トップ 事例を探す 新潟県 【事例】新潟県村上市の部活動地域展開 ─ 放課後デイサービスと連携したインクルーシブスポーツ
全種目 👥 5~10万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 新潟県

【事例】新潟県村上市の部活動地域展開 ─ 放課後デイサービスと連携したインクルーシブスポーツ

公開:2026.04.29 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・放課後デイサービス職員を「業務」として位置づけ、安定した安全管理体制を確立
・延べ920名が参加したパラアスリート体験会で、障害理解の機会を創出
・特別支援学校の生徒と地域クラブ活動の生徒が共に活動できる場を実現

自治体名 新潟県村上市
人口規模 約5万3千人(令和6年度時点)
中学校数 7校(公立中学校生徒数1,008人、部活動52部活)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ・放課後等デイサービス事業所・特別支援学校・新潟県障害者スポーツ協会連携
対象競技 全種目(陸上、ボッチャ、スクエアエアロビクス、車いすバスケットボール等)
保護者負担額 不明(調査時点で未公表)

取り組みの概要

新潟県村上市では、令和6年度に20の地域クラブ活動が地域で展開され、障害のある児童・生徒が希望する活動に参加できる体制が整いつつありましたが、実際に参加するにはハードルが高いという現実がありました。この課題に対応するため、放課後等デイサービス事業所を中心にインクルーシブなスポーツ活動環境の整備を推進しました。令和5年12月から計画・準備を開始し、令和6年9月から「楽しい運動教室」と「楽しい陸上教室」を、令和6年10月から「パラアスリート体験会」を実施。関係機関が連携して、障害の有無にかかわらず全ての子供たちが共に活動できる仕組みの構築に取り組んでいます。

特徴的な取り組み

  • 「楽しい運動教室」の実施:発達特性や障害を有する児童・生徒を対象に、平日放課後に開催(月2回・金曜16〜17時、神林総合体育館)。新潟県障害者スポーツ協会指導員とNPOスタッフが指導し、ボッチャやスクエアエアロビクスなど参加しやすい種目を提供しました。
  • 「楽しい陸上教室」の実施:特別支援学校高等部の生徒も参加する形で土曜日に開催(月1〜2回・16:30〜18時、神林多目的グラウンド)。地域クラブ活動の生徒と一緒に活動する機会を創出しました。
  • 「パラアスリート体験会」の実施:令和6年10月〜12月に3回開催。車いすバスケットボール選手(新潟WBS)が参加し、車いすバスケやポッチャ・卓球・バレーを楽しみました。学童保育所の子供たちも参加し、多様な世代・状況の子供が集まりました。
  • 放課後等デイサービス事業所との協働体制:県福祉部との協議の上、デイサービス職員がボランティアではなく業務として関わる体制を構築。参加する子供の障害への理解がある職員が安全管理に助力しました。

課題と解決策

課題 解決策
グループごとに人数や障害の有無・種類、会場への入退場の時間等が異なる 各グループとの事前打ち合わせを徹底し、個別対応できる体制を整備
放課後デイサービスのルールと各教室のルールの不統一 関係者との事前調整を実施し、指導側と管理側の相違点を解消
放課後デイサービス以外の児童・生徒への周知不足 令和7年度から特別支援学校の体育授業でスポーツに親しむ機会を提供するなど、入口を広げる取り組みを強化

成果・効果

「楽しい運動教室」では延べ97名、「楽しい陸上教室」では延べ4名、「パラアスリート体験会」では延べ920名が参加しました。「楽しい陸上教室」参加者の中には「続けたい!」と申し出て卒業後も継続参加する生徒が現れました。2つの教室が普段できない活動を体験できる場となり、子供たちにとって大変重要な経験の場となっています。「パラアスリート体験会」では様々な子供が障害について体験し、考える機会にもなりました。総合型地域スポーツクラブ、障害者福祉、行政が連携した今回の取り組みは、共生社会の実現に向けた大きな一歩となっています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集」(令和7年3月)p.96-97

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

村上市では、令和6年度に20の地域クラブ活動が展開される一方で、障害のある児童・生徒が実際に参加するには高いハードルがあるという現実があった。この課題に応えるため、放課後等デイサービス事業所・特別支援学校・新潟県障害者スポーツ協会と連携し、令和5年12月から準備を開始。令和6年9月以降に「楽しい運動教室」「楽しい陸上教室」を、10月からは「パラアスリート体験会」を実施し、延べ1,021名が参加する成果をあげた。総合型地域スポーツクラブと障害者福祉の連携によるインクルーシブスポーツの実践として注目される。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みで特に評価されるのは、放課後等デイサービス職員の位置づけである。県福祉部との協議を経て、職員が善意のボランティアではなく「業務」として関わる枠組みを構築した点が、持続性を担保する鍵となっている。障害特性を熟知した職員が安定的に配置されることで、グループごとに異なる障害種別や入退場時間への個別対応が可能になった。スポーツ部局と福祉部局の縦割りを超えた合意形成が、インクルーシブスポーツ実現の前提条件となることを、この事例は示している。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

他自治体が同様の仕組みを構築する際は、教育・スポーツ部局と福祉部局の合同プロジェクトとして立ち上げることが先決である。デイサービス職員が業務として参加できる枠組みを福祉部局と事前に合意しておくことで安全管理体制が安定し、継続的な運営が可能になる。障害者スポーツ協会等の専門組織との連携を早期に確立することも、成功の条件として挙げられる。

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