【事例】兵庫県加東市の部活動地域展開 ─ 部活動指導員23人の検証を経て令和10年度総体後に平日・休日を一体展開
・部活動指導員を23人まで増やした加東市が、実証事業の検証を根拠に地域移行型へ方針転換した経緯
・国の段階移行をやめ、令和10年度総体後に平日・休日を一体展開して部活動を廃止するスケジュール
・市の認定制度・人材バンク・指導者資格取得補助金という受け皿づくりの3点セット
| 自治体名 | 兵庫県加東市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約3.9万人(38,959人・令和8年3月末時点) |
| 中学校数 | 3校(市内に3つの中学校区・全中学校区で小中一貫教育を実施) |
| 運営形態 | 市が認定する活動団体による地域クラブ活動(加東市教育委員会が認定・指導者マッチングを担当) |
| 対象競技 | 全種目(令和10年度総体後に部活動を廃止し地域クラブ活動へ) |
| 保護者負担額 | 市公表資料に金額の記載なし(令和7年9月時点) |
取り組みの概要
加東市は令和2年度に部活動指導員2人の配置から始め、令和3年度5人、令和4年度8人、令和5年度12人、令和6年度18人、令和7年度23人と毎年度人数を増やしてきました。令和7年8月20日時点で23人のうち14人が休日・平日ともに指導に入っています。
令和6年度には各校1部活動を選定し、「学校管理下の部活動を部活動指導員が中心となって運営することで、どのような課題があるのか」を検証する実証事業を行いました。有効性としては生徒の技術面の向上と、専門外の種目を担当する顧問が練習メニューを考えたり指導をしたりする負担の軽減が挙がりました。一方で、学校行事や授業で部活動の時間を急に変更せざるを得ない場合に学校の予定と部活動指導員の都合が合わないこと、大会や練習試合の調整・打ち合わせ・役員などの業務は教員が担当しなければならないこと、生徒間トラブルの対応に時間がかかることが課題として残りました。
この検証結果を踏まえ、市は「現行の部活動において、部活動指導員が中心となって運営した場合でも、教職員の関りが大きな比重を占める」と確認し、兵庫県が目標に掲げる「原則、教職員が従事しなくてもよい環境づくり」は困難だと判断しました。そのうえで、県が示す3類型のうち地域移行型を新たな方針に定め、「学校管理下の部活動」から「活動団体主体の地域クラブ活動」への地域展開を進めることにしています。
特徴的な取り組み
- 部活動指導員方式の限界を自ら検証して方針転換した: 23人まで配置を拡大した実績を持ちながら、実証事業の結果を根拠に「指導員を増やしても教職員の関与は減らない」と結論づけ、地域移行型へ舵を切りました。拡充してきた施策を検証データで見直した点が、この事例の出発点です。
- 国の段階移行をやめ、平日・休日を一体で展開する: 当初は国が示していた段階的な移行(令和9年度総体後に休日、令和11年度総体後に平日)を予定していましたが、「加東市部活動あり方検討委員会」(令和7年8月20日開催)での協議結果を受け、令和10年度総体後から平日・休日を一体的に地域展開するスケジュールへ見直しました。
- 令和10年度総体後に部活動を廃止する: 令和10年度総体後に部活動を廃止し、新たに地域クラブ活動として子どもたちの居場所づくりや活躍の場を整備する方針です。学年別の進行表を公表し、現在の学年ごとにいつ切り替わるかを示しています。
- 市の認定制度で活動団体の質を担保する: 活動団体は生徒や保護者が安心して参加できるよう市が認定する団体とし、認定制度の要件を満たした団体を活動の場として子どもたちに周知します。提出書類の受付から一次審査・仮認定・説明会/研修会・参加者募集・活動開始までの流れも整理されています。
- 指導者資格の取得費用を市が補助する: 「加東市地域クラブ活動指導者資格取得補助金交付要綱」に基づき、日本スポーツ協会の各加盟団体が公認する競技別指導者資格(コーチ1〜4)、スポーツ指導者基礎資格(スポーツコーチングリーダー・スタートコーチ)、日本パラスポーツ協会の初級〜上級パラスポーツ指導員などの取得を支援します。対象経費は講習会等の受講料・資料代・資格登録料・有資格の更新料等で、新規取得者だけでなく上級資格を目指す有資格者も対象です。
- 人材バンクと市教委によるマッチング: 指導者として活動を希望する人は人材バンクへ登録する制度を整備する予定で、公認した活動団体が指導者を増やしたい場合は加東市教育委員会が指導者と活動団体のマッチングを行います。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 部活動指導員を23人まで増やしても教職員の関与が大きな比重を占め続けた | 実証事業の検証結果をもとに、県が示す3類型のうち地域移行型を新たな方針として採用した |
| 学校行事や授業で活動時間が急に変わると、学校の予定と部活動指導員の都合が合わない | 学校管理下の運営そのものを見直し、活動団体が主体となる地域クラブ活動へ展開する |
| 大会・練習試合の調整や役員業務が教員に残る | 令和10年度総体後に部活動を廃止し、運営を活動団体へ移す |
| 休日と平日を分けて段階移行すると移行期間が長期化する | 部活動あり方検討委員会の協議で、令和10年度総体後から平日・休日を一体的に展開する方式へ見直した |
| 民間のクラブと区別がつかず活動の質を担保できない | 市が認定する団体のみを活動の場として周知する認定制度を設ける |
| 指導者資格を持つ指導者が不足している | 指導者資格取得補助金で受講料・登録料・更新料を補助し、人材バンク登録者と活動団体を市教委がマッチングする |
成果・効果
令和7年9月3日の総務文教常任委員会資料の時点で、地域クラブ活動そのものはまだ開始前であり、参加者数などの実績は公表されていません。確認できる定量的な成果は部活動指導員の配置拡大で、令和2年度の2人から令和7年度の23人へ6年間で11倍以上に増やし、うち14人が休日・平日ともに指導に入る体制をつくっています。
この事例の実質的な成果は、その配置拡大の効果を自ら検証し、「部活動指導員が中心となって運営しても教職員の関与は減らない」という結論を公式資料で明示したうえで方針を転換した点にあります。市は検証を根拠に移行の完了時期を令和10年度総体後に定め、学年別進行表とスケジュールイメージを公表して、どの学年がいつ切り替わるかを保護者が追えるようにしています。
出典
→ 原文: 加東市教育委員会事務局こども未来部学校教育課「総務文教常任委員会資料 ─ 部活動地域展開について(令和7年9月3日)」(PDF)
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