【事例】茨城県取手市の部活動地域展開 ─ 推進協会への市委託×東西2拠点校方式で19部活動を12クラブに集約
・取手市が令和8年4月から休日部活動を地域クラブに完全移行する6中学校・280名規模の制度設計
・「地域クラブ活動推進協会」への市委託で実現する事務局専従化と19部活動→12クラブ集約モデル
・東西2エリア拠点校方式と教員兼職兼業中心の指導体制が、関東・全国大会出場実績を保ちつつ廃部問題を解消する仕組み
| 自治体名 | 茨城県取手市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約10.4万人(2024年時点) |
| 中学校数 | 6校(取手一中・取手二中・永山中・戸頭中・藤代中・藤代南中) |
| 運営形態 | 取手市地域クラブ活動推進協会(市委託・教育委員会スポーツ振興課所管) |
| 対象競技 | 軟式野球・サッカー・ソフトテニス・バスケットボール・バレーボール・卓球・柔道・剣道・バドミントン・空手道・吹奏楽(11種目) |
| 保護者負担額 | 年会費2,000円+月会費3,000円(年間1人38,000円)※令和8年度から本格徴収・減免規定あり |
取り組みの概要
茨城県取手市は、少子化に伴う部員数の減少と教職員の業務負担増加に対応するため、令和7年度をモデル事業期間とし、令和8年4月から休日部活動を地域クラブ活動に完全移行する。令和7年度時点で市内6中学校に79部活動(運動部65・文化部14)・部員1,673名が在籍しており、これらの活動の受け皿として「取手市地域クラブ活動推進協会」を新設。市教育委員会スポーツ振興課が推進協会に運営を委託する形で、各種目クラブを統括する。
令和7年4月から、8種目12クラブ・19部活動を対象にモデル事業をスタート。対象生徒は280名(1クラブ平均23.3名)に上り、教職員の兼職兼業を中心に17名の指導者が配置されている。
特徴的な取り組み
- 市委託の運営協会方式: 市教委スポーツ振興課が「取手市地域クラブ活動推進協会」に運営を委託。協会が指導者・保護者・学校との連絡調整、会費徴収、指導者謝金支払いなどの事務を一括して担う構造を採用。
- 東部・西部の拠点校方式: 市内を東部(取手一中・藤代中・藤代南中)と西部(取手二中・永山中・戸頭中)の2エリアに分け、それぞれに拠点校を設定。野球部・バレー部などが廃部となった学校の生徒も他校に通って参加できる仕組み。
- 教員兼職兼業による継続指導: 17名の指導者のうち、16名が中学校教職員の兼職兼業(うち1名は小学校教諭、1名は会社員副業届)。これにより平日と休日の指導の連続性を確保。
- 多層アンケート設計: 令和7年9月17〜30日に、中学生・保護者・教職員・小学校5〜6年生の保護者の4層に対し制度設計アンケートを実施。受益者負担の理解度や活動への期待を可視化したうえで本格移行設計を進めた。
- 地域団体との連携で部活動にない種目を提供: 美術(夏の油彩講座)・バドミントン(ヨネックス取手市バドミントン教室・元日本代表須藤泰子氏指導)など、部活動にない選択肢も地域団体と連携して提供。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 少子化で野球部・剣道部などが廃部になった学校生徒の活動機会喪失 | 東西の拠点校方式で他校生徒も参加可能に。野球部のない戸頭中・剣道部のない永山中の生徒も拠点校に通って活動継続 |
| 休日に教員が指導することへの抵抗(教職員調査で60%が「希望しない」) | 兼職兼業で報酬を担保するとともに、地域指導者・小学校教諭・会社員副業者の混成で代替指導者を確保 |
| 参加費の保護者負担への懸念(保護者615名・小学生保護者286名が「負担増」を不安視) | 総事業費の約60%を市費+国費で負担。年間1人38,000円の受益者負担で運営費を補い、要準要保護世帯助成を制度化 |
| 移動・送迎時間の負担(中学生464名・保護者449名が不安視) | 拠点校を市内中学校に限定し近距離化。指導員研修会で安全管理体制を周知 |
成果・効果
令和7年8月の総合体育大会までに、地域クラブ12団体すべてが大会出場権を獲得。柔道クラブTORIDE(女子個人)と取手二中空手道クラブが全国大会出場、取手一中剣道クラブ(女子団体)が関東大会出場、軟式野球の取手ウエストベースボールクラブが茨城県選抜軟式野球大会出場と、地域クラブ移行後も県大会・全国大会レベルの実績を継続している。中学生アンケートでは「自分の入っている部活動と同じ活動を続けられること」(837名)「専門的な指導を受けて上達できること」(682名)への期待が上位を占めた。
出典
→ 原文: 取手市公式サイト「取手市の部活動地域移行」
→ 保護者説明会資料: 令和7年度取手市部活動地域移行保護者説明会資料(PDF)
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