【事例】高知県四万十市の部活動地域展開 ─ ソフトテニス「S×Crew」を実証第1弾に据え、コーディネーター導入で受け皿づくりへ
・国の実証事業を活用し、ソフトテニス男女のクラブ「S×Crew」を指導者4名・選手26名で第1弾として始動
・市内・市外から選手を集める編成で、行政区域を単位にしない受け皿づくりを実証
・令和8年度方針で拠点校部活動の導入・部活動指導員の積極配置・コーディネーター導入の3点を明記
| 自治体名 | 高知県四万十市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約3.1万人(2026年6月30日時点:30,577人・16,258世帯) |
| 中学校数 | 3校(中村中学校・中村西中学校・西土佐中学校。ほかに休校中の中学校が8校) |
| 運営形態 | 行政直営(四万十市教育委員会生涯学習課スポーツ振興係が所管する「四万十市地域スポーツクラブ活動体制整備事業」。ソフトテニスはクラブ名「S×Crew」) |
| 対象競技 | ソフトテニス(男子・女子)を実証第1弾として実施。方針では拠点校部活動の導入と部活動指導員の配置を全体に適用 |
| 保護者負担額 | 公表資料に記載なし |
取り組みの概要
高知県四万十市は、中学校部活動の地域連携・地域移行に向けて国の実証事業を活用した「四万十市地域スポーツクラブ活動体制整備事業」を進めています。第1弾はソフトテニス(男子・女子)で、指導者4名とともに市内・市外から26名の選手が集まり、「S×Crew(エス クルー)」という新チームが結成されました。
この事業は令和5〜7年度の改革推進期間に位置づけられ、子どもたちのスポーツ環境の整備および教職員の負担軽減を目的としています。所管は市教育委員会生涯学習課スポーツ振興係で、活動報告が同課のページで継続的に公開されています。
令和8年度の教育行政方針では、部活動改革の推進として3つの具体的方策が示されました。①これまで学校に希望する部活動がなく活動ができなかった生徒に対して拠点校部活動を導入し、大会等に参加していくなど生徒の活動機会の確保を図る、②部活動の内容の充実および教員の負担軽減を目的として地域の指導者を活用した部活動指導員を積極的に配置する、③計画的な地域展開の推進のため、国や県の事業を活用して課題対応等に取り組みながら、学校との調整や指導者の確保を目的にコーディネーターを導入し、受け皿となる地域クラブの体制整備を行う、の3点です。
市立中学校は現在3校が開校中で、休校中の中学校が8校あります。人口は令和8年6月30日時点で30,577人・16,258世帯です。学校統合が進んだ結果、部活動の選択肢そのものが限られる地域構造の中での取組になります。
特徴的な取り組み
- 1競技に絞った実証で先に成功例をつくる: 全種目を一斉に動かすのではなく、ソフトテニス男女という1競技を第1弾に据え、指導者4名・選手26名という具体的な規模で始動しました。実証の結果を活動報告として継続的に公開し、次の競技へ広げる前の判断材料にする進め方です。
- 市外からの選手も受け入れる編成: S×Crewは市内・市外から26名の選手が集まって結成されました。学校単位でも市域単位でもない編成を実証段階から採用しており、人口3万人規模で1競技のチームを成立させる現実解になっています。
- コーディネーター導入を方針に明記: 令和8年度教育行政方針は、学校との調整や指導者の確保を目的にコーディネーターを導入し、受け皿となる地域クラブの体制整備を行うと明記しています。地域クラブを増やすこと自体ではなく、学校と地域をつなぐ調整役を先に置くという順序です。
- 拠点校部活動で「希望する部活動がない生徒」を救う: 拠点校部活動の導入目的が、これまで学校に希望する部活動がなく活動ができなかった生徒に活動機会を確保することだと明示されています。地域展開が完成するまでの間、部活動そのものが存在しない生徒を放置しない措置として位置づけられています。
- 部活動指導員の積極配置を並行実施: 部活動の内容の充実および教員の負担軽減を目的として、地域の指導者を活用した部活動指導員を積極的に配置する方針です。地域クラブの受け皿づくりと、学校部活動に地域人材を入れる取組を同時に進める二本立てになっています。
- 活動報告を大会成績まで含めて公開: 市の公式サイトで「活動報告(1)」以降を継続的に公開し、大会名と成績を具体的に掲載しています。実証事業の進捗が対外的に見える形で残るため、保護者や競技団体に対する説明材料としても機能しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 学校統合が進み、学校に希望する部活動がなく活動できない生徒が生じている | 拠点校部活動を導入し、大会等にも参加していくことで生徒の活動機会を確保する |
| 人口3万人規模の市域だけでは1競技のチームを組みにくい | 実証第1弾のS×Crewを市内・市外から集まった26名で編成し、行政区域にとらわれないチームづくりを実証する |
| 受け皿となる地域クラブを作ろうとしても、学校との調整や指導者の確保に手が回らない | 学校との調整や指導者の確保を目的としたコーディネーターを導入し、国や県の事業を活用して課題対応に取り組みながら受け皿の体制整備を行う |
| 地域クラブが整うまでの間、学校部活動の指導と教員負担の問題が残る | 地域の指導者を活用した部活動指導員を積極的に配置し、部活動の内容の充実と教員の負担軽減を同時に図る |
| 実証事業の成果が関係者に伝わらないと次の競技へ広げられない | 活動報告を市公式サイトで継続的に公開し、大会名と成績を具体的に記載して進捗を可視化する |
成果・効果
S×Crewは結成初年度から大会で成果を上げています。瀬戸大橋杯大会では男子準優勝・女子ベスト16、幡多地区春季大会では複数ペアが入賞して12ペアが県春季大会への出場権を獲得しました。
令和6年4月27日の高知県中学校ソフトテニス春季大会(個人戦)では女子が優勝・準優勝・3位を占め、5月5日の盾大会(団体戦)ではAリーグ男女優勝とBリーグ女子優勝、5月11日の四万十市・黒潮町・三原村球技大会では団体戦で男女とも優勝しました。県総体では男子団体3位、女子団体準優勝で四国大会出場を決め、個人戦でも複数ペアが四国大会出場を決めています。秋季大会では男子1年生の部と女子3年生の部で優勝しました。
3年生にとっては第1期生の中学校大会引退試合となり、実証開始から1つの世代が卒業まで到達したことになります。
出典
→ 原文: 四万十市「四万十市地域スポーツクラブ活動体制整備事業(ソフトテニス競技)始動!」
→ 原文: 四万十市「同事業(ソフトテニス競技)活動報告(2)!」
→ 原文: 四万十市「同事業(ソフトテニス競技)活動報告(4)!」
→ 原文: 令和8年度 四万十市教育行政方針(四万十市教育委員会)PDF
→ 原文: 四万十市「学校紹介」
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