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全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 新潟県

【事例】新潟県佐渡市の部活動地域展開 ─ 「スキップ型」と「エンジョイ型」で生徒の多様なニーズに応える2トラック制

公開:2026.04.29 更新:2026.04.29
この記事でわかること

・新潟県佐渡市の地域移行で直面した多様なニーズへの対応の課題と解決策
・「スキップ型」「エンジョイ型」2トラック制の仕組みと参加者509人の実績
・他の自治体が参考にすべき地域の固有性を活かした種目選定の視点

自治体名 新潟県佐渡市
人口規模 約4.9万人(令和6年度時点)
中学校数 13校
運営形態 佐渡市スポーツ協会委託(エンジョイ型)+競技団体連携(スキップ型)
対象競技 全種目(スポーツ・文化活動合わせて35種目超)
保護者負担額 調査時点で未公表

取り組みの概要

新潟県佐渡市では、地域クラブ活動への移行を機に、生徒が自身のニーズに合ったスポーツ・文化活動を選べる環境づくりを目指しています。従来の部活動と同じ種目で個々のスキルアップを図る「スキップ型」と、異なるスポーツ・文化活動を選んで参加し楽しむことを目的とした「エンジョイ型」の2種類の選択肢が、地域のスポーツ・文化活動の可能性を大きく広げています。令和4年8月にニーズ調査を実施し、令和5年5月の推進協議会設置要綱制定を経て同年9月に月1回の地域クラブ活動をスタート。令和6年度には月2回に拡大し、令和7年3月までに509人が参加しています。

特徴的な取り組み

  • 「スキップ型」と「エンジョイ型」の2トラック制: スキップ型は競技力向上を目指し各競技団体の専門指導者が担当する年通じの活動(バスケットボール・バドミントン・ソフトテニス・野球・卓球・吹奏楽の6種目)。エンジョイ型は週ごとに異なるスポーツ・文化活動を月3回実施し、生徒は自分が興味ある回に自由参加できる。
  • 佐渡ならではの地域資源を生かした種目設定: マリンスポーツ・SUP(スタンドアップパドルボード)・トレッキング・空手・ゴルフ・自転車など島の地理的特性を生かした種目を多数設定。郷土料理クッキング・華道・将棋・プログラミング・ギター・茶道など文化活動も充実させ、エンジョイ型だけで35種目のラインナップを揃えた。
  • SEA(スポーツ国際交流員)と企業連携で指導者を確保: 離島という地理的条件で人材確保が難しい環境において、企業連携やSEA(スポーツ国際交流員)も活用して多様な指導者を確保。指導者数はR5年度の116人からR6年度に194人まで増加した。

課題と解決策

課題 解決策
離島という地理的条件で多様な指導者の確保が難しい 企業連携・SEA(スポーツ国際交流員)・地域の専門家・文化指導者を組み合わせ、指導者数をR5:116人からR6:194人に増加
13校に分散する生徒の移動負担が大きい エンジョイ型は市の中央付近で開催し、スキップ型は可能な限り複数拠点を設けて各地域で開催することで移動負担を軽減
多種目運営に伴う財源・用具費の確保 市全体で支える財源確保の仕組みを構築(企業協賛やクラウドファンディング等を継続検討中)

成果・効果

生徒が選択できる多種目・多志向の地域クラブ活動環境が構築され、積極的な広報により参加者数は年々増加しました。令和7年3月までに509人が参加(R5年度:スキップ型191人・エンジョイ型99人→R6年度:スキップ型245人・エンジョイ型264人)。活動を支える指導者も116人から194人へと増加し、子供たちの文化・スポーツ活動を地域全体で支えようとする気運が高まっています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集(スポーツ庁, 令和7年)

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

佐渡市の「スキップ型+エンジョイ型」の二層構造は、部活動改革の本質的な問いに正面から向き合っています。「競技力向上を続けたい生徒」と「新しいことを試してみたい生徒」というニーズは、学校の部活動では一つの組織に無理やり収めてきた存在です。佐渡市では、この二つのニーズを別々の仕組みで受け止めることで、多様な生徒全員が「自分に合った活動」を見つけやすい環境を実現しています。

また、離島という制約を「佐渡らしさ」へと転換している点も注目に値します。マリンスポーツ・SUP・トレッキング・郷土料理クッキングといった種目は、都市部の学校では実現しにくい活動です。地域の固有性を活かすことで、「部活動の代替」を超えた「地域ならではの学び」を生み出しています。この発想の転換は、自然豊かな地方自治体が地域クラブ活動の設計を行う際の参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

エンジョイ型の活動設計は魅力的ですが、「週ごとに種目が変わる」形式は参加者の用具・準備の問題が伴います。また、多種目にわたる指導者を個別にコーディネートする事務負担も大きくなります。佐渡市でも財源確保(用具費用・指導者謝金・施設費)と指導者の継続的な育成が課題として挙げられています。他地域では、最初から35種目を設定するのではなく、5〜10種目程度の小規模スタートで運営ノウハウを蓄積し、参加者の反応を見ながら種目を拡大していくアプローチが現実的です。

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