トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県阿見町の部活動地域展開 ─ 講座型・拠点校型・各校派遣型の3パターンを同時実証し116人が参加、方式ごとの指導者必要数を検証
全種目 👥 5~10万人 🏫 大規模校(300人以上) 📍 茨城県

【事例】茨城県阿見町の部活動地域展開 ─ 講座型・拠点校型・各校派遣型の3パターンを同時実証し116人が参加、方式ごとの指導者必要数を検証

公開:2026.08.23 更新:2026.08.23
この記事でわかること

・講座型(陸上)・拠点校型(バレー)・各校派遣型(弓道)の3パターンを同時実証した阿見町の設計
・「各校会場方式は倍以上の指導者が必要」という比較検証から得られた定量的な知見
・兼職兼業教員・町内公募・大学生の3経路で指導者16名を確保した募集手法と残る課題

自治体名 茨城県阿見町
人口規模 約5.0万人(令和6年度成果報告書時点:50,317人)
中学校数 3校(阿見・朝日・竹来、全生徒1,184人・32部活動)
運営形態 行政直営(阿見町地域クラブ〔仮称〕を町教育委員会生涯学習課が運営)
対象競技 陸上競技、女子バレーボール、弓道
保護者負担額 参加会費なし(教育委員会負担。別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円)

取り組みの概要

阿見町では3中学校の間で生徒数・部員数に差が出ており、部員数の不足により朝日中学校では野球部が休部、竹来中学校ではバスケットボール部が廃部となり、サッカー部は他市町村との合同部活動になっています。競技経験のない教員が顧問を務める部活動もあり、学校部活動だけでは持続的な環境の維持が難しい状況でした。令和5年度に教員・生徒・保護者へ実施したアンケートでは、教員の51%が「地域移行した場合、土日の指導を他の指導者に任せたい」と回答し、生徒・保護者からは「より専門的な指導」を地域クラブ活動に求める声が多く寄せられました。これを受けて町はスポーツ庁「地域スポーツクラブ活動体制整備事業」(茨城県実証事業)を活用し、令和6年度のモデル事業として種目の特性に合わせた3つの異なる移行パターンを同時に実証しました。

特徴的な取り組み

  • 3パターン同時実証という設計: ①誰でも参加できる「講座型地域移行」=陸上競技(令和6年10月開始・週1回土曜午前)、②拠点校を設定して合同練習を開催する「拠点校地域移行」=女子バレーボール(令和7年2月開始)、③各中学校に指導者を派遣する「各学校・各種目地域移行」=弓道(令和7年2月開始・月1回)。種目特性に応じた3方式を並行して試し、それぞれのメリット・デメリットを比較検証しました。
  • 多様な経路での指導者募集: 教員向け説明動画・資料を町内小中学校に配布し、兼職兼業希望教員向け説明会で4名を確保。町内での募集(メール・ホームページ・チラシ配布)で6名を採用し、大学生への指導者協力依頼で4名を確保するなど、計16名の指導体制を複数経路で構築しました。
  • アンケートを起点にした制度設計: 令和5年度の学校部活動現状調査(教職員・生徒アンケート)で「任せたい教員が過半数」「生徒は専門的指導を期待」という実態を掴んでからモデル事業を設計。検討委員会(年3回)と保護者説明会で関係者間の協議・意見交換を重ねました。
  • 会費なし・学校施設活用の低負担設計: 参加会費は教育委員会負担で無料とし、活動場所は3中学校。移動手段は徒歩・自転車・保護者送迎で、生徒の参加ハードルを下げています。

課題と解決策

課題 解決策
指導者の確保がモデル事業で判明した最大の課題。特に各学校を会場とする方式(弓道型)は1か所で活動する方式と比べ倍以上の指導者が必要で、必要数に満たず活動がなかなかスタートできない種目もあった チラシ配布・町広報紙・ホームページ・メールでの継続的な指導者募集と、現役大学生へのアプローチを対応方針として明記
現行部活動とのスケジュール調整・学校施設の鍵の管理など学校との連携 スケジュール調整・共有をより密にし、鍵の管理について今後検討・協議を行う
移行種目の拡大 3パターンで実証した成果・課題を活かし、各種目の状況に合わせたパターン設定・移行方策を検討して順次実施

成果・効果

令和6年10月の陸上競技を皮切りに3種目の地域クラブ活動が始動し、1年生63人・2年生49人・3年生4人の計116人が参加しました。検討委員会の設置・開催による関係者間の協議、教員向け説明動画・保護者説明会による周知、複数経路での指導者募集・採用と、体制整備から活動開始までを1年度内に実現しています。報告書は「阿見町として地域クラブをスタートできたことは大きな成果」と総括しつつ、3パターンいずれにもメリット・デメリットがあり、共通する課題は指導者の確保だったと率直に評価。今後は指導者募集の枠を拡大し、地域移行種目の増加を目指すとしています。大会には中体連・その他とも部活動として参加しています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(茨城県阿見町)(茨城県教育委員会掲載・PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

阿見町の価値は「1年で3方式を並行比較した」ことに尽きます。多くの自治体は講座型・拠点校型・学校派遣型のいずれか一つを選んで走り出しますが、阿見町は陸上・バレー・弓道という性格の異なる3種目にそれぞれ別方式を割り当て、実地で比較検証しました。その結果得られた「各学校を会場にする方式は拠点集約型の倍以上の指導者が必要」という定量的な知見は、方式選択に悩む全国の自治体にとって貴重な判断材料です。また、教員アンケートで51%が「土日は任せたい」と答えた事実を制度設計の出発点に据えており、教員の負担軽減という改革の原点から逆算した設計になっている点も筋が通っています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

3パターン同時実証は知見が多い反面、指導者を3系統同時に確保する負荷がかかります。阿見町でも指導者不足で活動開始が遅れた種目があり、導入する場合は「まず講座型(拠点1か所・指導者最少)から始め、指導者が集まった種目から派遣型へ広げる」という段階設計が現実的です。指導者募集は兼職兼業教員・町内公募・大学生の3経路を並行させた点が参考になりますが、大学生は卒業で入れ替わるため、継続的な供給ルート(大学との協定等)の整備が中期的には必要です。学校施設の鍵の管理という一見小さな論点も、休日活動の実務では必ず躓くポイントであり、初年度から学校と取り決めておくことをお勧めします。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

検討委員会年3回・保護者説明会・教員向け説明動画と、意思決定と周知の回路が体系的に回っており、教育委員会(運営・会員管理・指導者謝礼)と首長部局(政策・予算調整)の分担も明文化されています。会費なし・教委負担のモデルは参加促進には有効ですが、種目拡大に伴い財政負担が増える構造のため、どこかの段階で受益者負担との組み合わせを検討する必要があります。1〜2年生が112人に対し3年生4人という参加構成は、引退時期を考えれば自然ではあるものの、低学年からの定着が進めば数年で参加規模が大きく育つ可能性を示しており、指導者供給が拡大のボトルネックになるという町の自己分析は的確です。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →
企業の方へ
部活動地域展開の市場・本サイトの読者層に関心のある企業向けのご案内ページをご用意しています。
FOR BUSINESS →