【事例】福井県敦賀市の部活動地域展開 ─ 市スポーツ協会の競技団体を受け皿に休日活動を月1回から毎年1回ずつ増やし、令和8年度に休日完全移行と認定地域クラブ制度へ
・休日活動を月1回から毎年1回ずつ増やし令和8年度に完全移行する敦賀市の段階工程表
・市スポーツ協会所属の競技団体を受け皿に、統括コーディネーターと兼職兼業教員20名で回す運営体制
・部員の72.8%が参加・満足度90%超という実績と、月謝1,000〜2,000円・学校施設免除の費用設計
| 自治体名 | 福井県敦賀市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約6.2万人(令和7年度・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校5校(令和7年度・生徒1,631人・運動部44部) |
| 運営形態 | 敦賀市スポーツ協会所属の各競技連盟・協会が運営団体。市教育委員会学校教育課に統括コーディネーター1名を配置し、令和8年度から「敦賀市認定地域クラブ制度」を開始 |
| 対象競技 | 軟式野球、ソフトテニス、柔道、剣道、バレーボール、ハンドボール(令和7年度6種目)。令和8年度は陸上競技・卓球・バドミントン・バスケットボールを追加予定 |
| 保護者負担額 | 令和7年度は月1,000〜2,000円程度(軟式野球 月2,000円、ソフトテニス・柔道 月1,000円、剣道 1回100円、バレーボール 1回500円、ハンドボール 月500円)。令和8年度は国の目安1,000〜3,000円を参考に各クラブが設定 |
取り組みの概要
敦賀市では少子化で部員数が減り存続の危機にある部活動が散見され、競技経験のない教職員が指導に携わる状況もありました。市教育委員会は令和4年秋に敦賀市スポーツ協会所属の各連盟・協会に説明会を開き、休日の受け皿を依頼。受け入れ可能な団体から協力を得て、令和5年度に軟式野球・ソフトボール・柔道・剣道・ソフトテニスの5種目で休日の地域活動を月1回から始めました。令和6年度は月2回(バレーボール追加)、令和7年度は月3回(ハンドボール追加)と1年ごとに回数を増やし、令和8年度に休日の部活動を完全に地域へ移す計画です。活動は学校単位ではなく市内全中学校の生徒を対象とし、単独校では存続が難しい種目でも大人数で活動できる形にしています。
特徴的な取り組み
- 「月1回→2回→3回→4回」の段階移行: 学校部活動と地域活動の休日回数を毎年入れ替える工程表を作り、令和8年度は学校部活動0回・地域活動4回とする方針を令和5年度時点で各団体・保護者に示しました。受け入れ団体がない部活動は令和8年度時点で平日のみ実施とします。
- 統括コーディネーターが競技団体・学校・中体連をつなぐ: 令和6年度に配置した統括コーディネーターが年4回の連絡推進協議会と9回の個別相談会を開き、校長会・教頭会・地区中体連・市スポーツ協会との会議を重ねました。地域クラブの責任の所在については弁護士に相談し、相談窓口を市教育委員会に設置しています。市は「各中学校ごとではなく各競技ごとにコーディネーターを置く方法が本市の現状に合っている」と整理しました。
- 兼職兼業の制度化: 休日の指導を希望する教員が兼職兼業の手続きをして地域クラブで指導できる仕組みを作り(報酬は時給1,600円)、令和7年度は20名の教員が手続きを行いました。種目別ではバレーボール32%、軟式野球18%、吹奏楽18%などです。
- 学校施設は地域クラブ優先・使用料免除: 年度初めに各クラブ代表を集めて学校施設の利用場所を決める会議を開き、変更や他団体との調整は統括コーディネーターが担当。令和7年度は学校施設の利用料を全額減免、市スポーツ施設の利用料も全額免除としました。令和8年度は認定地域クラブ→中学生の受け皿となっている地域クラブ→一般利用者の優先順位で学校施設予約を検討しています。
- 新入生保護者会と見学会で周知: 市内全5校の新入生保護者会で市教委が方針を説明し、12月から新中学1年生向けの地域クラブ見学会・説明会を開催。近隣の美浜町・若狭町とも地域展開の担当者情報共有会を開き、地区中体連理事会で事業説明を行いました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 既存の地域クラブと参加者の範囲や低廉な会費、活動方針で市の方針と相違があり合意形成が難しい | 受け入れ可能な団体から順に開始し、検証事業に参加していない団体にも令和7年10月と令和8年2月に説明会を実施して検討期間を設ける |
| 地域クラブの指導者が高齢化し、若い指導者は仕事と家庭で休日に参加しにくい | クラブ代表者から連絡会議で意見を聞き、指導者報酬の向上と負担軽減を検討。県主催の指導者研修への参加を推奨 |
| 経済的困窮世帯の支援体制が未整備 | 市内の運動部加入者数と地域クラブ加入割合から支援が必要な人数を算出し、令和8年度予算への計上を検討 |
成果・効果
令和7年度は検証事業の6種目で、市内の部活動所属部員515人中373人(72.8%)が地域クラブに参加し、計画時の目標を達成しました。年度末アンケート(集計途中)では生徒・保護者ともに約9割が「満足している」「どちらかといえば満足している」と回答しました。生徒が良かった点として「友人とともに活動できること」、保護者は「他校の仲間と交流できること」を挙げています。月謝のアンケートでは「1,000円以上2,000円未満」が46.4%、「1,000円以下」が25.7%、「2,000円以上3,000円未満」が20.7%でした。休日部活動に携わらない教員の負担は軽減された一方、クラブ運営の中核を担う兼職兼業の教員については勤務時間の全体管理を行う体制づくりが課題として残っています。令和8年度からは敦賀市認定地域クラブ制度と「敦賀市スポーツ・文化環境整備・推進協議会」を設置し、令和8〜10年度の3年間で平日の部活動の地域展開を検討する計画です。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 福井県敦賀市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 福井県敦賀市」(報告書検索システム)
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