トップ 事例を探す 愛知県 【事例】愛知県一宮市の部活動地域展開 ─ 19校・29クラブ・3モデル並行実証で令和8年2学期に休日部活全面移行へ
全種目 👥 30万人以上 🏫 大規模校(300人以上) 📍 愛知県

【事例】愛知県一宮市の部活動地域展開 ─ 19校・29クラブ・3モデル並行実証で令和8年2学期に休日部活全面移行へ

公開:2026.05.03 更新:2026.05.03
この記事でわかること

・愛知県一宮市が19校・29クラブで実施した3モデル並行実証の内容と設計思想
・スポーツ協会・教職員・外部指導者の多主体協働による指導者150名確保の仕組み
・生徒の2種目以上参加を認める柔軟設計と令和8年2学期全面移行へのロードマップ

自治体名 愛知県一宮市
人口規模 約38万人
中学校数 19校(全生徒数10,205名)
運営形態 スポーツ・文化協会・教職員・外部指導者・一般指導者(多主体協働)
対象競技 軟式野球、バレーボール、ダンス、美術など多種目(全249部対応)
保護者負担額 約10,000円/年

取り組みの概要

一宮市は愛知県北西部に位置する人口約38万人の中核市です。公立中学校19校に10,205名の生徒が在籍し(令和6年度)、249の部活動が活動しています。少子化の進行と教員の長時間勤務の解消を課題として部活動の地域展開を検討し、令和6年度はスポーツ庁の実証事業に参加。「いちのみやスポーツ・文化クラブ事務局」を中心に、スポーツ・文化協会指導者・希望する教職員・外部指導者・一般指導者が協働する体制で29クラブ・150名の指導者体制でモデル事業を実施しました。

令和6年度のモデル事業では、約1,000名(全体の10%程度)の生徒が地域クラブに参加しました。令和8年2学期からの休日部活動全面移行を目指し、「プログラム型」「連盟主催型」「既存クラブ再編型」の3つのモデルを並行して実証しています。運営スタッフ3名が事務局を担い、主な活動場所は市内中学校で、月2回程度の活動を実施しました。

特徴的なのは、生徒が1種目に縛られず2種目以上のクラブに参加できる仕組みです。また、市役所での指導者募集や公式インスタグラムの開設など、幅広い指導者確保・広報活動を展開し、地域移行に関心のある団体へ積極的に連絡するアプローチを取っています。

特徴的な取り組み

  • 3モデル並行実証:プログラム型・連盟主催型・既存クラブ再編型:①スポーツ・文化協会等がプログラムを提供する授業形式のクラブ、②競技連盟が主催となり競技力向上を図るクラブ、③既存の部活動やスポーツクラブを再編したクラブという3種類のモデルを並行して実施。地域の実情や生徒ニーズに応じた受け皿の多様性を確保し、令和8年度全面移行時の最適解を選択できる状態を作っています。
  • 多様な指導者層の協働体制(スポーツ・文化協会・教職員・外部・一般):スポーツ・文化協会の各種目指導者を主軸に、希望する教職員・外部指導者・一般指導者が協働する体制を構築。スポーツ協会の各種目の方と積極的に話し合いの場を設けて協力を依頼し、教職員向けの説明会も開催して移行の理解を深めました。
  • 2種目以上の複数クラブ参加を認める柔軟な参加ルール:生徒は1種目だけでなく2種目以上の地域クラブに参加可能な仕組みを導入。競技横断的なスポーツ体験を可能にし、生徒の多様な関心に応える環境を整えています。
  • 公式インスタグラム開設・市役所募集など多チャンネル広報:市役所での指導者募集・公式インスタグラム開設・地域移行に関心のある団体への積極的なアプローチを展開。行政・スポーツ協会が一体となって指導者確保と広報活動を推進しています。

課題と解決策

課題 解決策
指導者の数・質の十分な確保 スポーツ協会・市役所・インスタグラム等複数チャンネルを活用した指導者募集と、地域移行に関心のある団体への積極的なアプローチで指導者層を拡大
市内民間団体・一般クラブからの協力獲得 スポーツ協会の各種目の方との対話の場を設け、実証事業の趣旨を説明して協力を依頼。実施団体との協議・相談機会を多く設けることで連携先を拡大
教職員が希望する指導形態への対応 教職員向け説明会で地域クラブ活動の概要・参加方法を周知し、「希望する教職員が指導者として参加できる」選択肢を用意
施設管理(鍵の開錠・施錠)・事務局の民間移行・指導者資格 令和6年度は10,000円/年程度の参加費設定でモデル事業を進め、施設管理や事務局運営の民間移行・指導者の資格基準については令和8年度全面実施に向けて継続検討

成果・効果

令和6年度は29クラブが稼働し、約1,000名(全体の10%程度)の生徒がモデル事業に参加しました。指導者150名・運営スタッフ3名体制で、軟式野球・バレーボール・ダンス・美術など多種目にわたる地域クラブ活動を実施しました。平均参加生徒数は2年生・1年生が各15名/クラブ、3年生が10名/クラブで、学年差はあるものの幅広い参加を確保しています。

スポーツ・文化協会各種目との対話機会の設置、教職員向け説明会の開催、市役所での指導者募集、公式インスタグラムの開設など、令和8年2学期の全面移行に向けた体制づくりを着実に進めています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業成果報告書 概要(愛知県)|スポーツ庁

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

一宮市の注目点は「3モデル並行実証」のアプローチです。地域展開において「地域クラブとは何か」の定義を一つに絞らず、①スポーツ協会等がプログラムを提供する授業形式、②連盟主催の競技型、③既存クラブの再編という三つの形態を並行して試している点は、大規模都市ならではの多様なニーズへの対応戦略です。特定のモデルに固執せず実証段階で多様性を持たせることで、令和8年度の全面移行時に最適解を選択できる状態を作っています。

生徒が2種目以上の地域クラブに参加できる仕組みも評価できます。従来の部活動は原則1種目への専念が慣行でしたが、地域クラブ活動への移行は「やりたいことを複数経験できる」という新しい価値を生む機会です。一宮市がこれを制度として明示していることは、地域クラブの魅力を高め参加率向上につながる設計として他自治体の参考になります。

指導者確保では、スポーツ協会・市役所・インスタグラムという複数チャンネルを並行活用している点が実践的です。一つのルートに頼らず、様々な接点から指導者候補にアプローチする姿勢は、30万人超の大都市ならではのリソースを最大限活用した事例です。中小規模自治体でも、SNSや地域スポーツ協会との連携という部分は応用可能です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

一宮市の「3モデル並行」は都市部向きの設計です。農村部・過疎地域では単一モデルで集中投資する方が効率的なことが多いため、そのまま移植するより「どのモデルが地域実情に合っているか」を先に絞り込む判断が重要です。参加費10,000円/年の設定は、補助金終了後の自立運営を見据えた額として参考になりますが、家庭の経済状況によっては参加障壁となる可能性もあるため、就学援助世帯への免除・減額制度の併設を検討することをお勧めします。

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