【事例】石川県中能登町の部活動地域展開 ─ 中能登中学校1校461人ほぼ全員加入・教委・部活動顧問・町スポーツ協会の3者協議による種目別外部指導者推薦モデル
・石川県中能登町の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 石川県中能登町 |
|---|---|
| 人口規模 | 約1.7万人 |
| 中学校数 | 公立1校(中能登中学校)・全生徒数461人・19部活動(運動16・文化3)でほぼ全員加入 |
| 運営形態 | 市町村運営型(中能登町教育委員会主導・町スポーツ協会連携) |
| 対象競技 | 軟式野球・バスケットボール・サッカー・陸上・ソフトテニス・剣道・バドミントン・卓球(2クラブ先行) |
| 保護者負担額 | なし |
取り組みの概要
石川県中能登町は、1中学校(中能登中学校)で19部活動(運動部16・文化部3)が活動しており、ほぼ全員加入という極めて高い加入率を維持しています。一方、競技によっては少子化の影響もあり、充実した活動が実施できなくなっているほか、団体競技に支障が出てきています。同町は教育委員会主導で地域移行に取り組み、指導者確保・指導者謝金の担保・会場確保・保険加入といった課題に対応しています。
同町の特徴は、種目ごとに「町教育委員会」「部活動顧問」「町スポーツ協会加盟の当該種目の競技団体役員」の3者で協議検討を重ねた点。指導者確保として競技団体から部活動の指導にあたる外部指導者を推薦してもらい、町スポーツ協会役員との面談を経て外部指導者として登用することで、指導者の質の担保を図っています。指導者の処遇を保証するため指導者謝金を定め、指導者のモチベーション維持にも努めています。
特徴的な取組
- 種目別の3者協議モデル: 種目ごとに「町教育委員会」「部活動顧問」「町スポーツ協会加盟の競技団体役員」の3者で協議検討を重ねる種目別協議モデル。種目特性に応じた個別最適化が可能。
- 競技団体推薦+町スポーツ協会面談の二重審査: 競技団体から外部指導者を推薦してもらい、町スポーツ協会役員との面談を経て登用。指導者の質を競技団体と町の両方で担保する二重審査体制。
- 指導者謝金設定によるモチベーション維持: 指導者の処遇を保証するため指導者謝金を定め、指導者のモチベーション維持に努める。質の高い指導者を継続確保する設計。
- 1校ほぼ全員加入の高い参加文化: 1中学校461人で19部活動にほぼ全員加入という地域全体のスポーツ・文化活動志向の高さ。地域クラブ移行のスムーズさを支える基盤。
- 月4回の継続的活動: 各クラブで月4回の活動を維持し、各学年クラブ平均10名と充実した参加を確保。
- 参加費なしの公費負担: 試行期間中は参加費なしで運営し、家計負担を排除して全生徒の参加機会を保障。
- 町スポーツ協会事務局による活動報告・指導報酬一元化: 教育委員会生涯学習課が町スポーツ協会事務局となり、活動報告・指導報酬の支払いを一元化。事務処理の効率化を実現。
- 団体競技を含む幅広い7種目展開: 軟式野球・バスケ・サッカー・陸上・ソフトテニス・剣道・バドミントン・卓球の幅広い種目を展開し、生徒の選択肢を確保。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 競技によっては少子化の影響で充実した活動が実施できない・団体競技に支障 | 1校ほぼ全員加入という高い参加文化を活かし、地域クラブで活動の質を補完する設計 |
| 指導者確保 | 競技団体から外部指導者を推薦してもらい、町スポーツ協会役員との面談を経て登用する二重審査体制で質を担保 |
| 指導者謝金の担保 | 指導者謝金を定めることで指導者の処遇を保証し、モチベーション維持に努める |
| 会場確保 | 中能登中学校を主な活動場所として活用し、教育委員会学校教育課と中能登中学校(部活動)の連携で施設利用を調整 |
| 保険加入の事務処理 | 教育委員会生涯学習課が町スポーツ協会事務局として事務を一元化 |
| 家計の経済負担 | 参加費なしを維持し、家計負担を排除 |
成果・効果
令和6年度に中能登町教育委員会主導で2クラブの地域移行を開始し、指導者20名・運営スタッフ0名(教委が事務局兼任)で運営。各学年クラブ平均10人という安定した参加を確保し、月4回の活動を継続しています。種目ごとに「町教育委員会」「部活動顧問」「町スポーツ協会加盟の競技団体役員」の3者で協議検討を重ねる種目別協議モデルにより、種目特性に応じた個別最適化を実現。指導者謝金の設定により指導者のモチベーション維持にも成功し、人口1.7万人規模の小規模町における持続可能なモデルを構築しています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 石川県(成果報告書概要)」
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
中能登町の事例で最も注目すべきは、「種目ごとの3者協議モデル」です。教育委員会・部活動顧問・町スポーツ協会加盟の競技団体役員という3つの異なる立場の関係者を、種目別に集めて協議検討する設計は、「種目特性ごとに最適な解は異なる」という現実に対応した極めて実践的な方法です。1校体制であるため、すべての協議が町内で完結する規模感も特徴的です。
もう一つの特徴は、競技団体推薦+町スポーツ協会面談という「二重審査体制」での外部指導者登用です。指導者の質を競技技術面(競技団体推薦)と地域連携面(町スポーツ協会面談)の両方で担保する設計は、指導者トラブルを未然に防ぐ効果が大きいといえます。指導者謝金の設定でモチベーション維持を図る点も、長期継続を見据えた現実的な政策判断です。1校461人で19部活動にほぼ全員加入という地域文化が、こうした丁寧な設計を可能にしている背景といえます。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
「種目別3者協議モデル」を採用する場合、種目数が多い自治体では協議の運営負担が大きくなります。中能登町は1校19部活動という規模だからこそ実現可能ですが、複数校・多部活の自治体ではブロック単位の協議体に再編成する必要があります。「競技団体推薦+町スポーツ協会面談」の二重審査は、指導者の質確保には極めて有効ですが、面談プロセスの時間とコストが指導者の負担になる可能性があります。面談時間の短縮や事前書類審査と組み合わせるなど、指導者にとっての参加ハードルを下げる工夫も並行検討すべきです。指導者謝金は予算化が必要ですが、町総合計画における優先順位を明確にすることで議会説明がしやすくなります。
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