【事例】茨城県つくば市の部活動地域展開 ─ 5大エリア分割×19校×2027年夏休日完全廃止×困窮家庭費用補助制度
・つくば市の5大エリア分割による19校広域クラブ体制の設計
・令和9年夏の休日部活動完全廃止という明確な期限設定の意味
・困窮家庭補助制度(就学援助+市税滞納なし要件)と企業スポンサー・寄付募集による財源多様化
| 自治体名 | 茨城県つくば市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約26万人 |
| 中学校数 | 市立中学校・義務教育学校19校(義務教育学校5校+中学校14校) |
| 運営形態 | 行政直営「つくば市教育局学び推進課」+5大エリア分割による地域クラブ活動整備+認定文化スポーツ団体 |
| 対象競技 | 従来種目に加えダンス・パラスポーツ・環境活動など新分野を含む多様な活動 |
| 保護者負担額 | 受益者負担型(指導者報酬・施設利用料・備品・移動費)/困窮家庭には市が参加費補助制度(就学援助/生活保護対象+市税滞納なし要件) |
取り組みの概要
茨城県つくば市は「令和9年(2027年)夏に、すべての休日の学校部活動が地域クラブに変わります」と明示し、平日の学校部活動も週3回以内に縮減する方針を打ち出しています。市は市内19校(義務教育学校5校+中学校14校)を5大エリアに分割し、各エリアで多様な文化スポーツ活動機会を確保する体制を整備。従来「平日の活動は教員のボランティアによって運営されてきました」という前提を明確に転換し、指導者報酬・施設利用料・備品・移動費を受益者負担で賄う設計へ移行しています。同時に困窮家庭への参加費補助制度を市規則で整備し、家庭経済状況による体験格差の発生を防ぐ設計としています。
特徴的な取り組み
- 5大エリア分割による広域クラブ整備: 【北部】秀峰筑波義務教育学校・豊里中学校・大穂中学校/【中西部】学園の森義務教育学校・研究学園中学校・高山中学校・谷田部中学校/【中東部】春日学園義務教育学校・竹園東中学校・吾妻中学校・桜中学校/【南西部】みどりの学園義務教育学校・みどりの南中学校/【南東部】手代木中学校・並木中学校・谷田部東中学校・高崎中学校・茎崎中学校の5エリア構成で、各エリア内で複数校の生徒が横断参加できる地域クラブを整備。
- 令和9年夏の休日部活動完全廃止という明確な期限設定: 「令和9年(2027年)夏」を全ての休日学校部活動廃止のタイミングとして明示。同時に平日部活動も「週3回以内に縮減」と数値目標を設けており、全国的にも先進的なアグレッシブスケジュールです。
- 困窮家庭補助制度(市規則ベース): 対象要件は①つくば市に住民票かつ実居住、②生活保護の教育扶助または就学援助を受給、③市税の滞納がないこと、の3つ。生徒1人あたり上限額と対象経費の少ない方を補助する仕組み。R7年度は令和7年4月1日以降発生の経費が対象で、申請期限は令和8年3月23日と明示。
- ダンス・パラスポーツ・環境活動など新種目を追加: 従来の学校部活動種目に加え、ダンス・パラスポーツ・環境活動といった新分野を地域クラブ活動として位置付け、多様なニーズを受け止める設計。
- 指導者人材バンク+企業スポンサー・寄付募集: 個人向けの指導者人材バンクへの登録募集と並行して、企業スポンサー・寄付を明示的に募集。行政・保護者負担だけに頼らない財源多様化を制度化。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 受益者負担モデルへの移行で家庭の経済格差が体験格差につながる懸念 | 困窮家庭への参加費補助制度(就学援助/生活保護受給世帯対象)を市規則で整備 |
| 19校それぞれで受け皿クラブを整備するのは非現実的 | 5大エリア分割により各エリアで複数校の生徒が横断参加できる広域クラブを整備 |
| 財源が保護者負担・行政補助のみでは持続困難 | 企業スポンサー・寄付を明示的に募集し、財源多様化を図る |
| ダンス・パラスポーツ等の新種目希望に既存部活動が対応できない | 地域クラブ活動として新種目を制度上位置付け、多様な指導者を受け入れる設計 |
| 教員ボランティア依存の平日部活動が持続困難 | 令和9年夏までに平日も週3回以内に縮減、指導者報酬による有償指導へ切替 |
成果・効果
つくば市は「持続可能で豊かな文化スポーツ活動の仕組みを構築し、子どもたちとつくば市民のウェルビーイングを実現する」というビジョンのもと、3つの目標を掲げています。①子どもたちが自分のニーズに合った多様な文化スポーツ活動を選択できる環境の創出、②持続可能な運営体制の整備、③家庭経済状況による体験格差を発生させない仕組みの構築です。5大エリア分割によって、これまで生徒数が少ない中学校では成立しなかった種目や、逆に希望者が集まらなかった珍しい種目(ダンス・パラスポーツ・環境活動等)についても、複数校の生徒が集まることで運営可能な人数を確保できる設計となっています。令和9年(2027年)夏の休日完全廃止を明示期限に据えることで、関係者の準備を後押しする効果も期待されています。
出典
→ 原文: 部活動のこれから(つくば市公式サイト)
→ 関連: 部活動地域展開って?(つくば市) / 部活動地域展開事業による参加者費用負担への支援 / つくば市 部活動の運営方針〔改訂版〕(令和5年4月)
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