【事例】茨城県つくばみらい市の部活動地域展開 ─ 総合型「スポーツクラブみらい」が雇用主となり3種目の土日練習を移行・兼職兼業教員は時給1,600円で指導へ
・総合型クラブ「スポーツクラブみらい」が雇用主となり卓球・剣道・バドミントンの土日練習を移行した仕組み
・兼職兼業教員が時給1,600円の地域クラブ指導者としてクラブに所属する制度設計と登録の流れ
・4中学校区+小学生保護者への説明会を重ねた合意形成プロセスと大会参加・部活動再編成の残課題
| 自治体名 | 茨城県つくばみらい市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約5.4万人(令和6年度成果報告書時点:53,503人) |
| 中学校数 | 4校(全生徒1,469人・48部活動) |
| 運営形態 | 総合型地域スポーツクラブ(つくばみらい市総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブみらい」が運営主体) |
| 対象競技 | 卓球、剣道、バドミントン(土日の練習を移行) |
| 保護者負担額 | 参加会費0円(別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円) |
取り組みの概要
つくばみらい市は、総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブみらい」を主体とした部活動の地域移行を進めています。スポーツクラブみらいは「生涯スポーツ活動社会」「生涯文化活動社会」を目指し、「誰でも」「いつでも」「いつまでも」を合言葉に活動する団体です。令和6年度は部活動地域移行の試行として、卓球部・剣道部・バドミントン部の土日の練習を8月から移行。市内4中学校を対象に、バドミントンクラブ(伊奈東中)、剣道クラブ(伊奈中)、卓球クラブ(伊奈・谷和原・小絹の3拠点)の3クラブを設け、中学1・2年生107人が所属しました。平日の部活動はこれまで通り顧問による指導を継続し、地域移行した部は教員主体で土日に練習のみの日は設けない役割分担です。参加会費は0円、練習日程の連絡はスポーツクラブみらいのホームページ予定表で行いました。
特徴的な取り組み
- 総合型クラブが「雇用主」となる指導者確保: スポーツクラブみらいが雇用主となり、各競技の経験歴・指導歴をもつ地域人材を指導者として確保。市内中学校で部活動指導員として活躍している人や市の会計年度任用職員、過去にクラブと関係のあった指導者に声をかけたほか、クラブのホームページで広報活動も実施。高校生がボランティアで手伝うケースもあり、計12名の指導体制を整えました。
- 兼職兼業教員の受け皿を制度化: 令和7年2〜3月に土日の練習指導を希望する教職員の兼職兼業登録手続きを行い、令和7年8月中旬からは地域クラブ活動指導者(時給1,600円)としてスポーツクラブみらいに所属して土日の練習を担う流れを明示。転入した教員にも登録を案内する運用です。
- 4中学校区すべてで保護者説明会: 伊奈中(22名)・伊奈東中(7名)・谷和原中(15名)・小絹中(20名)の各学校区で部活動地域移行説明会を実施。さらに公民館で小学5・6年生の保護者向け説明会も開催し、進学前の家庭にも情報を届けました。質疑では「部活動指導員と外部指導員の違い」「大会や練習試合には出られるのか」などの質問に市職員や校長が回答しています。
- クラブマネジャーによる指導者研修: スポーツクラブみらい所属クラブマネジャーを講師に「部活動地域移行に関して」と題した講演を市教育委員会で実施(安全管理・生徒指導が主内容)。地域クラブ指導者向けにも安全面・指導面の研修を2回行い、マネージャーが各指導者の意見を聞き現場を訪れる連携体制をとりました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 少子化による小規模化で団体競技のチーム編成ができず、部活動の再編成が必要 | 市部活動地域移行連絡協議会を市教育委員会で開催し、市中体連にも市職員が参加して地域移行の方向性を説明。令和7年度は兼職兼業の希望調査や部活動再編成の状況を考慮した改革を進める方針 |
| 専門性や意志に関わらず顧問を務める教員の指導体制が残り、練習試合や大会の引率も教職員に頼っている | 兼職兼業登録制度により「希望する教員が時給1,600円の地域クラブ指導者として関わる」形へ切り替え、意志に基づく関与に転換 |
| 競技ごとの指導者が孤独感を感じてしまう場合がある | 定期的に研修会を実施して指導者間の情報交換の場を確保。「他の指導者がどのように考えているか知ることができた」との受講者の声 |
成果・効果
保護者・生徒をはじめ、地域スポーツクラブ・地域の方々・教員の協力により、令和6年8月から卓球・剣道・バドミントンの3部活動の土日移行が完了し、107人の生徒が月1〜3回の地域クラブ活動に参加しました。各学校区での説明会は建設的な雰囲気で進み、「教職員の働き方改革が推進できないか」という意見や来年度の説明会開催を求める要望も寄せられています。報告書は「この改革で一番大切なのは、主体となる生徒や保護者の気持ちである。すべての要求に応えることはできないとしても、できる限りの検討をしていく必要がある」と総括しています。なお、現段階ではクラブとしてチームを作らないため大会には参加していません。
出典
→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(茨城県つくばみらい市)(茨城県教育委員会掲載・PDF)
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