【事例】宮崎県小林市の部活動地域展開 ─ 会費0円で25クラブを試行し、受益者負担への理解を85%まで確認
・小林市が市内8校・25クラブを会費0円で試行し、活動回数を年15回程度に設定した実際の運用
・協議会の事務局を教育委員会、専門部会の事務局をスポーツ協会に分けた役割分担の設計
・受益者負担への理解85%・教職員の負担感83%というアンケート結果と、次の財源検討の論点
| 自治体名 | 宮崎県小林市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約4.1万人(40,906人/令和7年2月1日現在) |
| 中学校数 | 9校(生徒1,122人・部活動50部) |
| 運営形態 | 小林市地域クラブ活動推進協議会(事務局=市教育委員会学校教育課)/専門部会の事務局を小林市スポーツ協会に委託 |
| 対象競技 | 軟式野球、陸上、バレーボール、ソフトテニス、ハンドボール、サッカー |
| 保護者負担額 | 参加会費なし(令和6年度実証時点)。別途スポーツ安全保険が生徒1人800円/年 |
取り組みの概要
小林市は令和3年4月に「小林市地域クラブ活動推進協議会」を設置し、モデル校1校5部活動から地域クラブ活動の試行を始めました。令和6年度はモデル校を拡大し、市内8校・25クラブで試行を実施しています。移行対象となったのは25部活で、新種目を新設した地域クラブは0でした。
活動期間は7月から1月までで、回数は前年度までの実績をもとに「15回程度」と設定。指導者37人・運営スタッフ1人という体制で、平日と休日の双方に地域指導者が入る形をとりました。活動場所は各中学校で、移動は徒歩・自転車・保護者送迎です。
令和6年度は、これまでの試行の成果と課題を協議会で整理し、「小林市地域クラブ活動の在り方に関する方針」を策定しました。ただし、この方針は改革推進期間である令和7年度末までを対象としたもので、令和8年度以降は国・県の動向を見て見直す前提が報告書に明記されています。
特徴的な取り組み
- スポーツ協会が「専門部会の事務局」を担う: 市教育委員会(学校教育課)が協議会全体の事務局を務め、その下に置いた専門部会の事務局を小林市スポーツ協会に委託しました。スポーツ協会が各競技団体との窓口になることで、地域指導者の派遣を効率的に進められたと報告されています。
- 参加会費0円での試行: 令和6年度の地域クラブ活動は会費を徴収していません。保険はスポーツ安全保険に加入し、生徒1人あたり800円/年、指導者1人あたり1,850円/年で運用しました。
- 顧問と地域指導者を一堂に集める会議・研修: 令和6年7月29日と10月23日に各1時間程度の指導者研修を実施。市教育委員会と市スポーツ協会からなる事務局が運営方針とスケジュールを説明したうえで、部活動顧問と地域指導者が直接顔を合わせ、練習内容の方針をすり合わせました。「部活動と地域クラブ活動で極端な差が出ないよう調整できた」という受講者の声が記録されています。
- 指導者不足を合同練習で吸収: 学校内の男女合同練習に加え、バレーボール(三松中学校・細野中学校)、ソフトテニス(三松中学校・細野中学校)、サッカー(三松中学校・小林中学校)で学校間の合同練習を、野球(細野中学校)ではスポーツ少年団との合同練習を実施しました。少人数の指導者で複数クラブを見られるうえ、指導者が複数集まることでより専門的な指導が可能になったと評価しています。
- 学校施設を休日も開ける: 授業や学校行事で使用しない時間は積極的に開放する仕組みを整え、生徒が自力で会場へ移動できる状態を維持しました。一般利用がないため日程調整も柔軟に行えています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 全部活動をクラブ化するには指導者数が足りない | 専門部会の事務局を小林市スポーツ協会に委託し、各競技団体からの指導者派遣ルートを確立。あわせてスポーツ協会に人材バンクを設置することを今後の課題として位置づけている |
| 地域指導者は競技知識は豊富だが、生徒指導のスキルに差がある | 年2回の指導者研修を実施。今後は外部講師の派遣、けが発生時の対応、実技指導を含めた研修内容の充実を検討している |
| 会費0円の試行を、どう持続可能な財源に切り替えるか | ふるさと納税・寄付金・受益者負担を含めた自主財源のあり方を協議会で検討する方針。保護者アンケートで負担への理解度を先に確認した |
| 休日の体育館の施錠・解錠を教職員が担っている | 休日でも教職員が鍵の開け閉めをしなくてよい環境整備が必要と報告書に明記し、次年度以降の検討課題としている |
| 指導回数が「15回程度」の設定に対してばらつきが出た | 地域指導者と部活動顧問の調整に委ねた結果、設定より多い活動も少ない活動も発生。次年度以降の調整課題として整理している |
成果・効果
令和6年8月22日から1週間、部活動加入生徒・保護者・教職員を対象にアンケートを実施し、生徒198名・保護者192名・教職員28名から回答を得ています。タブレット端末を使ったオンライン形式で実施したため、集計と分析が容易だったと報告されています。
費用負担についての設問では、「保護者が負担すべきである」が164名(85%)、「負担すべきでない」が28名(15%)という結果でした。負担すべきでないと回答した保護者からは「部活動とは別にかかるとなると負担は大きい」「気軽に入部できなくなるのではないか」「負担が増えて部員が減るのは活動の趣旨と異なるのでは」といった意見が挙がっています。
教職員側では、部活動顧問に負担を感じている割合が83%でした。「専門的な指導はできない。部活動の顧問は負担が大きい」「経験のない部活動指導において、見通しをもった効率的、合理的な指導、部活動運営は困難である」といった声が記録されています。市の部活動加入率は令和6年度で66.3%、生徒数は令和元年度からの6年間で52人減少し、運動部は6つ減っています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 宮崎県小林市」(PDF)
→ 検索システム: スポーツ庁 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 報告書検索システム
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