場も地域クラブとして
全種目 👥 1~5万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 三重県

【事例】三重県菰野町の部活動地域展開 ─ 元気アップこものスポーツクラブが両中21部活一括運営・サッカー部は大会出場も地域クラブとして

公開:2026.05.10 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・元気アップこものスポーツクラブが両中21部活を集約運営する設計
・サッカー部から大会出場も地域クラブとして実施する大胆な方針
・保護者アンケート501名から導いた月額3,000円以内の会費設計根拠

自治体名 三重県菰野町
人口規模 約4.1万人(2020年国勢調査)
中学校数 2校(菰野中・八風中)/21部活が地域クラブ移行対象
運営形態 地域スポーツ団体等運営型(総合型地域スポーツクラブ運営型)/特定非営利活動法人 元気アップこものスポーツクラブが事務局
対象競技 令和5年度は両中学校の21部活動全て/令和6年度はサッカー部から休日完全地域移行(大会出場含む)
保護者負担額 令和5年度は無料(行政補助)/保護者アンケートで月額3,000円以内を許容と回答した保護者が90%超(有効回答501名)

取り組みの概要

三重県菰野町は鈴鹿山脈の麓、人口約4.1万人の自治体です。町内には菰野中学校と八風中学校の2校があり、生徒数減少で複数の運動部が休部・廃部となる状況に直面しました。町は令和3年度から地域運動部活動推進事業をスタートさせ、当初はバレーボール部男子・陸上部・ハンドボール部の3部活で先行実証。令和5年度の地域スポーツクラブ活動体制整備事業(実証1年目)では、特定非営利活動法人 元気アップこものスポーツクラブを事務局として、両中学校の21部活動全てを地域クラブ活動の対象とする全部活一括方式へ拡大しました。令和6年度はサッカー部が休日完全移行し、大会出場も地域クラブ「元気アップこものサッカークラブ」として行います。最終目標は令和8年度の「休日の完全地域移行」です。

特徴的な取り組み

  • 1団体・両中学校・21部活一括運営の集約モデル: 1つのNPO(元気アップこものスポーツクラブ)が両中学校の全運動部活動21部活の運営事務局を担う集約モデル。種目ごとに別団体を立ち上げる多くの自治体と異なり、事務局・会計・指導者管理・施設調整を一元化することで、小規模町村で運営事務が分散して破綻するリスクを回避しています。
  • 顧問教員が「橋渡し的存在」として継続関与: 地域移行後も顧問教員が指導者と生徒の橋渡し役として活動に関わる仕組み。指導者と顧問が一緒に指導する時間を設け、生徒や指導内容の情報を共有することで、生徒の不安解消と関係構築を両立。「指導者は誰だかわからない人」という不信感を防ぐ設計。
  • 大会出場も地域クラブとして: 令和6年度のサッカー部は休日活動を完全に地域へ移行し、中体連等の大会にも「元気アップこものサッカークラブ」として出場。多くの自治体が「大会は学校部活動として」と分離する中、菰野町は学校チーム解体ではなく地域クラブが大会主体になる形を選択し、令和8年度の完全地域移行への足慣らしを進めています。
  • 月額3,000円以内が90%超のニーズ調査: 中学生保護者501名を対象とするアンケートを実施。「指導者謝金や保険料で保護者負担が生じる場合の許容額(月額)」の問いに、53%が「1,000円以内〜3,000円以内」、38%が「1,000円以内」と回答し合計90%超が3,000円以内を許容範囲と回答。会費設定の根拠データとして公開。
  • 広報こもの12月号で生徒キャプテンの声を掲載: 八風中卓球部・菰野中バスケットボール部・両中陸上部などの生徒キャプテン、保護者、指導者へのインタビュー記事を町広報誌に掲載。地域移行の体験者目線を可視化し、保護者・住民の理解促進に活用。

課題と解決策

課題 解決策
21部活全てに対応する指導者の量的確保 令和5年度に43名の地域クラブ活動指導者を確保。年3回の指導者研修会を実施し質を担保
指導者と顧問教員の連携・関係形成 指導者と顧問が一緒に指導する時間を設定。連絡ファイル・SNS等の連携ツールを整備
生徒・保護者の地域移行への意識醸成 ガイドラインの徹底、保護者周知、広報誌での体験者インタビュー掲載、月額許容額アンケートでニーズ可視化
持続的な運営財源の確保 企業版ふるさと納税を活用(寄附目標額3,819,000円)。令和6年度以降は受益者負担と公的補助の組合せを協議
施設管理(鍵の管理等)の煩雑化 町の運動施設開放団体規則に則って運用。今後ワーキンググループで施設利用ルールを策定予定

成果・効果

令和5年度に両中学校21部活全てを地域クラブ活動の対象として展開し、43名の指導者を確保。年3回の指導者研修を完遂し、令和6年度はサッカー部が大会出場含む完全地域移行へと進展しました。保護者アンケート(有効501名)では月額3,000円以内の負担を90%超が許容範囲と回答し、令和7年度以降の会費設定の根拠データを獲得。広報こもの12月号での体験者インタビュー掲載により、地域移行への住民理解が定量・定性両面で前進しています。令和8年度の「休日の完全地域移行」へのロードマップが現実的な実装段階に入りました。

出典

→ 原文: 三重県・令和5年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(スポーツ庁)
→ 関連: 菰野町・部活動地域移行への支援(企業版ふるさと納税)

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

菰野町の事例で最も注目すべきは、「1団体集約モデル」と「大会出場も地域クラブ」という2つの大胆な選択です。多くの自治体は「種目ごとに最適な団体を立ち上げる」分散型モデルを採用しますが、それは結果的に事務局機能が10〜20団体に分散し、人口規模の小さな町村では運営者の負担で持続性を失います。菰野町は逆に、元気アップこものスポーツクラブという1つのNPOに21部活を集約することで、事務局・会計・指導者管理を一元化し、小規模町村で実装可能な体制を作り上げました。

もう一つ重要なのが、「大会出場も地域クラブ名義で」という方針です。多くの自治体は中体連の大会に「学校チーム」として出るために、地域クラブと部活動の二重構造を温存する選択をしています。これは過渡期的には合理的ですが、「結局学校部活動が残る」という曖昧な状態を恒常化させやすいトレードオフがあります。菰野町は令和6年度のサッカー部から大会も地域クラブ名義で出場する設計に踏み込むことで、「地域クラブ=練習用、学校部活=本番用」という分裂状態を回避し、令和8年度の完全地域移行を実装段階に進める明確な意思決定を行いました。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「1団体に集約する」モデルは、その団体の運営力に強く依存するという脆弱性を持ちます。元気アップこものスポーツクラブは平成期から町内で活動実績のあるNPOで、地域指導者の発掘・施設運営のノウハウが既にありました。導入を検討する自治体は、まず「集約先候補となる総合型クラブ・NPO・スポーツ協会の運営体制(理事数・事務局員数・既存事業実績)」を客観的に評価することを推奨します。事務局体制が脆弱な団体に21部活を集約すると、指導者謝金の源泉徴収処理、会計管理、施設予約、保護者連絡といった事務量が増大して破綻するリスクが高くなります。菰野町でも実証PDFで「事務処理量・会計管理・指導者謝金の源泉徴収処理・会場確保等、事務負担が非常に大きい」と明記しており、団体内マネジメント機能の向上か人員確保が必要であると警鐘を鳴らしています。集約モデルを選ぶなら、町からの事務支援人員配置(兼職兼業職員1名分の人件費補助等)を初年度予算に必ず織り込むことが成功の前提条件です。

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