トップ 事例を探す 新潟県 【事例】新潟県佐渡市の部活動地域展開 ─ 「スキップ型」と「エンジョイ型」で生徒の多様なニーズに応える2トラック制
全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 新潟県

【事例】新潟県佐渡市の部活動地域展開 ─ 「スキップ型」と「エンジョイ型」で生徒の多様なニーズに応える2トラック制

公開:2026.04.29 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・スキップ型・エンジョイ型の二層構造で「競技志向」と「多種目体験志向」を別々の仕組みで受け止めた
・離島の地理的特性を活かしSUP・トレッキング・郷土料理など佐渡固有の種目をエンジョイ型に設定
・企業連携・SEA活用で指導者を116人から194人へ増やし多種目運営を支える人材体制を構築

自治体名 新潟県佐渡市
人口規模 約4.9万人(令和6年度時点)
中学校数 13校
運営形態 佐渡市スポーツ協会委託(エンジョイ型)+競技団体連携(スキップ型)
対象競技 全種目(スポーツ・文化活動合わせて35種目超)
保護者負担額 調査時点で未公表

取り組みの概要

新潟県佐渡市では、地域クラブ活動への移行を機に、生徒が自身のニーズに合ったスポーツ・文化活動を選べる環境づくりを目指しています。従来の部活動と同じ種目で個々のスキルアップを図る「スキップ型」と、異なるスポーツ・文化活動を選んで参加し楽しむことを目的とした「エンジョイ型」の2種類の選択肢が、地域のスポーツ・文化活動の可能性を大きく広げています。令和4年8月にニーズ調査を実施し、令和5年5月の推進協議会設置要綱制定を経て同年9月に月1回の地域クラブ活動をスタート。令和6年度には月2回に拡大し、令和7年3月までに509人が参加しています。

特徴的な取り組み

  • 「スキップ型」と「エンジョイ型」の2トラック制: スキップ型は競技力向上を目指し各競技団体の専門指導者が担当する年通じの活動(バスケットボール・バドミントン・ソフトテニス・野球・卓球・吹奏楽の6種目)。エンジョイ型は週ごとに異なるスポーツ・文化活動を月3回実施し、生徒は自分が興味ある回に自由参加できる。
  • 佐渡ならではの地域資源を生かした種目設定: マリンスポーツ・SUP(スタンドアップパドルボード)・トレッキング・空手・ゴルフ・自転車など島の地理的特性を生かした種目を多数設定。郷土料理クッキング・華道・将棋・プログラミング・ギター・茶道など文化活動も充実させ、エンジョイ型だけで35種目のラインナップを揃えた。
  • SEA(スポーツ国際交流員)と企業連携で指導者を確保: 離島という地理的条件で人材確保が難しい環境において、企業連携やSEA(スポーツ国際交流員)も活用して多様な指導者を確保。指導者数はR5年度の116人からR6年度に194人まで増加した。

課題と解決策

課題 解決策
離島という地理的条件で多様な指導者の確保が難しい 企業連携・SEA(スポーツ国際交流員)・地域の専門家・文化指導者を組み合わせ、指導者数をR5:116人からR6:194人に増加
13校に分散する生徒の移動負担が大きい エンジョイ型は市の中央付近で開催し、スキップ型は可能な限り複数拠点を設けて各地域で開催することで移動負担を軽減
多種目運営に伴う財源・用具費の確保 市全体で支える財源確保の仕組みを構築(企業協賛やクラウドファンディング等を継続検討中)

成果・効果

生徒が選択できる多種目・多志向の地域クラブ活動環境が構築され、積極的な広報により参加者数は年々増加しました。令和7年3月までに509人が参加(R5年度:スキップ型191人・エンジョイ型99人→R6年度:スキップ型245人・エンジョイ型264人)。活動を支える指導者も116人から194人へと増加し、子供たちの文化・スポーツ活動を地域全体で支えようとする気運が高まっています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集(スポーツ庁, 令和7年)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

佐渡市の取り組みでは、「スキップ型」と「エンジョイ型」という二つの仕組みを明確に分けることで、異なるニーズを持つ生徒が自分に合った活動を選べる環境を整えた。スキップ型はバスケットボール・バドミントンなど6種目を専門指導者が年間を通じて担当し、競技力向上を目指す生徒向けに設計されている。一方エンジョイ型は週ごとに種目が変わり、生徒は興味のある回に自由参加できる形式をとる。令和7年3月時点で509人が参加し、エンジョイ型の参加者はR5年度の99人からR6年度の264人へと大幅に伸びており、自由参加型の設計が多様な生徒層の取り込みに機能していることが数字に表れている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

佐渡市は13校に分散する生徒の移動負担という制約に対し、エンジョイ型は市の中央付近での開催、スキップ型は複数拠点での分散開催という形で対応している。離島という地理的条件下での人材確保には、企業連携やSEA(スポーツ国際交流員)を組み合わせ、指導者数をR5年度の116人からR6年度の194人へと増加させた。マリンスポーツ・SUP・トレッキング・郷土料理クッキングといった佐渡固有の種目を多数設定することで、「部活動の代替」にとどまらない島ならではの体験機会を生み出している点も、この取り組みの特徴的な側面となっている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

エンジョイ型の多種目設計は参加者の関心を広げる一方、週ごとに種目が変わる形式では用具・準備の問題や、指導者を個別にコーディネートする事務負担が生じる。佐渡市でも財源確保と指導者の継続育成が継続課題として挙げられている。他地域での導入を検討する際は、最初から35種目を目標とするのではなく、5〜10種目程度の小規模スタートで運営ノウハウを積み上げるアプローチが現実的な選択肢となる。

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