【事例】福井県勝山市の部活動地域展開 ─ 3中学校を令和9年に統合して県立高校敷地内へ、スポーツ協会傘下の競技団体を受け皿に「バドミントン王国」の休日活動を5種目で先行
・総合型クラブを作らず、市スポーツ協会傘下の競技団体への委託で休日活動を5種目に広げた勝山市の最小構成モデル
・令和9年4月の3中学校統合と県立高校敷地内への移転を見据え、複数校合同の活動で統合の機運も作った設計
・バドミントン50名・参加率8割超の実績と、指導者の高齢化・団体種目の活動停止という小規模市の課題
| 自治体名 | 福井県勝山市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.1万人(令和8年1月末時点・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校3校(令和7年5月1日時点・生徒478人・28部活)。令和9年4月に1校へ統合予定 |
| 運営形態 | 勝山市スポーツ協会傘下の競技団体(市バドミントン協会・バレーボール協会・陸上競技協会・サッカー協会・柔道連盟)へ市が業務委託。教育委員会教育総務課が事務を総括し学校と連絡調整、首長部局が各種スポーツ団体と連絡調整 |
| 対象競技 | バドミントン、バレーボール、陸上競技、サッカー、柔道(令和7年度5クラブ) |
| 保護者負担額 | 実証事業期間は徴収なし(運営経費は国委託金・県補助金・市委託金で賄い、保険はスポーツ協会が掛ける保険で代用) |
取り組みの概要
勝山市の中学校生徒数は昭和49年の1,609人から令和7年の478人へ、約50年で3分の1に減りました。単独校では部活動ができず休部になったり、大会出場のために3校で合同チームを組んだりする状況から、市は市内3中学校を1校に再編統合し、令和9年4月に県立勝山高校の敷地内に開校する工事を進めています。市立中学校と県立高校が同じ敷地に同居する連携型の中高一貫教育は県内初です。部活動については、令和4年度末に国の実証事業を受けるにあたり総合型地域スポーツクラブがなく新たに立ち上げるのは困難だったため、以前から各団体に補助金を出して小中学生年代の普及・強化活動を行ってきた市スポーツ協会の手法を拡充する形を取り、令和5年度にバドミントン・バレーボール・陸上競技の各協会が手を挙げて休日活動を始めました。令和7年度はサッカー協会と柔道連盟を加えた5種目で実施し、令和8年の秋以降は休日の部活動をすべて地域展開し、平日も受け入れ体制の整ったクラブから進める方針です。
特徴的な取り組み
- 競技団体が運営主体、協会員・教員・大学生が指導: 各協会が週1回(土曜日中心)に活動し、バドミントンは勝山南部中学校体育館で指導者21名(協会員・教員・大学生)、バレーボールはジオアリーナで6名、陸上は大野市ふれあい公園で6名、サッカーは勝山中部中学校グラウンドで1名、柔道はB&G体育館柔道場で2名が指導します。各協会は過去のジュニア育成・強化事業の経験に基づいて運営でき、協会の役員や傘下の選手が指導者として活動しました。
- 「バドミントン王国」の資源を中学生年代に: 勝山市は昭和43年の国民体育大会でバドミントン競技会場となって競技人口が増え、全日本選手権優勝者やオリンピック出場選手を輩出し、平成17年には勝山南部中学校が全国中学校大会の団体で優勝した歴史があります。小学生年代の少年団活動が盛んで「バドミントン王国」世代の指導者が活動しているこのタイミングで中学生年代を盛り上げ、小さな町でも競技が続く体制を目指しました。令和7年度は50名が登録し、市内の運動部活動の中で最多の参加者を集め、市内外からバドミントン経験者で高校年代に全国大会を経験した指導者を揃えました。
- 学校を通さない連絡体制と近隣市との交流: バドミントン協会はメールやLINEグループで生徒・保護者・指導者間の連絡体制を作り、学校部活動と地域クラブの練習内容を共有。近隣の坂井市のクラブと交流会を開いてネットワークを広げました。市営施設の使用料は学校利用と同じ扱いに減免しています。
- 統合校・中高一貫を見据えた設計: 複数校の生徒が一緒に練習することで交流が進み、中学校統合に向けた機運が醸成されたと市は評価しています。バドミントンの強豪校である勝山高校との連携の中で、統合後の部活動と地域クラブ活動の役割分担を検討する方針です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 休日のクラブ活動で指導者を集めることが最も難しい。統括責任者など世話役の若返りも必要 | 時間に余裕のある世代への声かけに加え、地域展開を経験した高校生など若い世代にも協力を求める。市内の中学校を巡回する平日の練習会(週1回程度)に参加できる一般指導者の確保を目指す |
| 保護者が部活動と地域クラブの違いを理解できず学校へ問い合わせることがあった | 学校を通さなくてもよいLINEグループなどの連絡体制を整備し、推進組織を設置して団体間・団体内の連絡システムを共有 |
| 団体種目で指導者と保護者の意見が合わず、活動を始めたものの1年間で活動停止に至ったクラブがあった | 本格的に競技を追求するクラブだけでなく、楽しんで活動できるよう平日から「部活動」という名称ではなく放課後活動として様々な体験ができる工夫を検討。スポーツ少年団や文化協会とも連携 |
| 協議会・推進計画が未設置・未策定 | 令和7年9月・12月に「勝山市地域スポーツ・文化活動ワーキングチーム会議」を開催し、令和8年度以降の対応可能団体を洗い出し。今後推進組織を設置する |
成果・効果
令和7年度の5クラブの参加者はバドミントン50名、サッカー46名、バレーボール34名、陸上12名、柔道2名です。バドミントンは実証期間を通じた参加率が80%を超え、初心者から参加した生徒も丁寧な指導で続けて参加し、平日の部活動でも積極的に活動していると顧問から報告がありました。中学校卒業後もバドミントンを続けるために地元の勝山高校に進学する生徒が多くいたことも市は成果に挙げています。参加者からは「違う学校の仲間と一緒に練習できてうれしかった」「午後からの練習なので宿題を片づけてから参加できた」、指導者からは「教員でない指導者に対しても挨拶がしっかりできていた」「学校の区別なく異学年とも仲良く活動していたので指導しやすかった」、保護者からは「送迎が大変なこともあった」という声が記録されています。令和5年の地域展開の初回には実業団選手を呼んで生徒の興味を引きました。市は令和8年秋から市内すべての中学校で休日の部活動を実施しない予定です。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 福井県勝山市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 福井県勝山市」(報告書検索システム)
CONSULTING / 専門家に相談
受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?
設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。