トップ 事例を探す 広島県 【事例】広島県北広島町の部活動地域展開 ─ 26クラブ中24が「部活動にない新規種目」、まちづくり推進課が所管し月500円
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【事例】広島県北広島町の部活動地域展開 ─ 26クラブ中24が「部活動にない新規種目」、まちづくり推進課が所管し月500円

公開:2026.07.31 更新:2026.07.31
この記事でわかること

・26クラブ中24が部活動にない新規種目という、既存団体を活かす北広島町の構成
・教育委員会ではなくまちづくり推進課が所管し、活動費支援と広報を担う体制
・月額500円+スポーツ安全保険年800円という費用設計と、平日夜間・隔週土曜の使い分け

自治体名 広島県山県郡北広島町
人口規模 約1.6万人(2026年時点)
中学校数 町公表資料では未提示(活動場所として大朝中学校屋内運動場等を使用)
運営形態 スポーツ協会・総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、民間スポーツ団体が運営。町は「まちづくり推進課」が所管し活動費支援と広報を担う
対象競技 バレーボール、卓球、軟式野球、クロスカントリースキー、ソフトテニス、柔道、剣道、空手、サッカー、器械体操、バスケットボール等
保護者負担額 月額500円(年額6,000円)。別途スポーツ安全保険料が生徒1人あたり年800円

取り組みの概要

北広島町は令和7年度に26の地域クラブ活動を実施しました。特徴的なのはその内訳で、部活動を地域移行した形のクラブは2クラブ(2部活動)にとどまり、残る24クラブは「部活動にはない種目等の新規クラブ」です。既存部活動の受け皿づくりよりも、地域に元々ある活動を地域クラブとして位置づけ直し、選択肢を面で広げる進め方をとっています。町は独自に「北広島町地域スポーツクラブ活動体制整備事業」を策定し、地域スポーツクラブへの支援を行っています。所管は教育委員会ではなくまちづくり推進課で、地域スポーツクラブの活動費への支援と団体の広報を担い、クラブ側は生徒の受け入れ・指導と活動状況の情報提供を担う関係です。指導者は68人、運営スタッフも68人が関わっています。

特徴的な取り組み

  • 26クラブ中24クラブが新規種目: 部活動を地域移行した形の地域クラブ活動は2クラブ(2部活動)で、部活動にはない種目等の新規クラブが24クラブを占めます。学校にある部を移すのではなく、地域にある活動を中学生が参加できる形に整えるという発想です。
  • まちづくり推進課が所管する: 運営体制図の頂点にあるのは町のまちづくり推進課です。地域スポーツクラブの活動費への支援と団体活動状況の広報事業活用を町が担い、クラブは生徒の受け入れ・指導と活動状況の情報提供を行うという連携・支援の関係が示されています。部活動改革を教育行政ではなくまちづくり施策として位置付けた構成です。
  • 会費は月500円に統一: 大朝地域スポーツ協会のバレーボール・卓球はいずれも年額6,000円(月額500円、令和7年度時点)です。保険料はスポーツ安全保険で生徒1人あたり年800円、指導者1人あたり年1,850円が別途かかります。
  • 平日夜間と隔週土曜という組み合わせ: バレーボールは平日の火曜日に週1回、19時30分から21時まで。卓球は隔週土曜日に9時から11時30分までと、種目によって平日夜と休日午前を使い分けています。休日だけに限定しない運用です。
  • 町独自の支援事業を制度化: 「北広島町地域スポーツクラブ活動体制整備事業」という町版の事業を策定し、地域スポーツクラブへの支援を制度として整えました。
  • 運営主体を3系統に整理する: スポーツ協会・総合型地域スポーツクラブ(団体内の各部・教室)、スポーツ少年団、民間スポーツ団体の3系統を運営主体として並べ、それぞれが担う種目を示しています。指導者の調整、活動場所の利用調整、スケジュール管理、学校や指導者との連絡調整、保険対応、保護者連携等はクラブ側が担います。
  • 大会参加は中体連と地域クラブで使い分ける: 中学校体育連盟の大会には部活動として、その他の大会には地域クラブとして参加する形をとっています。
  • 移動は徒歩と保護者送迎: 主な移動手段は徒歩と保護者送迎で、活動場所は大朝体育館、大朝B&G海洋センター、大朝中学校屋内運動場です。

課題と解決策

課題 解決策
人口規模が小さく、学校ごとに部活動の受け皿を用意することが難しい 部活動を移行する形のクラブ2つに加え、部活動にはない種目等の新規クラブ24を含む計26クラブを整備し、地域にある活動を中学生の選択肢として位置付ける
地域スポーツクラブの運営に必要な費用を賄えない 町独自に「北広島町地域スポーツクラブ活動体制整備事業」を策定し、活動費への支援と団体活動状況の広報事業活用を町が担う
会費が高いと参加をためらう生徒が出る 月額500円(年額6,000円)に設定し、保険はスポーツ安全保険(生徒1人あたり年800円)で別立てとする
指導者の調整、活動場所の利用調整、学校との連絡、保険対応など運営実務が多岐にわたる スポーツ協会・総合型地域スポーツクラブ等の主管団体が指導者の調整、活動場所の利用調整、スケジュール管理、学校や指導者との連絡調整、保険対応、保護者連携等を担う役割分担とする
休日だけでは活動機会が限られる バレーボールは平日火曜の19時30分〜21時、卓球は隔週土曜の9時〜11時30分と、種目ごとに平日夜間と休日午前を使い分ける
活動場所までの移動手段がない 徒歩と保護者送迎を前提に、大朝体育館・大朝B&G海洋センター・大朝中学校屋内運動場など生活圏内の施設で実施する

成果・効果

令和7年度に実施した地域クラブ活動は26クラブで、指導者68人・運営スタッフ68人が関わりました。うち部活動を地域移行した形のクラブは2クラブ(2部活動)、部活動にはない種目等の新規クラブが24クラブです。大朝地域スポーツ協会が運営するクラブでは、バレーボールが令和7年9月から平日火曜に週1回・19時30分〜21時で実施され、参加者は中学1年3名・2年5名・3年7名の計15名、指導者5人・運営スタッフ5人という体制です。卓球は隔週土曜の9時〜11時30分で、参加者は中学1年5名・2年4名の計9名、指導者2人・運営スタッフ2人となっています。活動期間は9月1日から3月31日で、実施日数はバレーボールが月4回程度、卓球が月2回程度です。

指導者の主な属性はスポーツ協会指導者で、1人あたりの参加会費等はバレーボール・卓球ともに年額6,000円(月額500円)、保険料は生徒1人あたり年800円、指導者1人あたり年1,850円です。町全体の種目としては、スポーツ協会・総合型地域スポーツクラブがバレーボール・卓球・軟式野球・クロスカントリースキー等、スポーツ少年団が軟式野球・ソフトテニス・バレーボール・柔道・剣道・空手等、民間スポーツ団体がサッカー・器械体操・バスケットボール等を担っています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 海田町・北広島町・世羅町」(PDF)

→ 原文: 広島県教育委員会「公立中学校部活動の地域展開等に係る取組状況」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

部活動の地域展開は通常、既存の部をどこへ移すかという引き算の議論になります。北広島町の内訳はその逆で、26クラブのうち部活動を移行したものは2クラブだけ、残る24クラブは部活動にない新規種目です。町は学校にある部を数える発想ではなく、地域に既にあるスポーツ少年団・スポーツ協会・民間団体の活動を中学生が参加できる形に整え直しました。所管がまちづくり推進課である点も、この発想と一致しています。部活動改革を教育行政の課題としてではなく、地域スポーツ環境の整備というまちづくり施策として扱っているためです。人口約1.6万人の町で26クラブという数が成立しているのは、ゼロから受け皿をつくらなかったからにほかなりません。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

既存団体を地域クラブとして位置付け直す方式には、二つの前提があります。第一に、地域に活動団体が実際に存在すること。北広島町にはスポーツ協会・総合型クラブ・スポーツ少年団・民間スポーツ団体という4系統が揃っており、この層の厚さが26クラブを支えています。団体が少ない自治体が同じ数を目指しても届きません。第二に、既存団体が中学生を受け入れられること。小学生中心のスポーツ少年団に中学生を加えるには、練習時間・指導内容・保険の扱いを組み替える必要があります。導入する自治体は、団体数を数える前に「中学生を受け入れられる団体はいくつか」を確認すべきです。もう一つの論点は、新規種目中心の構成では既存部活動の受け皿が埋まらないことです。北広島町でも移行したのは2部活動のみで、残る部活動をどうするかは別の課題として残ります。新規クラブによる選択肢の拡大と、既存部活動の移行は別の作業であり、両方を進める工程が要ります。会費月500円という水準も、町の活動費支援があって成立している点に注意が必要です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

町独自の「北広島町地域スポーツクラブ活動体制整備事業」を制度として策定し、活動費支援と広報という町の役割を明示している点は、単年度の実証にとどまらない枠組みとして評価できます。指導者の調整・活動場所の利用調整・スケジュール管理・学校や指導者との連絡調整・保険対応・保護者連携をクラブ側の役割として整理し、スポーツ安全保険の加入額まで示していることも実務的です。中体連の大会は部活動、その他は地域クラブという参加方法の使い分けも明快です。一方、運営スタッフ68人という数は指導者数と同数であり、多くのクラブで指導者が運営実務も兼ねている可能性があります。会費月500円という水準では事務負担に見合う対価を支払えないため、町の支援が細れば運営者の善意に依存する構造が表面化しかねません。

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