【事例】北海道砂川市の部活動地域展開 ─ 市内唯一の中学校で4種目を地域指導者20人が会費なしで指導、受け皿の決まらない種目の方向性を令和8年度中に決める
・中学校1校の砂川市が、部活動の場所・時間・スクールバスを据え置いて4種目の休日を地域指導者に移した進め方
・指導者20人(資格所持15人)の確保と、平日指導・小学校教員の兼職兼業という令和7年度の新しい試み
・受け皿未定の種目、会場と移動手段、受益者負担という、本格実施に向けて小規模市が抱える課題
| 自治体名 | 北海道砂川市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約1.5万人(14,999人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 公立中学校1校(砂川中学校・生徒303人・運動部7部)。令和5年度に2校を統合して1校に。令和8年度に義務教育学校の開校を予定 |
| 運営形態 | 地域団体・人材活用型(バドミントンは地域団体「あすなろ」、ほかはバレーボール協会・陸上競技協会・ソフトテニス連盟などの地域指導者)。教育委員会学務課が実証事業全般と「砂川市部活動の地域移行検討協議会」を担当し、首長部局の政策調整課が予算措置を担う |
| 対象競技 | バドミントン、女子バレーボール(令和6年度から)、陸上競技、ソフトテニス(令和7年度から)の4種目・4クラブ |
| 保護者負担額 | 会費なし(令和7年度)。生徒は日本スポーツ振興センターの掛金(1人935円/年)、指導者は学校支援者補償制度保険(1校年額45,000円・全額公費) |
取り組みの概要
砂川市では平成28年から令和7年までの10年間で、小学校の児童数が240人、中学校の生徒数が146人減りました。令和5年度に中学校2校を統合して市内の中学校は1校になり、部活動は運動部7種目・文化部3種目です。市は令和5年度末に小学6年生と中学1・2年生、その保護者、中学校教員にアンケートを行い、地域への展開に肯定的な回答が約7割だったことを受けて、各競技の連盟・協会や地域団体に協力を依頼しました。令和6年9月に各団体から委員の推薦を受けて「砂川市部活動の地域移行検討協議会」を立ち上げ、10月の第2回協議会で受け入れの可否の回答を受けています。令和6年11月にバドミントン、12月に女子バレーボールで休日の実証を始め、令和7年度は4月に陸上競技、5月にソフトテニスが加わって4種目になりました。協議会は設置済みで、推進計画・ガイドラインは令和7年度報告書の時点で未策定です。
特徴的な取り組み
- 部活動の場所・時間・移動手段を据え置いた実証: 実証期間中は部活動を行っていた場所と時間をそのまま使い、帰りのスクールバスの部活動便も従来どおり使うことで、生徒・保護者に新たな費用負担が出ないようにしました。指導者への謝礼・費用弁償・保険は行政が負担しています。
- 開始前の三者打合せ: 実証を始める前に、教育委員会・学校・地域の指導者で事前の打合せを行い、指導方針や事故発生時の連絡体制を確認しました。部活動顧問と共同で始めて徐々に地域指導者が主導する形に移しており、市は学校と指導者の連携が強まり円滑に移行できたとしています。
- 平日の指導と小学校教員の兼職兼業: 令和7年度は3種目で地域指導者が平日の部活動も指導し、地域指導者だけで試験的に部活動を行う取組や、市内の小学校教員が兼職兼業で部活動の指導員に登録して指導する取組も行いました。バドミントンとソフトテニスは平日の指導回数が少しずつ増えています。
- 指導者20人のうち15人が資格所持: 指導者の知人・友人や地域の連盟団体に参画を依頼し、4種目で20人の指導者を確保しました。連盟から多くの登録を得たとしています。資格を持つ指導者は15人です。
- SNSでの出欠と報告: 地域の指導者と学校がSNSなどで連絡を取り合い、当日の出欠の把握や実施内容の報告を簡単に行えるようにしました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 受け皿の決まっていない種目がある(令和8年度からの段階にバスケットボール・野球・卓球を位置づけ) | 指導者の見通しが立たない種目は公募などの手法を検討し、令和8年度中に今後の活動の方向性を決める。部員数の推移も確認しながら学校と協議し、検討協議会で決定する |
| 今は部活動の位置づけのため学校体育館やスクールバスを円滑に使えているが、完全な地域展開では会場と生徒の移動手段の確保が課題になる | 令和8年度の義務教育学校開校後の廃校舎の活用を市が検討しており、方向性が決まり次第、協議会で対応方針を協議する |
| 継続的な活動のための財源の確保と受益者負担の在り方が決まっていない | 受益者負担について今後協議会で議論する |
| 総括コーディネーターがおらず、教育委員会がその役割を担っている | 総括コーディネーターの募集を検討する |
成果・効果
令和7年度の参加者は、バドミントンが1年生32名・2年生7名(指導者3人)、バレーボールが1年生12名・2年生7名(同4人)、陸上競技が1年生5名・2年生3名(同4人)、ソフトテニスが1年生7名・2年生11名(同9人)でした。活動は休日の午前と平日の放課後で、ソフトテニスは平日月3〜5回・休日月3〜4回と最も多く活動しています。大会には部活動として参加しています。市は、学校や教育委員会と情報共有と連携を密にしたことで実証開始から大きな問題なく事業を進められたこと、各種目で専門的な指導を行えたことで生徒の技術力が向上したことを成果に挙げています。
令和6年度の報告書では、バドミントンの指導を担う地域団体の指導者は全国大会で個人優勝した選手を育てた団体の指導者で、団体に所属していない生徒への指導に懸念があったものの、生徒一人ひとりに応じた指導を行うことで問題なく進んでいると報告されています。地域指導者が休日を担ったことで、それまで複数の顧問で行っていた休日の部活動で一部の顧問が休めるようになり、負担軽減につながったとしています。今後6年間で生徒数が約100人減る推計もあり、市は部員数によっては廃部の検討対象になる部活動が出る可能性にも触れたうえで、地域と連携できている種目は休日の完全な地域展開を目指し、平日も地域指導者と連携して準備を進めるとしています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 北海道砂川市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 北海道砂川市」(報告書検索システム)
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