トップ 事例を探す 石川県 【事例】石川県金沢市の部活動地域展開 ─ 25校全生徒アンケートと柔道モデル事業による段階的移行
全種目 👥 30万人以上 🏫 大規模校(300人以上) 📍 石川県

【事例】石川県金沢市の部活動地域展開 ─ 25校全生徒アンケートと柔道モデル事業による段階的移行

公開:2026.04.17 更新:2026.05.27
この記事でわかること

・石川県金沢市が地域移行で直面した課題と具体的な解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき3つの視点(部活動地域展開ナビの分析)

自治体名 石川県金沢市
人口規模 約46万人(2023年時点)
中学校数 25校(市立中学校)
運営形態 柔道部地域移行モデル事業を先行実施(段階的展開中)
対象競技 全種目(モデル事業は柔道が先行)
保護者負担額 調査時点で未公表(保護者の約64%が「5,000円以内が妥当」と回答)

取り組みの概要

金沢市は令和5年度(2023年度)に市立中学校25校の全生徒・保護者・教員を対象とした大規模アンケート調査(回答者:生徒6,301人・中学生保護者4,085人・教員542人)を実施し、地域移行に向けたニーズと課題を把握しました。その結果を踏まえ、「金沢市部活動地域移行検討協議会」(任期:令和8年3月まで)を設置して具体的な移行計画を検討するとともに、柔道部を対象とした地域移行モデル事業を先行実施しています。また「金沢市運動部活動地域移行コーディネーター」を配置し、保護者説明会を通じて移行への理解促進を図っています。

特徴的な取り組み

  • 25校全数アンケートによるニーズ把握:市内全25校の生徒・保護者・教員を対象に実施。生徒の部活所属率が90.9%と高い一方、休日の地域クラブ活動への参加意向は生徒29%・保護者42%にとどまり、約半数が「わからない」と回答。ニーズの丁寧な把握が移行計画の基盤となっています。
  • 柔道部地域移行モデル事業の先行実施:複数の競技を一斉移行するのではなく、まず柔道部をモデルケースとして地域移行を試行。成果と課題を蓄積してから全種目への展開を目指す段階的アプローチを採用しています。
  • コーディネーターの配置:「金沢市運動部活動地域移行コーディネーター」がPTAや保護者向け説明会を実施し、制度の理解促進と合意形成を進めています。

課題と解決策

課題 解決策
教員の指導参加意向が低い(「指導しない」67.5%) 地域人材の発掘・育成を主軸に据え、教員に依存しない運営体制の構築を検討しています。
保護者が妥当と考える費用が低い(3,000円以内が最多) 費用負担の透明化と補助制度の検討を進め、経済的ハードルを下げる方策を模索しています。

成果・効果

令和5年度の大規模アンケート(中学生6,301人・回答率89.5%)により、地域ごとの需要と課題が定量的に把握されました。生徒が参加を希望する競技はサッカー・バスケットボール・バドミントン・ソフトテニスが上位となっており、これらを優先した受け皿整備が課題となっています。柔道部モデル事業の実績をもとに、令和8年度以降の本格的な地域移行実施に向けた準備が進んでいます。

出典

→ 原文: 中学校における部活動の地域展開について ─ 金沢市公式ウェブサイト

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

金沢市が「25校全生徒アンケート」を実施してから移行計画を策定した姿勢は、エビデンスベースの政策立案として全国自治体が見習うべき模範だ。部活動地域移行の議論では往々にして「やりたいスポーツは何か」「今の部活に満足しているか」という当事者である子どもの声が抜け落ちる。需要調査なしで競技種目を決定すると、用意した種目に参加者が集まらないという「供給過剰・需要不一致」の失敗を招きやすい。柔道モデル事業から段階的に拡大するというアプローチも、課題を小さなスケールで洗い出してから全市展開するという堅実な設計だ。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

生徒アンケートを実施しようとする自治体への実務的なアドバイスとして、「参加したいスポーツ」だけでなく「参加できない理由(費用・場所・時間など)」も同時に聞くことが重要だ。参加意欲があっても障壁があって参加できない子どもの数を把握することで、補助金設計や施設配置の優先順位が変わってくる。また、アンケート結果は保護者向け説明会で公開することで「子どもたちが何を望んでいるか」を共有でき、保護者の理解と協力を得やすくなる。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

モデル事業(柔道)の成果を定期的に公表し、次の競技拡大のエビデンスとして活用するPDCAサイクルが金沢市の強みだ。この好循環を維持するため、毎年のモニタリング指標(参加率・指導者数・保護者満足度・費用対効果)を固定化し、議会や市民に報告する習慣を定着させることが重要だ。段階的拡大の過程で、先行種目の知見を後続種目に活かす「横展開の仕組み」を組織内に作ることで、移行の質と速度が向上する。

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