トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県鉾田市の部活動地域展開 ─ 合同部活動を同じ指導者のまま地域クラブへ移行・社会人アメフト「茨城セイバーズ」とフラッグフットボールも新設
全種目 👥 1~5万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 茨城県

【事例】茨城県鉾田市の部活動地域展開 ─ 合同部活動を同じ指導者のまま地域クラブへ移行・社会人アメフト「茨城セイバーズ」とフラッグフットボールも新設

公開:2026.08.23 更新:2026.08.23
この記事でわかること

・既存の合同部活動を顧問の兼職兼業で「同じ指導者のまま」地域クラブへ移行する鉾田市の手法
・社会人アメフトチーム「茨城セイバーズ」と連携した新種目フラッグフットボールの立ち上げ
・教員兼職兼業依存・運営団体不在・送迎費用という小規模市共通の課題と鉾田市の検討方針

自治体名 茨城県鉾田市
人口規模 約4.7万人(令和6年度成果報告書時点:46,537人)
中学校数 4校(全生徒933人・52部活動)
運営形態 行政直営(鉾田市教育委員会 生涯学習課が3クラブを運営)
対象競技 軟式野球、サッカー、フラッグフットボール
保護者負担額 野球・サッカーは会費0円、フラッグフットボールは月会費6,000円(別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円)

取り組みの概要

鉾田市は年少人口(15歳未満)の割合が11.1%まで低下する一方、老年人口(65歳以上)の割合は30.2%と県内平均より高く、市スポーツ少年団は平成25年度の38団から令和6年度には23団まで減少しています。市内中学校4校では、部員数の減少により野球部・サッカー部がすでに合同部活動として活動している状況でした。市はスポーツ庁「地域スポーツクラブ活動体制整備事業」(茨城県実証事業)を活用し、令和6年10月から令和7年2月まで実証事業を実施。既存の合同部活動(鉾田南中・旭中の野球部、鉾田南中・鉾田北中のサッカー部)を指導体制を変えずにそのまま「鉾田市地域クラブ」に移行するとともに、社会人アメリカンフットボールチーム「茨城セイバーズ」の指導者を迎えて部活動にない種目・フラッグフットボールのクラブを新設しました。

特徴的な取り組み

  • 合同部活動を「同じ指導者のまま」地域クラブ化: 既存の合同部活動を指導している顧問教員と外部コーチが、兼職兼業の許可を得てそのまま地域クラブの指導者に就任。指導方法が変わらないため、生徒が混乱したり心理的な不安を抱いたりすることなくスムーズに移行できました。
  • 社会人チーム連携の新種目クラブ: フラッグフットボールクラブは茨城セイバーズの指導者を迎えて新設し、各学校でクラブ員を募集。これまでにない種目を体験する機会を生み、大会にも出場しました。
  • 既存資源の徹底活用: 練習場所は部活動で使用している学校施設・備品をそのまま活用し、活動場所は市内小・中学校と公共施設。立ち上げコストを最小限に抑えています。
  • 教育委員会直営のシンプルな運営体制: 運営団体は市教育委員会(生涯学習課)で、地域の指導者を講師として登録し地域クラブへ派遣する仕組み。事務局・指導者・兼職兼業教員それぞれと月1回以上の頻度で連絡調整を行い、専任の運営スタッフを置かずに3クラブを運営しました。
  • 大会参加の使い分け: 野球・サッカーは中体連大会には部活動として、その他の大会には地域クラブとして参加する二本立てで、移行期の大会出場機会を確保しています。

課題と解決策

課題 解決策
指導者の確保(指導者の多くが学校教職員の兼職兼業に依存し、継続的な活動の確保が不透明) 実証段階では兼職兼業教員4名・外部コーチ1名・茨城セイバーズ指導者1名の計6名で運営し、指導者が少ない市内でどのような体制を整備するかを引き続き検討
地域クラブ活動の運営団体の確保(会場準備・出欠報告・緊急時対応など教職員が担ってきた事務の担い手) 実証事業では市教育委員会が運営団体となり、連絡調整や地域との連携を円滑に実施。恒常的な運営団体の確保は今後の課題として明記
地域クラブとして大会参加する場合の送迎費用の負担 現在は各種大会に部活動として参加。今後地域クラブとして参加する場合の費用負担のあり方を引き続き検討

成果・効果

実証期間(令和6年10月26日〜令和7年2月28日・月4回程度、約16日間)で、野球クラブに1年生2人・2年生8人、サッカークラブに1年生1人・2年生10人、フラッグフットボールクラブに2年生9人・3年生1人が参加しました。指導が変わらない体制で移行した結果、学校で運動部に加入している生徒が全員地域クラブで活動するに至っています。部活動にない種目のフラッグフットボールでは生徒が多様な種目にふれる機会が創出され、大会出場も実現。運営面でも市教育委員会が直営したことで連絡調整や地域との連携が円滑に行えたと総括されています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(茨城県鉾田市)(茨城県教育委員会掲載・PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

鉾田市の事例が示すのは「移行の摩擦を最小化する順番」です。すでに合同部活動という形で学校の枠を越えていた野球・サッカーを、同じ顧問・同じ外部コーチ・同じ学校施設のまま制度上だけ地域クラブに切り替えたため、生徒側の体験はほとんど変わらず、運動部加入生徒全員の参加という結果につながりました。合同部活動は多くの自治体で「過渡期の苦肉の策」と見られがちですが、鉾田市はこれを地域展開への既設の橋として使った形です。さらに、移行組とは別に社会人アメフトチーム連携のフラッグフットボールを新設し、「変わらない安心」と「新しい選択肢」を同時に提示した設計は、住民の合意形成の観点でも参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この方式の前提は、顧問教員の兼職兼業許可がスムーズに得られることです。鉾田市も「兼職兼業の教員が指導者を引き受けてくれたため連絡調整が円滑だった」と率直に記しており、裏を返せば教員が引き受けない場合に成立しない脆さがあります。導入時は、兼職兼業の報酬・保険・勤務時間管理のルールを教育委員会側で先に整備し、教員の善意に依存しない条件提示が必要です。また、会費0円(フラッグフットボールのみ月6,000円)という設定は実証事業財源があってこそ可能なもので、本格実施時の受益者負担設計と、保護者送迎に頼る移動手段の代替策(送迎費用の負担者の明確化)を早期に詰めることが移植の鍵になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

教育委員会直営・運営スタッフ0人という極めて軽量な体制は、実証段階の機動力としては優れていますが、報告書自身が指導者の教員依存と恒常的な運営団体の不在を「不透明」「課題」と認めており、持続可能性はまだ確立していません。一方で、会場準備・出欠報告・緊急時対応といった移譲すべき事務を具体的に言語化できている点は、次の担い手探しの要件定義がすでにできていることを意味します。中体連大会は部活動、その他は地域クラブという出場の使い分けも現実的で、制度移行期の運用として誠実な設計と評価できます。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →
企業の方へ
部活動地域展開の市場・本サイトの読者層に関心のある企業向けのご案内ページをご用意しています。
FOR BUSINESS →