【事例】沖縄県宜野座村の部活動地域展開 ─ 参加費2,000円をクレジット決済で初徴収・スマートキーボックスとクラウドカメラで学校施設を開放
・参加費2,000円をクレジット決済で初徴収した結果と、理解81%でも申込が鈍った落差
・既存の地域再生計画に位置づけて企業版ふるさと納税の適用ルートを確保した手順
・スマートキーボックスとクラウドカメラで学校施設開放を実証した際の機器選定の勘所
| 自治体名 | 沖縄県宜野座村 |
|---|---|
| 人口規模 | 約6,465人(人口は増加傾向) |
| 中学校数 | 1校(宜野座中学校・全生徒262人・部活動8部) |
| 運営形態 | 民間事業者(スポーツデータバンク沖縄株式会社)への委託 |
| 対象競技 | ソフトテニス(ほか重点取組として高校連携のバドミントン) |
| 保護者負担額 | 年2,000円(クレジット決済)+スポーツ安全保険 年800円 |
取り組みの概要
宜野座村は小学校3校と村全体を1校区とする宜野座中学校、さらに県立宜野座高等学校が立地する村です。人口は令和2年の国勢調査で5,833人と目標を達成し増加傾向にあり、児童生徒数も緩やかに増えています。一方で中学校卒業後の進学で生徒が他自治体へ流出している現状があり、村は「地域クラブ活動の移行を契機とした魅力ある学校づくり・村内関係団体等の連携によるまちづくりを行うことで、生徒の他自治体への流出を止め、他自治体から本村の公立中学や県立宜野座高校へ流入効果を図る」ことを課題に掲げています。令和5年度から取り組みを進め、令和6年度は検討委員会を3回開催して「宜野座村学校部活動の地域移行推進計画(初版)」を策定。運営をスポーツデータバンク沖縄株式会社に委託し、令和7年1月にソフトテニスで1クラブ・8名の実証を行いました。
特徴的な取り組み
- 参加費2,000円をクレジット決済のみで初徴収: この事例の核心です。村は初の試みとして参加者から年2,000円を徴収しました。現金払いではなくシステムでのクレジット決済対応のみとし、決済方法や流れを事前に周知したことでトラブルなく徴収できています。金額は消耗品(ボール等)の購入と今後の指導者報酬の担保を想定して設定したものです。一方で村は「参加費があることもあり、申込期間中での反応があまり思わしくなかった」と率直に記録し、保護者理解を得やすい説明会の実施方法を検討課題としています。
- 年会費だけでは赤字になることを試算で明示: 参加者10名想定で収入20,000円に対し、消耗品購入10,000円、指導者報酬は時給1,600円×2人×月16回の活動で51,200円と試算。年会費だけでは収支がマイナスになることから、月額制の検討と外部財源確保が不可欠と結論づけています。
- スマートキーボックスとクラウドカメラによる学校施設開放の実証: 現状は学校開放利用団体にスペアキーを貸し出しており、鍵の紛失や開錠・施錠時間の管理が難しい状態でした。村はWi-Fi環境がなくてもLTE通信で操作できるスマートキーボックスを設置し、事前に通信環境テストを行ってから本設置。鍵管理に慣れた利用者も「数回で操作は問題なく行われた」と報告されています(設置場所が体育館裏側だった点は改善課題)。クラウドカメラは置き型1台のため出入り口までは収められませんでしたが、体育館内が見渡せることで活動・指導状況の確認には十分だったとしています。
- 企業版ふるさと納税の適用事業を特定: 村は令和5年度から受入を開始している企業版ふるさと納税の活用について、令和6年度中に財政係と3回の協議・調整を実施。既存の「地域再生計画」と村「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のうち「結婚、妊娠、出産の希望をかなえ、安心して子育てが出来る環境づくり」事業の「地域と協働による児童の健全育成」という事業項目に該当することを確認し、令和7年度からの具体的な事業追加・受入開始を予定しています。
- 高校・小学生を含む多世代バドミントン: 宜野座高校と宜野座中学校の共通種目から検討してバドミントンで実証を実施。参加8名の内訳は小学生2名・中学生5名・高校生1名(うち2名は初心者)で、指導者は郵便局勤務の地域指導者と宜野座中・宜野座高の外部コーチが担当しました。村は「中学生年代だけに括らない多世代との活動可能性」を検討対象としています。指導者確保では、沖縄県教育委員会が連携協定を締結した「ブカツ・サポート・コンソーシアム(ブカサポ)」など民間企業との連携も活用しました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 参加費の発生で申込時の反応が鈍かった | 本年度徴収した参加費を基準に適切な金額設定と支援策を構築し、保護者理解を得やすい形での説明会実施を検討 |
| 年会費2,000円だけでは収支がマイナスになる | 月額制の検討と、企業版ふるさと納税を含む外部財源確保の仕組みづくりを並行して進める |
| 経済的負担による子どもの体験格差 | 低所得者世帯への対応方法を検討。中学生保護者アンケートでは81%が費用負担を「理解できる」と回答したが、経済的負担を心配する割合も多い状況 |
| スペアキー貸出による鍵紛失の恐れと利用時間の管理困難 | スマートキーボックスとクラウドカメラを導入検証。部活動地域移行促進公立学校施設整備費補助金の活用や、指定管理制度を含む仕組みの構築を検討 |
| 外部指導者がボランティアに近い形で関わってきたため、備品調達・場所確保・大会参加費等の負担が地域クラブ側に移る | 指導者認証基準(要件)の設定と研修制度の確立、クラブ認証基準づくりを令和7年度以降に進める |
成果・効果
参加生徒の満足度は「満足」66.7%・「どちらかといえば満足」33.3%で、生徒からは「希望する活動ができ、勝敗や入賞にこだわらない気軽に楽しめる活動ができた」という声が上がりました。次年度の継続意向は「同じ活動に参加したい」66.7%・「同じ活動にも別の活動にも参加したい」16.7%・「休日の地域クラブには参加しない」16.7%でした。教員アンケート(n=10)では学校部活動を「負担」30%・「どちらかといえば負担」40%と7割が負担を感じており、顧問を務める部活動について「自主的な活動経験はない」が50%、「経験はあるが技術指導に自信がない」が30%という実情も明らかになりました。一方で顧問教員からは「教員がボランティアや善意で行っていたことを、地域(コーチ)になすりつけただけになっている気がしています。教員がやるにしても地域がやるにしてもしっかりと時間や労力に見合った賃金を出すようにしてほしい」という厳しい意見も記録されています。保護者からも「行政の補助サポートがなければ運営は難しい」との声が寄せられました。村は推進計画(初版)の策定と参加費徴収の実績づくり、企業版ふるさと納税の適用見通しという3点を令和6年度の成果と位置づけ、令和7年度以降に地域クラブ活動の拡充と認定基準・指導者要件の整理を進める方針です。
出典
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