【事例】広島県三原市の部活動地域展開 ─ 「夕方以降がよい」54%の声を受けバスケを19時開始に、参加者41人で最多に
・「夕方以降がよい」54%というアンケート結果に合わせて活動時間帯を動かした三原市の判断
・月額ではなく1回100円〜200円の都度払いにした受益者負担の設計思想
・休日は教育委員会、平日は首長部局という段階別の運営主体の分け方
| 自治体名 | 広島県三原市 |
|---|---|
| 人口規模 | 85,575人(令和7年度・実証事業報告書) |
| 中学校数 | 公立中学校10校・生徒数2,016人(運動部活動81部活) |
| 運営形態 | 休日は教育委員会(学校教育課)が移行モデルの運営主体、平日を含む地域移行は首長部局(スポーツ振興課)が運営主体。三原市体育協会の加盟団体が指導者を派遣 |
| 対象競技 | バレーボール、卓球、陸上競技、サッカー、バスケットボールの5競技(令和8年度は7種目へ拡大予定) |
| 保護者負担額 | 1回の参加につき100円〜200円(サッカーを除く4競技・令和7年度) |
取り組みの概要
三原市は令和4年に地域移行の検討を開始し、令和5年に受け皿団体・指導者の選定と拠点校の選定、令和6年に学校現場との調整と競技種目数の拡大を進め、令和7年に推進協議会を設置して「三原市立中学校における運動部活動の地域展開に関する基本方針」を策定・周知しました。令和7年度は令和6年度の3拠点3競技3種目から4拠点5競技5種目へ拡大し、7月からバレーボール・卓球・陸上競技・サッカー・バスケットボールで地域スポーツ活動を開始しています。特徴的なのは活動時間帯を種目によって夕方へ変更した点で、バスケットボールを19時から21時に設定したところ参加者41名と実施種目の中で最多となりました。市は令和8年度に7種目へ拡大し、令和10年度末での休日部活動廃止、令和11〜13年度に平日部活動の廃止を目標としています。
特徴的な取り組み
- アンケートで判明した「夕方以降54%」に時間帯を合わせる: 理想的な活動の開始時間を尋ねたところ、夕方以降(18:00〜21:00)が54%、午前中(8:00〜12:00)が29%、午後(13:00〜17:00)が17%という結果でした。市はこれを受けてバスケットボールを19時〜21時に設定し、参加者41名と最多を記録しています。土曜日の午前中は部活動を実施する学校が多く同じ時間帯の地域スポーツ活動には参加しにくいという実態も、市は課題として明記しました。
- 休日は教育委員会、平日は首長部局という役割分担: 教育委員会(学校教育課)が休日部活動の移行モデルの運営主体と拠点校における調整を担い、首長部局(スポーツ振興課)が平日も含めた地域移行の運営主体と体育協会加盟団体との連携を担当します。移行の段階ごとに主管を分ける整理です。
- 参加費を「1回100円〜200円」で設定する: 令和6年度の保険料負担に加え、令和7年度は受益者負担として会費を徴収しました。月額ではなく1回の参加につき100円〜200円という都度払い方式です。市は「月額で会費等を設定した場合、参加をためらう生徒がいる可能性もある」と設定理由を記しています。
- 指導者に1時間1,200円を市から支払う: 実証事業参加団体の指導者には、市から1名あたり1時間1,200円が支払われます。参加団体の活動については教育委員会が施設を予約し、照明料も無料としています。
- 推進協議会に中体連・PTA連合会・校長会を入れる: 推進協議会の構成団体は三原市体育協会、三原市PTA連合会、三原市中学校体育連盟、三原市中学校長会です。指導者側・保護者側・大会運営側・学校側の四者が同じ場で協議します。
- 種目を絞る根拠を実態から導く: サッカーは市内10校のうち4校でしか部活動が行われておらず、各校における部活動種目の再編も必要になっているとし、種目の選定を学校の設置状況から逆算しています。ただし令和7年度のサッカーには申込みがありませんでした。
- 令和10年度末の休日廃止を工程表に明記: 令和8〜10年度を改革実行期間(前期)として令和10年度末での休日部活動廃止を掲げ、令和11〜13年度を後期として平日部活動の廃止を目標に置いています。市立中学校にある運動部の7種目については令和10年度末まで実証事業で実施する予定です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 土曜日の午前中は部活動を実施する学校が多く、同じ時間帯の地域スポーツ活動には参加しにくい | 生徒アンケートで夕方以降を望む声が54%を占めたことを受け、バスケットボールを19時〜21時に設定。参加者41名と最多となった実績をもとに、夕方以降の実施を他の種目でも検討する |
| 月額の会費を設定すると、参加をためらう生徒が出る可能性がある | 1回の参加につき100円〜200円という都度払いの受益者負担とし、あわせて学校体育施設の利用を無償化できる体制を整える |
| 生徒数の減少により、団体種目で合同チームを組まなければ大会に出場できない競技種目が増加している | 令和6年度の3拠点3競技3種目から令和7年度は4拠点5競技5種目へ、令和8年度は7種目へと拠点と種目を段階的に拡大する |
| 地域スポーツ指導員の確保と質の高い指導力が求められる | 三原市体育協会の加盟団体との協議やヒアリングを通じて指導者を確保し、令和6年度より2種目多い5種目での活動を実現。指導者には市から1名あたり1時間1,200円を支払う |
| 中山間地域では活動場所までの移動手段が課題となる | 移動手段を含めた対策が必要であるとして、拠点の設定とあわせて検討を進める |
| 休日の地域展開後も平日の部活動は学校で実施されるため、平日と休日の連携が途切れる | 平日と休日のスムーズな連携に向けた協議を推進協議会を中心に各競技団体とも実施する |
| 持続可能な活動には受益者負担の増額が必要だが、増額すれば参加人数が減少しかねない | 参加人数が減少すれば活動自体が困難になる可能性もあるとして、引き続き検討を進める |
成果・効果
令和7年度は7月から、バレーボール・卓球・陸上競技・サッカー・バスケットボールの5競技で地域スポーツ活動が始まりました。前年度までの3競技に加えてバスケットボールとサッカーで新たに事業を展開したところ、バスケットボールは活動時間帯を19時から21時に設定したことで参加者41名と実施種目の中で最多となりました。市は「競技未経験者や午前中の部活動を終えて参加する生徒等個々のニーズに応じた取組となった」と評価しています。一方、サッカーについては申込みがありませんでした。
費用面では、保護者を対象に実施した受益者負担額に関するアンケートで、サッカーを除く4競技について回答のうち67%が安いと感じ、33%が妥当と回答しています。実証事業への参加団体は学校施設の利用を減免しており、スムーズな活用につながりました。三原市の公立中学校在籍生徒数は平成24年度の2,321人から令和6年度は2,025人へ減り、令和12年度に1,601人、令和18年度には1,081人まで減少すると予測されています。市は令和8年度に市内公立中学校で生徒が所属している運動部活動の7種目すべてで実施する計画で、中学校部活動の募集停止を含めた生徒・保護者への継続した説明を工夫した点として挙げています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 広島県・三原市・府中市・三次市・安芸高田市・府中町」(PDF)
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