トップ 事例を探す 福岡県 【事例】福岡県福岡市の部活動地域展開 ─ 大学生指導者・民間委託で4種目を実証、顧問残業を最大37時間削減
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【事例】福岡県福岡市の部活動地域展開 ─ 大学生指導者・民間委託で4種目を実証、顧問残業を最大37時間削減

公開:2026.04.28 更新:2026.05.02
この記事でわかること

・生徒アンケートで「もっと上達したい」95%・「真剣に取り組むようになった」96%と専門指導による意欲向上が確認された
・顧問教員8人中7人の月あたり時間外勤務が実証開始後に減少し、最大削減幅は37時間07分を記録
・実証期間中の保護者負担額は0円で、保護者の92%が地域移行を進めるべきと回答

自治体名 福岡県福岡市
人口規模 約164万人(令和5年度時点)
中学校数 70校(公立)
運営形態 民間スポーツ事業者運営型(リーフラス株式会社に委託)
対象競技 卓球、男子ソフトテニス、サッカー、女子バスケットボール(令和5年度実証・4部活)
保護者負担額 0円(実証事業期間中)

取り組みの概要

福岡市は全国的な少子化傾向とは異なり、中学生徒数が横ばいで推移しているという特殊な状況にあります。部員数の急減による部活動消滅の懸念は比較的少ない一方、教員の競技未経験指導や休日部活動による負担が課題でした。令和5年度、文部科学省の「地域スポーツクラブ活動体制整備事業(実証事業)」に参加し、高取中学校・田隈中学校の2校4部活(卓球・男子ソフトテニス・サッカー・女子バスケットボール)を対象に、民間スポーツ事業者リーフラス株式会社に委託した休日部活動の地域移行実証を開始しました。令和6年度も同4競技での実証を継続・拡大し、令和7年度からは協議会を設置して「福岡市の実情に応じた部活動のあり方」を本格的に検討する段階に進んでいます。

特徴的な取り組み

  • 民間事業者への完全委託:休日の指導・運営をリーフラス株式会社に一括委託し、統括責任者と運営補助員の2層体制で指導の適切性を担保しました。
  • 大学生指導者の活用:地域の大学等と連携した人材バンクを設置し、競技専門知識を持つ大学生指導者を確保。学校の要望に応じてマッチングする仕組みを整えました。
  • 3者打合せによる事前共有:学校関係者・運営事業者・教育委員会の3者が事前に活動目的や顧問の指導方針、生徒の競技力を共有し、移行後の生徒の混乱を最小化しました。
  • 毎回の活動報告書共有:運営事業者が作成した活動報告書を毎回教育委員会と学校関係者に共有し、透明性の高い運営を維持しました。

課題と解決策

課題 解決策
学校部活動と地域クラブで指導方針・目的が異なることによる生徒の混乱 3者打合せで事前に顧問の指導方針を共有し、移行前から生徒・保護者へ丁寧に説明
地域クラブが学校施設を使う際の連絡・調整役・鍵管理が教員に残る(土日のみ移行の限界) 当面の課題として認識。令和7年度設置の協議会で抜本的な対策を検討
指導者・受け皿の量と質の確保 地域大学と連携した人材バンクを設置し、学校要望に応じたマッチングを実施

成果・効果

令和6年2月に実施した生徒アンケートでは、「もっと上達したいと思うようになったか」95%、「真剣に取り組むようになったか」96%、「競技が楽しくて好きになったか」92%がそれぞれ肯定的に回答し、専門的な指導による意欲向上効果が確認されました。

顧問教員8人の月あたり時間外勤務時間は、実証事業開始後に8人中7人が減少しており、最大37時間07分の削減を記録した事例もありました。学校関係者アンケートでは「運営事業者の連携・対応に満足した」80%、「教員の負担は軽減されたか」73%が肯定的に回答。また保護者からは「地域クラブ活動への移行を進めるべき」との回答が92%に達しました。

出典

→ 原文: 令和5年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証報告書(福岡県福岡市)スポーツ庁

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

福岡市は少子化が進む全国的な傾向とは異なり、中学生徒数が横ばいで推移するという特殊な状況にある。部員数の急減という外圧ではなく、教員の競技未経験指導による質の問題と休日部活動による勤務負担という内部課題を整理した上で、令和5年度に文部科学省の実証事業に参加した。70校を擁する大都市でありながら、まず2校4部活に絞ってリーフラス株式会社への完全委託という実践的な手段を選んだ点に、この取り組みの特徴がある。少子化対応ではなく「教員の働き方改革」と「指導の質向上」を主目的に据えた移行設計は、同規模の政令市が今後方針を立案する際の一つの参照点となる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、学校・運営事業者・教育委員会による3者打合せを移行前に実施し、顧問の指導方針と生徒の競技力を事前共有することで、移行後の生徒の混乱を最小化する設計を採った。指導者の確保には地域の大学等と連携した人材バンクを設置し、競技専門知識を持つ大学生指導者を学校の要望に応じてマッチングする仕組みを整えた。さらに運営事業者が毎回の活動報告書を教育委員会と学校に共有することで透明性を確保し、統括責任者と運営補助員の2層体制が指導の適切性を担保している。低コストで実施できる3者打合せは、規模を問わない自治体でも採用しやすい手法である。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

土日のみの移行という形態の構造的な課題として、学校施設の鍵管理や連絡・調整役が引き続き教員に残ることが認識されている。令和7年度に協議会を設置し「福岡市の実情に応じたあり方」を本格検討する段階へ進む方針が示されており、完全移行に向けた抜本的な対策はこれからの議論に委ねられている。

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