トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県つくば市の部活動地域展開 ─ 5大エリア分割×19校×2027年夏休日完全廃止×困窮家庭費用補助制度
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 茨城県

【事例】茨城県つくば市の部活動地域展開 ─ 5大エリア分割×19校×2027年夏休日完全廃止×困窮家庭費用補助制度

公開:2026.07.09 更新:2026.07.09
この記事でわかること

・つくば市の5大エリア分割による19校広域クラブ体制の設計
・令和9年夏の休日部活動完全廃止という明確な期限設定の意味
・困窮家庭補助制度(就学援助+市税滞納なし要件)と企業スポンサー・寄付募集による財源多様化

自治体名 茨城県つくば市
人口規模 約26万人
中学校数 市立中学校・義務教育学校19校(義務教育学校5校+中学校14校)
運営形態 行政直営「つくば市教育局学び推進課」+5大エリア分割による地域クラブ活動整備+認定文化スポーツ団体
対象競技 従来種目に加えダンス・パラスポーツ・環境活動など新分野を含む多様な活動
保護者負担額 受益者負担型(指導者報酬・施設利用料・備品・移動費)/困窮家庭には市が参加費補助制度(就学援助/生活保護対象+市税滞納なし要件)

取り組みの概要

茨城県つくば市は「令和9年(2027年)夏に、すべての休日の学校部活動が地域クラブに変わります」と明示し、平日の学校部活動も週3回以内に縮減する方針を打ち出しています。市は市内19校(義務教育学校5校+中学校14校)を5大エリアに分割し、各エリアで多様な文化スポーツ活動機会を確保する体制を整備。従来「平日の活動は教員のボランティアによって運営されてきました」という前提を明確に転換し、指導者報酬・施設利用料・備品・移動費を受益者負担で賄う設計へ移行しています。同時に困窮家庭への参加費補助制度を市規則で整備し、家庭経済状況による体験格差の発生を防ぐ設計としています。

特徴的な取り組み

  • 5大エリア分割による広域クラブ整備: 【北部】秀峰筑波義務教育学校・豊里中学校・大穂中学校/【中西部】学園の森義務教育学校・研究学園中学校・高山中学校・谷田部中学校/【中東部】春日学園義務教育学校・竹園東中学校・吾妻中学校・桜中学校/【南西部】みどりの学園義務教育学校・みどりの南中学校/【南東部】手代木中学校・並木中学校・谷田部東中学校・高崎中学校・茎崎中学校の5エリア構成で、各エリア内で複数校の生徒が横断参加できる地域クラブを整備。
  • 令和9年夏の休日部活動完全廃止という明確な期限設定: 「令和9年(2027年)夏」を全ての休日学校部活動廃止のタイミングとして明示。同時に平日部活動も「週3回以内に縮減」と数値目標を設けており、全国的にも先進的なアグレッシブスケジュールです。
  • 困窮家庭補助制度(市規則ベース): 対象要件は①つくば市に住民票かつ実居住、②生活保護の教育扶助または就学援助を受給、③市税の滞納がないこと、の3つ。生徒1人あたり上限額と対象経費の少ない方を補助する仕組み。R7年度は令和7年4月1日以降発生の経費が対象で、申請期限は令和8年3月23日と明示。
  • ダンス・パラスポーツ・環境活動など新種目を追加: 従来の学校部活動種目に加え、ダンス・パラスポーツ・環境活動といった新分野を地域クラブ活動として位置付け、多様なニーズを受け止める設計。
  • 指導者人材バンク+企業スポンサー・寄付募集: 個人向けの指導者人材バンクへの登録募集と並行して、企業スポンサー・寄付を明示的に募集。行政・保護者負担だけに頼らない財源多様化を制度化。

課題と解決策

課題 解決策
受益者負担モデルへの移行で家庭の経済格差が体験格差につながる懸念 困窮家庭への参加費補助制度(就学援助/生活保護受給世帯対象)を市規則で整備
19校それぞれで受け皿クラブを整備するのは非現実的 5大エリア分割により各エリアで複数校の生徒が横断参加できる広域クラブを整備
財源が保護者負担・行政補助のみでは持続困難 企業スポンサー・寄付を明示的に募集し、財源多様化を図る
ダンス・パラスポーツ等の新種目希望に既存部活動が対応できない 地域クラブ活動として新種目を制度上位置付け、多様な指導者を受け入れる設計
教員ボランティア依存の平日部活動が持続困難 令和9年夏までに平日も週3回以内に縮減、指導者報酬による有償指導へ切替

成果・効果

つくば市は「持続可能で豊かな文化スポーツ活動の仕組みを構築し、子どもたちとつくば市民のウェルビーイングを実現する」というビジョンのもと、3つの目標を掲げています。①子どもたちが自分のニーズに合った多様な文化スポーツ活動を選択できる環境の創出、②持続可能な運営体制の整備、③家庭経済状況による体験格差を発生させない仕組みの構築です。5大エリア分割によって、これまで生徒数が少ない中学校では成立しなかった種目や、逆に希望者が集まらなかった珍しい種目(ダンス・パラスポーツ・環境活動等)についても、複数校の生徒が集まることで運営可能な人数を確保できる設計となっています。令和9年(2027年)夏の休日完全廃止を明示期限に据えることで、関係者の準備を後押しする効果も期待されています。

出典

→ 原文: 部活動のこれから(つくば市公式サイト)

→ 関連: 部活動地域展開って?(つくば市) / 部活動地域展開事業による参加者費用負担への支援 / つくば市 部活動の運営方針〔改訂版〕(令和5年4月)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

つくばモデルの核心は「令和9年夏に休日部活動を完全廃止」という明確な期限とセットで、①5大エリア広域クラブ、②困窮家庭補助制度、③企業スポンサー・寄付募集、の3つを同時に走らせる複線的な設計にあります。特に「令和9年夏」という月次単位の期限設定は全国的にも珍しく、多くの自治体が「令和8年度以降」「段階的に」といった曖昧な表現に留まる中で、関係者の準備タイムラインを明確化しています。ダンス・パラスポーツ・環境活動といった従来の部活動にはなかった新種目を地域クラブに位置付けたのも、既存部活動の代替ではなく体験機会の拡張として制度設計している証左です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

5大エリア分割の設計は、市内に義務教育学校・中学校が10校以上ある中規模〜大規模市には適用しやすいアプローチです。ただし、エリア境界をどこに引くかで、既存の学区・住民自治組織の境界と齟齬が生じる可能性があり、地域住民への丁寧な説明が不可欠。もう1つの示唆は「困窮家庭補助の要件設計」で、つくば市は①住民票+実居住、②就学援助/生活保護受給、③市税滞納なし、の3要件を組み合わせて厳密に制度化しています。他自治体で移植する際、②の受給要件は既存制度に紐付けられるため実装が容易ですが、③の市税滞納なし要件は「支援を必要とする世帯が受給から漏れる可能性」との緊張関係を持つため、要件設計の議論が必要です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

「令和9年夏」という具体期限、5大エリアの学校名リスト公開、困窮家庭補助の要件・上限・申請期限まで市規則で明示している点は、透明性の観点で非常に高い水準です。企業スポンサー・寄付を制度に組み込むことで、行政補助と保護者負担の2軸に依存しない財源設計を目指しており、持続可能性の観点でも先進的。一方で、①具体の指導者確保数、②各エリアの受け皿クラブ名の一覧、③受益者負担額の具体設計、はページ上で確認できず、令和9年夏までに公開される必要があります。

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