トップ 事例を探す 岡山県 【事例】岡山県高梁市の部活動地域展開 ─ 消滅可能性自治体が「既存団体誘導」で年間2,000円のクラブを段階整備
全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 岡山県

【事例】岡山県高梁市の部活動地域展開 ─ 消滅可能性自治体が「既存団体誘導」で年間2,000円のクラブを段階整備

公開:2026.05.03 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・新法人を立ち上げず、既存スポーツ団体を地域クラブに位置づけて生徒を誘導する方式
・年間2,000円・月16回の高頻度低費用設計により経済的な参加障壁を排除
・こども教育・スポーツ振興・社会教育の三課連携で文化系も包括する庁内体制

自治体名 岡山県高梁市
人口規模 約2.8万人
中学校数 6校(生徒数527名)
運営形態 高梁FC(サッカー)・苹シャトルクラブ(バドミントン)等の既存スポーツ団体+行政(こども教育課・スポーツ振興課)連携型
対象競技 サッカー、バドミントン、剣道、軟式野球、バスケットボール等(既存団体対応種目)
保護者負担額 平均2,000円/年

取り組みの概要

高梁市は岡山県北部の中山間地に位置する人口約2.8万人の市です。消滅可能性自治体としても挙げられており、令和18年度の新中学1年生は市内でわずか64名になる見込みです。少子化により現在でも単独校でチームが組めない団体競技が多く、小規模校においてはスポーツ(運動部)の選択肢が極めて限られています。

高梁市が採用した地域移行の方針は「新しい団体をゼロから作る」のではなく、「既存団体に生徒を誘導する」「生徒と一緒に活動したい指導者・団体を探す」という考え方です。高梁FC(サッカー)や苹シャトルクラブ(バドミントン)などの既存スポーツ団体を地域クラブ(登録団体)として位置づけ、学校部活動からの受け皿とすることで、行政コストを最小限に抑えながら多種目の受け皿整備を進めています。

スポーツ系だけでなく文化芸術系(吹奏楽、美術等)も含む多世代型の地域クラブ活動を視野に入れており、スポーツ振興課とこども教育課が連携して体制整備を進めています。令和6年度は2クラブが移行中の段階で、参加費は平均2,000円/年という設定です。

特徴的な取り組み

  • 「既存団体に誘導する」という明確な方針転換:全国的に多い「新法人設立→部活移行」という発想ではなく、地域にすでに存在する高梁FCや苹シャトルクラブ等を地域クラブ(登録団体)として認定し、生徒を誘導する方式を採用。新設コストを省きながら即戦力の指導者・施設・ノウハウを確保できる手法です。
  • スポーツ・文化芸術の一体的な地域クラブ化を視野に:運動部だけでなく文化部(吹奏楽・美術・農業・商品開発等)も含めた多世代型クラブの体制整備を構想。スポーツ少年団(中学生年代の受け入れ)、地域クラブサークル(Sketch)等、地域の多様な団体を包括する仕組みを目指しています。
  • こども教育課・スポーツ振興課の二課連携体制:学校施設の活用調整をこども教育課が担い、スポーツ活動団体との連絡体制をスポーツ振興課が担う二課連携型の行政体制を構築。縦割りを排した横断的な支援体制が、文化・スポーツの双方を含む地域クラブ整備を可能にしています。
  • 月16回・年間2,000円という高頻度・低費用の設計:活動回数は月16回と高く、年間2,000円という低廉な参加費設定で経済的な参加障壁を排除。市所有施設・学校施設を活動場所として活用することで運営コストを抑えています。

課題と解決策

課題 解決策
消滅可能性自治体として生徒数が急減(令和18年度の新中1は64名見込み) 「既存団体誘導」方式により、限られた行財政リソースで多種目の受け皿を効率的に整備
財源の恒久的確保が困難(年間2,000円の会費だけでは限界) 市所有施設・学校施設を活動場所として無償活用し運営コストを低減。スポーツ少年団・地域スポーツ協会との費用分担を検討中
単独校でチームを組める種目が限られ、生徒の活動選択肢が狭い 複数校の生徒が合同で参加できる地域クラブ(登録団体)を設けることで、選択肢を拡大
文化部・運動部を一体的に管理する体制が不在 こども教育課(施設・学校側)とスポーツ振興課(スポーツ団体側)が連携する二課体制を設計。文化系は社会教育課が担当する三課連携の方向

成果・効果

令和6年度時点で2クラブが移行中(高梁FCサッカー・苹シャトルクラブバドミントン)という段階ですが、「既存団体誘導」という方針のもとで岡山県スポーツ協会(検討中)やスポーツ少年団、地域のクラブチームとの連携体制が形成されつつあります。月16回という高頻度の活動実績があり、年間2,000円という参加費は保護者への負担を最小限に抑えています。

消滅可能性自治体という厳しい条件下でも、新組織ではなく既存団体を活用することで着実な一歩を踏み出しています。令和8年以降は休日の学校部活動の地域移行に向けた運営団体設立の協議を進めており、文化・スポーツ双方を包括する「高梁市版総合型地域クラブ」のビジョンを描きながら段階的に整備を進めています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(岡山県)|スポーツ庁

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

この取り組みでは、新たな団体をゼロから立ち上げるのではなく、高梁FCや苹シャトルクラブといった既存スポーツ団体を地域クラブ(登録団体)として位置づけ、生徒を誘導する方針を採用しています。消滅可能性自治体として令和18年度の新中1が64名まで減る見込みのなか、新設コストを抑えながら指導者・施設・ノウハウを確保できる現実的な手法です。既存地域クラブの活用を前提とする和歌山県と同じ系譜にあり、新規組成が難しい小規模地域における共通解として位置づけられます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

高梁市は、運動部だけでなく吹奏楽・美術・農業・商品開発等の文化芸術系も含めた多世代型クラブの体制整備を視野に入れています。学校施設の活用調整をこども教育課が、スポーツ活動団体との連絡をスポーツ振興課が担い、文化系は社会教育課が担当する三課連携の方向で設計されている点が特徴です。文化系を含む地域移行を進める北海道紋別市と同様、生徒数の少ない自治体で一人の生徒が複数活動を選べる環境を担保するには、縦割りを超えた庁内体制と多種目化の組み合わせが現実的な選択肢となります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

高梁市方式が成立する前提は、地域に受け皿となり得る既存団体が存在することです。サッカークラブや文化サークル等が乏しい地域では、まず団体のリストアップと中学生受け入れの意志・能力の確認から始める必要があります。行政が学校・保護者・既存団体の間を仲介し、情報共有と信頼構築を担う体制を整えることが、このモデルを他地域で機能させる鍵となります。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →