【事例】広島県安芸高田市の部活動地域展開 ─ 安芸高田HCに男女ハンドボール部移行・全国大会出場・顧問2人体制から1人体制へ
この記事でわかること
・大会引率まで安芸高田HCが担い、顧問2人体制を1人体制に変更
・教員免許保持の専門指導者2名で専門性と教育性を両立
・女子全国大会出場・生徒満足度66.7%で実証効果を可視化
| 自治体名 | 広島県安芸高田市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.7万人(26,539人) |
| 中学校数 | 6校(うち5校が単学級/生徒数600人) |
| 運営形態 | 地域スポーツ団体等運営型(体育・スポーツ協会運営型)/安芸高田HC(安芸高田市ハンドボール協会連携) |
| 対象競技 | 男女ハンドボール(甲田中学校拠点/令和5年度実証) |
| 保護者負担額 | 月額3,000円(年額36,000円)/別途スポーツ安全保険:生徒800円・指導者1,850円 |
取り組みの概要
広島県安芸高田市は中山間地に位置する人口約2.7万人の市で、6中学校のうち5校が単学級という小規模化が進んでいます。中学生数は2013年の689人から2023年に600人へと10年で約100人減少。チームスポーツでは単独校での大会参加が難しい競技も多く、合同チーム編成で部活動を維持する状態でした。市は令和5年度の地域スポーツクラブ活動体制整備事業で、甲田中学校の男女ハンドボール部の週休日活動を地域スポーツクラブ「安芸高田HC」に移行。ハンドボール協会と連携し、甲田中ハンドボール部出身の専門指導者2名(教員免許保持者)を確保しました。中体連主催の県大会・中国大会・春の全国中学生ハンドボール選手権大会への出場・引率も全て安芸高田HCとして実施するという、移行モデルを実装しました。
特徴的な取り組み
- 大会出場・引率も全て地域クラブで実施: 県中体連の大会についても、安芸高田HCとして参加・引率・指導を全て地域指導者が担当。中学校教員は県の専門委員長として役員参加はしたが、引率・指導はせず、中国大会・全国大会への帯同もなし。「地域クラブ=練習用、学校部活=大会用」という二重構造を完全に回避。
- 顧問教員2人体制を1人体制に変更し働き方改革: 移行前は男女ハンドボール部に各2名の顧問教員(男女合計4名)を配置していたが、地域移行後は1人体制に変更。教員の働き方改革に直結する明確な効果を実装。
- 教員免許保持指導者で「教育の一環」を担保: 安芸高田HCの指導者2名は教員免許状を持つ専門コーチ(JOC広島県選抜男子監督経験者・筑波大学キャプテン経験者など)。「地域クラブだから教育性が損なわれる」という保護者・教員の懸念に対し、教員免許保持者を充てることで「教育の一環としての地域スポーツクラブ運営」を実装。
- 大会成績で実証効果を可視化: 令和5年度の実証期間中に、男子は中国中学校ハンドボール大会出場、女子は全国中学校ハンドボール大会出場・春の全国中学生ハンドボール選手権大会出場・広島県予選優勝という競技成績を達成。「地域移行で部活動が弱体化する」という不安に対する明確なアンサー。
- 満足度調査で生徒66.7%が「大変満足」: 令和5年10月の満足度調査で、生徒の66.7%が「大変満足」、教職員の66.7%が「満足」と回答(保護者は「大変満足」33.3%・「満足」25%・「どちらともいえない」41.7%)。生徒の満足度が教員・保護者を上回る結果。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 5校が単学級・チーム編成困難な部活動が多い(バスケ・バレー・サッカー・ハンドボール・ソフトボール) | 合同チームで大会参加を継続。ハンドボール部から地域クラブに先行移行し他種目展開のモデル化 |
| 地域指導者が市外在住で教員兼職兼業が難しい | 2022年アンケートで「地域移行後も関わりたい」教員はわずか9% → 兼職兼業ガイドライン作成を令和6年度以降に整備予定 |
| 地域スポーツクラブが少なく生徒ニーズに応えにくい | 市ハンドボール協会と連携し、教員免許保持専門指導者2名を確保。広報活動(チラシ・ポスター)で甲田中以外からの参加も促進 |
| 市域広域・端は島根県境で活動場所までの移動課題 | 甲田中学校体育館・向原高等学校体育館を活動場所に併用。自転車・保護者送迎で対応 |
| 大会出場費・引率費の保護者負担増の懸念 | 令和5年度は実証事業として市負担。月会費3,000円は「個人負担軽減を基本に運営」と方針明示 |
成果・効果
令和5年度の実証期間で甲田中男女ハンドボール部を完全に安芸高田HCへ移行し、男子は中国大会・女子は全国大会出場という競技成績を達成しました。中学校教員は顧問2人体制から1人体制に変更され、引率・指導は全て地域指導者が担当することで明確な働き方改革を実現。生徒の66.7%が「大変満足」と回答するなど、地域移行への高い満足度も確認されました。一方で「地域移行後も関わりたい」教員が9%にとどまるという2022年アンケート結果は、人材の持続性確保の課題として残されています。
出典
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