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【事例】静岡県浜松市の部活動地域展開 ─ 「はまクル」49校・令和8年9月始動・学校施設無償・セレクション禁止・統括コーディネーター配置モデル

公開:2026.05.03 更新:2026.09.26
この記事でわかること

・令和8年9月5日に市立中学49校で休日部活動が終了し、認定クラブ「はまクル」へ実際に移行した経緯。
・参加費は年額24,800円が標準・上限月3,000円で、就学援助世帯には限度額まで全額助成される仕組み。
・始動時点で318クラブ・指導者1,353人を確保しつつ、指導者確保と平日の扱いが課題として残っている状況。

自治体名 静岡県浜松市
人口規模 約78万人(2024年時点)
中学校数 49校(市立中学校)・生徒数20,999人
運営形態 市が認定する「はまクル認定クラブ」が実施主体(令和8年8月12日時点で318クラブが申請)
対象競技 スポーツ・文化芸術(部活動未設置種目のクラブ創設も可能)
保護者負担額 標準額は年額24,800円(参加費24,000円+保険料800円)。令和8年度は活動期間が7か月のため限度額は14,800円または21,800円

取り組みの概要

静岡県浜松市は令和8(2026)年9月5日、市立中学校49校を対象に休日の部活動の地域展開を開始しました。休日の学校部活動は8月で終了し、9月からは市が認定する「はまクル認定クラブ」での活動に切り替わっています。「はまクル」は「はままつ」と「地域クラブ(CLUB)」を組み合わせた愛称です。始動式は天竜中学校で開かれ、認定クラブ「やっちゃえ天中」が最初の活動を行いました。

市は令和5年5月に「休日の部活動の地域移行に向けた取組方針」を策定し、同年7月に地域クラブ活動協議会を設置しました。令和7年12月に国の新しいガイドラインが示されたことを受けて令和8年3月に市のガイドラインを策定し、9月の始動につなげています。平日の学校部活動は当面継続し、休日のみを地域クラブへ移す設計です。体制が整わないクラブについては「部活動指導員による学校部活動(地域連携)」を経て段階的に地域クラブへ移行します。

特徴的な取り組み

  • 始動直前で318クラブ・指導者1,353人を確保: 市の説明によると、認定地域クラブの申請は令和8年8月12日時点で318クラブ、はまクル指導者人材バンクの登録は1,353人に達しました。登録者数は令和8年6月11日時点で700人を超えた段階だったため、約2か月で倍近くに増えたことになります。
  • 参加費は年額24,800円が標準・就学援助世帯は全額助成: 補助制度上の標準額は参加費年額24,000円(月額2,000円×12か月)に保険料800円を加えた24,800円で、上限は月額3,000円(年額36,800円)です。令和8年度は活動期間が最大7か月となるため、限度額は14,800円または21,800円になります。就学援助を受給している世帯に対しては、限度額の範囲内で参加費と保険料の全額が助成されます。
  • クラブ側にも活動費の2分の1を補助: 市ははまクル認定クラブに対し、活動費の2分の1以内を助成します。補助単価は規模別で、生徒27人以上・指導者3人以上・月4回程度という最大区分では、令和8年度7か月分でスポーツ392,000円、文化403,000円です。令和8年度の「部活動地域展開推進事業」の予算総額は125,484千円で、うち経済困窮世帯支援が11,840千円、クラブ活動費補助が58,526千円を占めます。
  • 指導者は競技資格不要・成人2名以上+研修受講が必須: 指導者に競技資格は求めず、18歳以上(高校生を除く)の成人2名以上が人材バンクに登録することをクラブ認定の要件としています。所定のコンプライアンス研修(動画視聴)を受講しなければ、認定クラブの指導者として指導することはできません。登録の有効期間は最大3年間です。報酬額は市が一律に定めず各クラブが決定しますが、目安として市の部活動指導員(会計年度任用職員)の時給1,600円が示されています。
  • 学校施設の無償優先使用とセレクション禁止: 認定クラブは市立中学校の施設を休日の昼間に無償かつ優先的に使用できます。活動時間は原則として土日のどちらか3時間程度です。参加対象は市内在住の中学生(私立・県立・国立中学校に通学する生徒を含む)で、セレクション等による選抜は禁止されています。
  • 民間17事業者が23種目を提供する枠組みも発足: 17の事業者が「浜松未来創造プロジェクト」を設立し、ダンスや楽器、eスポーツなど23種目の地域クラブ活動の場を提供しています。学校部活動には設置されていなかった種目の受け皿が、民間側から生まれた形です。
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課題と解決策

課題 解決策
始動後も指導者の確保が課題として残る(始動日に指導したのは人材バンクに登録した中学校の教師だった) 指導者人材バンクの登録を継続して受け付け、指導者を求めるクラブとのマッチングを行う。教員も人材バンクに登録して参加できる
家庭の経済状況による参加費負担の差 各クラブに可能な限り低廉な参加費設定を求めたうえで、就学援助受給世帯には限度額の範囲内で参加費・保険料を全額助成する
49校・約21,000人規模での学校とクラブの連携調整 統括コーディネーターを配置し、地域クラブ活動協議会で関係団体と横断的に調整する
始動直後の補助金申請事務の混乱 補助金申請書の様式と第3号様式作成補助システムを令和8年9月8日付の修正版に差し替え、市公式ページで周知した
平日の地域展開の道筋が定まっていない 平日の地域展開に向けた実証事業費約2,000万円を令和8年度補正予算案に計上し、休日移行後に実証を開始する

成果・効果

令和8年9月5日の始動により、市立中学校49校すべてで休日の学校部活動が終了し、認定地域クラブへの移行が実際に始まりました。8月12日時点の申請は318クラブ、指導者人材バンクの登録は1,353人です。参加費は標準で年額24,800円と金額が明示され、就学援助受給世帯には限度額の範囲内で全額が助成される仕組みが整いました。クラブ側にも活動費の2分の1が補助され、令和8年度予算は総額125,484千円が計上されています。

一方で、始動後の検証結果や総括は令和8年9月26日時点で市から公表されておらず、実際の参加生徒数も明らかにされていません。平日の学校部活動については「国や市の検証も踏まえ、休日の移行が円滑に進んだ後に実施していく」とされるにとどまり、廃止時期は示されていません。平日の活動は週2日を休養日とし、準備・片付けを含めて2時間程度という運用が続いています。

よくある質問(FAQ)

Q. 浜松市の中学校の部活動はなくなった?

A. 休日の学校部活動は令和8年8月で終了し、9月5日から市認定の「はまクル認定クラブ」へ移行しました。平日の学校部活動は当面継続します。

Q. はまクルはいつから始まった?

A. 令和8(2026)年9月5日に始動しました。市立中学校49校が対象で、始動式は天竜中学校で行われました。「はまクル」は「はままつ」と「地域クラブ(CLUB)」を組み合わせた、浜松市の地域クラブ活動の愛称です。

Q. 保護者の費用負担・会費はいくら?

A. 補助制度上の標準額は年額24,800円(参加費24,000円+保険料800円)で、上限は月額3,000円(年額36,800円)です。令和8年度は活動期間が最大7か月のため、限度額は14,800円または21,800円となります。就学援助を受給している世帯は、限度額の範囲内で全額が助成されます。

Q. 平日の部活動はいつ地域展開する?

A. 時期は示されていません。市のガイドラインでは「国や市の検証も踏まえ、休日の移行が円滑に進んだ後に実施していく」とされています。市は平日の地域展開に向けた実証事業費約2,000万円を令和8年度補正予算案に計上しています。

出典

→ 原文: 浜松市 休日の部活動の地域展開

→ 参考: 浜松市「休日の部活動の地域展開」に関するガイドライン【概要】(PDF)

→ 参考: 浜松市「休日の部活動の地域展開」に関するガイドライン最終案について(市民文教委員会資料・PDF)

→ 参考: はまクル認定クラブ活動支援事業費補助金 補助金制度の概要(PDF)

→ 参考: 浜松市 令和8年度(新規)部活動地域展開推進事業

→ 報道: 静岡新聞「浜松市認定クラブ活動「はまクル」申請300超 9月5日から始動」(2026年8月20日)

→ 報道: 静岡朝日テレビ「認定地域クラブ活動「はまクル」が始動 休日の中学校部活動が終了 浜松市」(2026年9月5日)

→ 報道: 静岡新聞「浜松市で市立中学全49校の『休日部活動』地域展開へ 認定クラブ『はまクル』始動」(2026年9月5日)

→ 報道: 静岡新聞「浜松市の中学休日部活動、ダンスや音楽など23種目提供 17事業者が『プロジェクト』」(2026年9月15日)

→ 報道: 中日新聞「浜松市の市立中学校の部活動、平日も地域展開へ実証事業 補正予算案に関連費盛り込む」(2026年5月19日)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

浜松市の事例が参考になるのは、政令市規模で「予定どおりに期日を迎えた」数少ないケースだからです。49校・約21,000人という規模で休日の学校部活動を8月末に打ち切り、9月5日に一斉に地域クラブへ移すという設計は、受け皿が足りなければ即座に破綻します。市はこれを318クラブの申請と1,353人の指導者登録で支えました。注目すべきは、参加費を「各クラブが低廉に設定」という努力目標で終わらせず、補助制度の側から年額24,800円という標準額と月額3,000円という上限を数字で固定した点です。金額が先に決まっているため、保護者は移行前に負担を見通せます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

最大のハードルは指導者です。浜松市は競技資格を要件から外し、18歳以上の成人2名以上という人数要件とコンプライアンス研修の受講に絞ることで登録の裾野を広げました。それでも始動日に指導したのは人材バンクに登録した中学校の教師であり、報道でも指導者探しが課題として残ると指摘されています。裏を返せば、教員の兼職兼業を「移行期の現実解」として制度に組み込んでおかなければ、初日から回らないということです。第二のハードルは事務量で、浜松市は始動3日後に補助金の申請様式と作成補助システムを修正版へ差し替えています。要綱と様式は始動後に手直しが入る前提で、修正履歴を公開する運用を先に決めておくのが安全です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

財源面では、令和8年度の事業費125,484千円のうちクラブ活動費補助が58,526千円、経済困窮世帯支援が11,840千円と内訳が公表されており、透明性は高いと評価できます。クラブ側の負担を活動費の2分の1に抑える設計も、認定クラブの定着を後押しします。一方で持続可能性の論点は平日です。市は廃止時期を示さず「休日の移行が円滑に進んだ後」とするにとどめており、実証事業費約2,000万円の計上が現時点での唯一の具体策です。休日の検証結果が公表された段階で、平日の設計がどこまで踏み込めるかが次の分岐点になります。

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