トップ 事例を探す 神奈川県 【事例】神奈川県秦野市の部活動地域展開 ─ 南中学校吹奏楽部を拠点に「地域部活動支援協力者」9名を委嘱し教員勤務時間25%減を達成した文化部先行モデル
吹奏楽 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 神奈川県

【事例】神奈川県秦野市の部活動地域展開 ─ 南中学校吹奏楽部を拠点に「地域部活動支援協力者」9名を委嘱し教員勤務時間25%減を達成した文化部先行モデル

公開:2026.05.10 更新:2026.05.10
この記事でわかること

・拠点校×単一文化部から始めた段階展開モデル
・指導者は公募せず関係性ベースで9名を委嘱
・休日勤務時間25%減を達成し教職員の75%超が肯定

自治体名 神奈川県秦野市
人口規模 約16万人
中学校数 市立中学校9校(うち拠点校:秦野市立南中学校)
運営形態 秦野市教育委員会(教育指導課)直営/文化庁「地域部活動推進事業」を活用した実践研究モデル
対象競技 吹奏楽(南中学校・拠点校先行)から段階展開
保護者負担額 事業実施年度の活動における保険代等の受益者負担なし(指導者謝金は市が支出)。継続運営における受益者負担化は今後の検討課題

取り組みの概要

神奈川県秦野市は、教員の働き方改革の観点から、市内公立中学校の休日の文化部活動を段階的に地域移行することを目的に、秦野市立南中学校(拠点校)の吹奏楽部を実践研究の対象として位置付け、文化庁「地域部活動推進事業」を活用した取組を実施した。秦野市は以前から「部活動指導協力者」制度で教職員以外の指導者を活用してきた経緯があり、その素地を活かして拠点校での実践研究につなげている。

本事業では、南中学校吹奏楽部に対し、秦野市教育委員会教育指導課から教職員3名・教職員以外6名の計9名を「地域部活動支援協力者」として委嘱した。指導者報酬は1時間あたり1,600円(交通費含む)、活動時間は文化庁ガイドライン・秦野市部活動ガイドラインに準拠して3時間程度(週2日以上の休養日、土日のうち1日以上を休養日)と設定。事業開始当初は顧問教職員も同伴していたが、事業が進むにつれて休日に顧問教職員が部活動に従事しない体制へ移行した。

特徴的な取り組み

  • 「地域部活動支援協力者」制度の独自設計: 秦野市教育委員会が実施要項を作成し、教職員3名・教職員以外6名の計9名に委嘱。資格要件は設けず、部活動に関する一定の研修を受講・定期的に生徒と保護者からの評価を受ける運用とした。
  • 文化部からの先行: 多くの自治体が運動部から始める中、秦野市は文化部(吹奏楽)から先行実証を行った。既存の部活動指導協力者を抱える吹奏楽部の素地を活かす実践的判断。
  • 「公募しない」指導者募集: 募集方法は実施校との連携で行い、原則として生徒との関係性を従事するために公募はしない方針。生徒との関係性・地域内での既存信頼関係を重視した運用設計。
  • 「地域部活動指導ガイドブック」の整備: 秦野市教育委員会が独自にガイドブックを作成し、指導者全員に配付して研修を実施。安全管理・指導方法の標準化を図った。
  • 連絡協議会を年2回開催: 教員だけでなく行政関係者・現役地域指導者をメンバーとする「地域部活動連絡協議会」を年2回開催し、立場別の意見集約と実態把握を実施。

課題と解決策

課題 解決策
校内活動が中心となるため安全管理上、教職員の在校が必要となる 顧問教職員の兼職兼務を推進し、希望する教員には地域指導者として継続関与する道を確保
指導者謝金・楽器等備品購入費・会場費・保険料等の受益者負担を保護者に受け入れてもらえるか 事業実施年度は保険代等の受益者負担をゼロに抑え、保護者への説明会で丁寧に経過を共有。今後の段階移行に向けた信頼貯金を形成
市町村内で「地域」と「部活動(学校教育活動)」の担当の違いから、運営主体の担当課が定まらない 令和4年度は県教育委員会主催で教育委員会担当者と首長部局担当課の連絡協議会を開催し、市町村ごとの担当整理を推進
休日のみ地域移行することがかえって難しい(地域部活動指導者連絡協議会アンケート結果) 今後は平日の活動と一体的に検討する方針へ修正。段階移行の設計見直しを実施

成果・効果

10月から1月までの秦野市立南中学校の休日部活動実施日は16日であり、そのうち3名の部活動顧問教職員が携わった日は平均7.6日となった。これにより、活動開始当初に目標とした「休日の部活動に係わる教職員の勤務時間を25%減少すること」を達成した。

関係者アンケートでは、生徒は休日の部活動そのものに大きな変化はないため大きな負担を感じておらず、保護者からも特段の批判的意見はなかった。顧問教職員からは「自分の仕事ができる」「休める環境づくりになっている」という肯定的な声が多く、本事業の推進について75%以上の教職員(賛成30.4%+どちらかといえば賛成46.8%)が肯定的に捉えている結果が得られた。

秦野市の部活動検討委員会の委員からは「働き方改革として部活動を地域にもっていくことはとても良いこと」「保護者もこれまで先生たちの善意に頼ってしまっていた」「特に専門ではない競技を教えている先生は本当に大変であり、現状維持がベストと思っている人は少ない」との意見が示された。

出典

→ 原文: 秦野市立南中学校 地域部活動推進事業成果報告書(文化庁)

→ 原文: 公立中学校の部活動の地域移行や地域連携を進めます(文化庁)

→ 原文: 公立中学校における部活動の地域移行に係る神奈川県の方針(令和5年10月)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

秦野市は、人口約16万人の都市で全校・全種目一斉ではなく、南中学校吹奏楽部という拠点校×単一文化部から地域移行を始めた。多くの自治体が運動部から着手するなか、秦野市があえて文化部を選んだのは、すでに「部活動指導協力者」制度で外部指導者を確保していた素地を活かす現実的判断による。さらに「地域部活動支援協力者」9名(教職員3名・教職員以外6名)への委嘱では、生徒との関係性を重視し原則として公募を行わない方針を採用した。立ち上げ期の指導者確保を関係性ベースで進めた点が、安全管理と信頼構築の両面で機能している。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

指導者報酬の設定は1時間1,600円(交通費含む)で、北海道帯広市の部活動指導員報酬と同水準にある。受益者負担を初年度ゼロに抑え、保護者説明会で経過を共有して信頼を蓄積した手順は、他地域でも応用しやすい。一方で秦野市は実証を経て、休日のみの地域移行が「かえって難しい」と結論し、平日活動と一体的に検討する方針へ修正している。段階移行の設計は最初から平日との接続を視野に入れる必要がある。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

南中学校の休日部活動16日のうち、顧問教職員が携わった日は平均7.6日にとどまり、当初目標の勤務時間25%減を達成した。教職員の75%以上が肯定的に評価し、保護者からも特段の批判的意見は出ていない。文化部から始めることで関係者の合意形成が進めやすかった点は、自地域の起点種目を選ぶ際の参考になる。

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