【事例】静岡県浜松市の部活動地域展開 ─ 「はまクル」49校・令和8年9月始動・学校施設無償・セレクション禁止・統括コーディネーター配置モデル
・浜松市が「はまクル」49校・令和8年9月始動に向けて整備した認定制度と5要件
・セレクション禁止・学校施設無償・統括コーディネーター配置の制度設計のポイント
・はまクル指導者人材バンクと企業応援制度による大規模政令市型の多層的支援体制
| 自治体名 | 静岡県浜松市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約78万人(2024年時点) |
| 中学校数 | 49校(市立中学校)・生徒数20,999人 |
| 運営形態 | 市が認定する「はまクル認定クラブ」が実施主体(既存団体・NPO・保護者会等) |
| 対象競技 | スポーツ・文化芸術(部活動未設置種目のクラブ創設も可能) |
| 保護者負担額 | 各クラブが低廉な参加費を設定(経済困窮家庭への市の支援制度あり) |
取り組みの概要
静岡県浜松市は人口約78万人の政令指定都市で、49校の市立中学校に在籍する生徒数は20,999人に上る。市は令和8年9月(2026年9月)から休日の部活動の地域展開を開始し、「はまクル」(「はままつ」と「地域クラブ(CLUB)」を融合させた造語)のブランド名で推進する。令和5年5月に「休日の部活動の地域移行に向けた取組方針」を策定し、同年7月に「地域クラブ活動協議会」を設置してきた。令和7年12月には文部科学省から新たな地域クラブ活動ガイドラインが公表されたことを受けて本ガイドラインを策定した。令和8年9月以降は平日の学校部活動を継続しつつ、休日は「はまクル認定クラブ」への移行が基本となる。体制が整わない場合は「部活動指導員による学校部活動(地域連携)」を経て地域クラブへ移行する段階的な設計となっている。
特徴的な取り組み
- 「はまクル」ブランドによるクラブ認定制度(5要件): 市が認定した地域クラブを「はまクル認定クラブ」として公認し、5つの認定要件を設定している。①活動目的及び活動計画、②複数の指導者・活動場所の確保等指導者体制、③コンプライアンス意識の徹底、④公正な会計処理及び資金管理体制、⑤保険への加入の5点を規約に明示して申請が必要で、認定有効期間は最大3年間。認定クラブは「はまクルポータルサイト」での周知・中学校施設の優先使用・財政支援等の公的支援が受けられる。
- 学校施設の無償優先使用と低廉な参加費設計: はまクル認定クラブは市立中学校の施設を「休日の昼間は無償かつ優先的に使用可能」とした。活動時間は原則、土日どちらか3時間程度(週11時間程度の範囲内であれば土日2日連続も可能)。費用については「各クラブが可能な限り低廉な参加費等を設定」することが原則とされており、経済的に困窮する家庭には市が参加費等の適切な支援を行う体制も整備されている。
- セレクション禁止・幅広い年代への開放: 参加対象は浜松市内在住の中学生(私立・県立・国立中学校に通学する生徒も含む)を基本としており、セレクション等の選抜は明確に禁止されている。また、小学生・高校生・大人も含めた幅広い年代の参加が可能な設計となっており、地域全体で活動を支える包摂的な仕組みとなっている。
- 統括コーディネーター配置と多機関連携体制: 市内に「統括コーディネーター」を配置し、はまクル認定クラブと学校との円滑な連携を支援する体制を整えた。スポーツ協会・文化振興財団・中体連等の関係団体との連携・協力体制を構築するとともに、「企業応援制度(仮称)」の整備によりクラブへの企業支援も促進する方針が打ち出されている。
- はまクル指導者人材バンクによる指導者確保・マッチング: 「はまクル指導者人材バンク」制度を設け、18歳以上(高校生除く)の成人2名以上が指導者人材バンクに登録することではまクル認定クラブ申請が可能となる。指導者の報酬は各クラブが適切な金額を決定し、指導者を求めるクラブと人材バンク登録者とのマッチングを行う仕組みも整備されている。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 49校・約21,000人規模での地域クラブ体制整備の難しさ | 統括コーディネーターの配置と地域クラブ活動協議会による横断的な調整体制を整備 |
| 地域クラブへの参加費負担が家庭の経済状況によって異なる問題 | 「低廉な参加費設定」を認定要件の前提とし、経済困窮家庭への市支援制度も整備 |
| 指導者の確保と質の担保 | はまクル指導者人材バンクで登録者を組織的に管理し、クラブとのマッチングを行う |
| 大会への参加機会の確保(教員が休日指導から退く後) | クラブの指導者・運営スタッフが大会引率を担う制度設計とし、大会主催者と連携 |
成果・効果
浜松市では令和8年9月の始動に向け、令和8年4月24日からはまクル認定クラブの第1回申請受付を開始し、令和8年4月10日からははまクル指導者人材バンクの登録受付も開始した。「はまクルポータルサイト」でクラブ情報の一元公開・申請を電子化することで、49校規模での地域クラブ活動の情報管理を効率化している。部活動未設置種目のクラブ創設も認めることで、従来の学校部活動では提供できなかった多様な活動機会が生まれることが期待されている。
出典
→ 原文: 浜松市 休日の部活動の地域展開
→ 参考: 浜松市「休日の部活動の地域展開」に関するガイドライン【概要】
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
浜松市の「はまクル」で注目すべき点の一つが「セレクション禁止」の明文化です。地域クラブ活動では、特定の技術水準の生徒だけを選抜するセレクションを行ってしまうと、地域移行の目的である「どの生徒も参加できる環境の確保」が損なわれます。浜松市はこれを認定要件の中に「セレクション等の選抜は禁止」と明記し、包摂性を制度的に担保しています。また小学生・高校生・大人も含めた幅広い年代の参加を認めることは、地域クラブを「中学生専用施設」でなく「地域全体のスポーツ・文化活動の場」として位置づけ直す重要な視点です。
「部活動未設置種目のクラブ創設も可能」という設計も重要です。多くの地域移行の取り組みでは既存の学校部活動の種目をそのまま移行することが中心になりがちですが、浜松市は「地域クラブを通じて学校になかった活動も始められる」という前向きな再定義をしています。49校・約21,000人規模という大都市での地域クラブ活動は、小規模自治体とは異なる調整の難しさがありますが、統括コーディネーターの配置・企業応援制度・多機関連携といった多層的な支援体制がその課題に応えようとしていることが読み取れます。
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