【事例】新潟県魚沼市の部活動地域展開 ─ 平日・休日一体の地域クラブ活動で一貫指導を実現
・新潟県魚沼市が平日・休日一体の地域クラブ活動移行を実現した経緯と体制
・総括コーディネーター制度によるクラブ活動の統括管理モデル
・中山間地域の自治体が少子化に対応した持続可能な地域クラブを設計する際の視点
| 自治体名 | 新潟県魚沼市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約3万3千人(令和6年度時点) |
| 中学校数 | 5校(公立中学校生徒数725人、部活動29部活) |
| 運営形態 | 市教育委員会(学校教育課・生涯学習課)+総括コーディネーター1名+コーディネーター11名 |
| 対象競技 | バスケットボール、軟式野球、バレーボール、卓球、柔道、剣道、陸上競技など8種目 |
| 保護者負担額 | 不明(移動費等の負担が課題として残存) |
取り組みの概要
新潟県魚沼市では、県平均を上回るペースで少子化が進行しており、学校によっては部員不足により学校部活動の存続が危ぶまれる状況が生じていました。令和元年度に「魚沼市部活動検討委員会」を設置し、学校・保護者・スポーツ協会関係者等による学校規模を踏まえた望ましい部活動のあり方を検討してきました。令和5年度に3中学校の軟式野球で先行実施を開始し、平日と休日の部活動を一体的に地域クラブ活動へ移行する方針を確認。令和6年度には軟式野球に加えてバスケットボール・卓球・バレーボール・柔道・剣道・陸上競技を加えた8種目11地域クラブ活動を実施し、令和7年度中に全部活動の移行を実現することを決定しました。
特徴的な取り組み
- 総括コーディネーター制度:総括コーディネーター1名が各地域クラブ活動の統括管理を行い、各クラブのコーディネーター(11名)と連携して全体を統括する体制を整備しました。
- 平日・休日の一体的移行:休日だけでなく平日の部活動も含めた一体的な地域クラブ活動への移行を実現。平日活動によりチームの一体感が生まれ、中学3年生が「引退をしない」という継続性も生まれました。
- 多種目体験型クラブの創設:総合型地域スポーツクラブ(エンジョイスポーツクラブ魚沼)が多種目体験型の地域クラブ活動を創設し、土曜日に年間約20回活動。サッカーや陸上競技の他に体力測定・コンディショニングトレーニング・ピラティス等も実施しました。
- 移行コスト低減への工夫:指導者の仕事都合に配慮し、活動開始時刻を17時や17時30分に設定。保護者がサポートする柔軟な運営体制を整えました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 平日の地域クラブ活動に伴う生徒の移動による保護者負担 | 徒歩や自転車での移動を基本とした学校区内での活動場所の設定、保護者サポート体制の整備 |
| 活動開始時刻や食事時間の確保・就寝時間変化への懸念 | 指導者の兼職兼業の許可を得た教員が指導を担い、17〜17時30分開始とするなど柔軟に設定 |
| 新入生などへの周知と魅力発信 | 地域行事や学校連携を活かした広報の充実、学校の体育行事で玉東クラブが活躍する場を設けるなど接点を強化 |
成果・効果
地域全体の部活動が地域クラブ活動へ移行することで、少子化が進む学校においても子供たちの選択肢が確保されました。平日と休日を一体的に進めることで指導の一貫性が担保され、教員の放課後務め超える業務軽減につながり、授業準備や生徒指導に専念できる環境が整備されました。参加者からは「高校に進学してもスポーツを続けたい」「受験勉強の合間に体を動かしたい」という声も上がっており、生徒のスポーツへの関わり方が大きく変わりつつあります。魚沼市の少子化は新潟県のペースを上回っており、この取り組みが中山間地域の地域クラブ活動モデルとして全国的な参考事例となっています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集」(令和7年3月)p.104-105
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
魚沼市の最大の特徴は「休日だけ」の地域移行という中途半端な対応を避け、平日・休日を一体的に移行した点にあります。多くの自治体が「休日の部活動から段階的に」という戦略を採る中で、魚沼市が一体移行を選んだ理由は明確です。休日だけ地域クラブ活動にしても、同一種目で平日と休日の参加者が異なり、チームとして活動する上で困難が生じます。特に少子化が進んだ中山間地域では、人数を集めるためにも「学校単位の部活動から地域単位の地域クラブ活動へ」という転換が不可避です。
総括コーディネーター1名が11名のコーディネーターを統括するピラミッド型の管理体制も参考になります。各クラブに1名のコーディネーターを置くことで現場の細かい調整(移動手段・保護者連絡・緊急時対応)が可能になり、総括コーディネーターは全体の方針管理と行政との折衝に集中できます。このコーディネーター体制の設計は、他の中山間地域の自治体が地域クラブ活動を安定運営するための参考モデルです。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
平日移行の最大のハードルは保護者の移動負担です。魚沼市でも保護者の送迎負担が課題として残っています。対策としては、活動場所を中学校区内に絞ること、徒歩・自転車で通える距離に設定すること、地域の高校生や大学生ボランティアによる見守り体制を整えることが有効です。また、平日の活動開始時刻は指導者の仕事終わりに合わせて17〜18時台が現実的であり、完璧を求めず「できる種目・できる日程」から段階的に拡充していく姿勢が長続きの秘訣です。
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