トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県牛久市の部活動地域展開 ─ 軟式野球先行モデル×中学校混声合唱団×教委免責明文化×WBGT 31基準で運営リスクを体系的に整理
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 茨城県

【事例】茨城県牛久市の部活動地域展開 ─ 軟式野球先行モデル×中学校混声合唱団×教委免責明文化×WBGT 31基準で運営リスクを体系的に整理

公開:2026.05.22 更新:2026.05.22
この記事でわかること

・軟式野球先行モデル(R4〜国モデル事業)の知見をガイドラインに反映した逆引き型設計
・教委免責の明文化・保険義務化・WBGT 31基準など運営リスクの体系的整理
・運動系(軟式野球)と文化系(中学校混声合唱団)両分野の並行展開モデル

自治体名 茨城県牛久市
人口規模 約8.4万人(2024年時点)
中学校数 市立中学校5校(牛久・牛久南・牛久二・下根・牛久第三)
運営形態 「(仮称)牛久市地域クラブ活動推進協議会」を運営母体とし、市教委が社団法人等の運営団体を設立。軟式野球部地域クラブ・牛久市中学校混声合唱団等を先行運営
対象競技 軟式野球(R4〜国モデル事業先行)、混声合唱(R7文化分野設立)。今後拡大予定
保護者負担額 「可能な限り高額でない会費」を原則とし、施設利用料減免・経済困窮家庭への参加費支援を実施

取り組みの概要

牛久市(人口約8.4万人)は、令和7年4月に「牛久市地域クラブ活動ガイドライン」(初版)を策定し、茨城県のガイドラインを基盤としつつ独自の運用方針を整備した自治体です。最大の特徴は、令和4年度から国のモデル事業の一環として「中学校軟式野球部」の地域クラブ化を先行モデルとして開始し、その成果・課題を後続部活動の移行設計に反映するPDCAサイクルを構築している点です。さらに令和7年度には市内中学校生徒を対象とする「牛久市中学校混声合唱団」を文化分野の地域クラブとして設立し、運動系・文化系の両領域で並行展開を進めています。休日学校部活動は令和8年度総合体育大会終了後を目標に地域クラブ活動へ移行予定です。

特徴的な取り組み

  • 軟式野球先行モデル(R4〜国モデル事業)の活用: 令和4年度から国のモデル事業として中学校軟式野球部の地域クラブ化を先行実施。成果と課題を洗い出し、後続部活動の移行設計を改善するPDCAアプローチを正式に明文化。
  • 「牛久市中学校混声合唱団」を文化分野で先行設立: 令和7年度に市内中学校・義務教育学校後期生徒を対象とする混声合唱団を設立。生涯学習課(029-874-3111)が見学受付窓口となり、市内全中学校から横断的に参加できる文化系地域クラブの先進事例。
  • (仮称)牛久市地域クラブ活動推進協議会の設置: 市教委が運営母体となる協議会を立ち上げ、運営団体・実施主体の整備、定期的・恒常的な情報共有・連絡調整を担う。社団法人等の運営団体を市教委主導で設立する明確な方針。
  • WBGT 31基準の明示: 暑さ指数(WBGT)が31以上の場合は原則活動中止と明文化。気温・湿度・WBGT等の客観的数値を示すことを義務付け、生徒の熱中症リスクを制度的に管理。
  • 保険加入義務化と教委免責の明文化: 指導者・生徒に対し傷害保険・個人賠償責任保険への加入を義務付け。移動中・保護者送迎中の事故も補償対象に。教委指導者派遣以外は「教育委員会は原則として地域クラブ活動に関する責任を負わない」と明確化。
  • 兼職兼業の規定・運用改善: 国・県の手引きを参考に、教師等が円滑に兼職兼業の許可を得られるよう規定・運用を改善。本人意思確認・健康配慮・学校運営影響を考慮した判断プロセスを明文化。
  • 休日先行→平日は社会情勢注視型の段階移行: 休日部活動はR8年度総合体育大会終了後を目標に移行。平日移行は「今後の社会情勢の変遷を注視しながら検討」と慎重姿勢を明示。

課題と解決策

課題 解決策
各校の部員数偏り・拠点校への移動方法 合同部活動・拠点校部活動から優先的に地域クラブ活動への移行を進め、軟式野球先行モデルで知見を蓄積
民間施設の使用料負担 施設利用料の減免・送迎面の配慮・経済困窮家庭への参加費支援を市教委が制度化
地域クラブ活動の責任の所在の曖昧化 「教育委員会は原則として地域クラブ活動に関する責任は負わない」と明文化し、保険加入義務化で責任構造を整理
指導者の確保(運動系・文化系両分野) 退職教師・兼職兼業教師・部活動指導員・茨城県指導者人材バンクを活用。混声合唱団は生涯学習課が窓口となり文化分野指導者を集約
勝利至上主義・体罰ハラスメントのリスク 『運動部活動での指導のガイドライン』準拠、JSPO相談窓口活用、『スポーツ団体ガバナンスコード』周知
暑熱環境による熱中症リスク WBGT 31以上で活動中止を明文化、夏季は空調設備のある施設確保を必須化

成果・効果

牛久市は令和4年度国モデル事業から軟式野球部の地域クラブ化を先行実施し、令和7年4月の「地域クラブ活動ガイドライン」初版策定でその知見を制度化しました。同年4月には「牛久市中学校混声合唱団」を文化分野で設立し、運動系・文化系両分野で具体的な地域クラブが立ち上がっています。WBGT 31基準・保険義務化・教委免責の明文化、推進協議会の設立、兼職兼業の規定整備など、運営の安全性とガバナンスを体系的に整備したガイドラインは、近隣の龍ヶ崎市ガイドライン等も参考にした実装力の高い設計として注目されています。令和8年度総合体育大会終了後の休日部活動移行へ向け、運動系種目を順次拡大する計画です。

出典

→ 原文: 牛久市地域クラブ活動ガイドライン(令和7年4月/牛久市教育委員会)

→ 参考: 地域クラブ活動(文化分野)牛久市中学校混声合唱団(牛久市公式)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

牛久市モデルの最大の特徴は「軟式野球の先行運営から得た知見を、ガイドライン策定にフィードバックする」逆引き型設計にあります。多くの自治体がガイドラインを先に作って後から実装する従来パターンに対し、牛久市は3年間の実証で得たリアルな運営課題(部員数偏り・移動・民間施設使用料等)をガイドラインの「おわりに」で率直に列挙し、改革推進期間中の継続的見直しを明文化。さらに、教委の責任範囲を「指導者派遣時以外は原則負わない」と明確化した点は、ガバナンス・リスク分担で全国的にも先進的な記述です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

教委免責の明文化は法的整理として重要ですが、保護者の不安を増幅させるリスクもあります。牛久市は保険加入義務化(傷害+個人賠償責任)と移動・送迎中の補償までセットで設計することで、責任分担と保護者安心感のバランスを取っています。他地域導入時は、教委免責を単独で導入するのではなく、保険義務化・推進協議会の相談窓口設置・運営団体の情報開示要件と一体で導入することが必須です。混声合唱団のように生涯学習課が窓口となる文化系地域クラブは、教育課ではなく社会教育課/生涯学習課に運営担当を置くと連携がスムーズになります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

スポーツ団体ガバナンスコード準拠を運営団体に求め、JSPO相談窓口・公正な会計処理・情報開示を制度化した点はガバナンス強度が高く評価できます。WBGT基準の数値化(31以上活動中止)と保険加入義務化により、運営の標準化が進んでおり、新規参入団体も明確な基準で活動できる持続可能性の高い設計です。一方、軟式野球先行モデル以外の種目展開速度が今後の鍵で、運営団体の整備・指導者確保が進まないと令和8年度の休日全面移行は困難となるため、推進協議会の組織力強化が課題です。

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