トップ 事例を探す 広島県 【事例】広島県尾道市の部活動地域展開 ─ 令和9年度休日展開と地域クラブ活動検索サイト80団体で選択肢を広げる
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 広島県

【事例】広島県尾道市の部活動地域展開 ─ 令和9年度休日展開と地域クラブ活動検索サイト80団体で選択肢を広げる

公開:2026.07.22 更新:2026.07.22
この記事でわかること

・尾道市が令和9年度中に休日部活動を地域展開する推進計画と「休日は学校部活動を原則実施しない」方針
・地域クラブ・公民館活動・ボランティア・学習趣味の4選択肢と80団体以上を束ねる検索サイト
・部活動改革を郷土教育・まちづくりに接続した設計と他地域への示唆

自治体名 広島県尾道市
人口規模 約12.6万人
中学校数 市立中学校(複数校)
運営形態 行政主導(尾道市教育委員会 学校経営企画課)による地域展開。地域クラブ・公民館活動・ボランティア等の多様な受け皿を検索サイトで束ねる
対象競技 スポーツ・文化芸術の全種目、およびボランティア・公民館活動・学習趣味等
保護者負担額 会費は各地域クラブで異なる(無料〜有料)。用具代・材料代等の実費が生じる場合あり

取り組みの概要

尾道市は、令和7年11月に「尾道市部活動地域展開推進計画」を策定し、令和9年度中に休日(土日祝)の部活動を地域に展開して、休日は学校での部活動を原則実施しない方針を打ち出しました。少子化による生徒数減少と学校の働き方改革でこれまでの部活動体制の維持が難しくなったことが背景で、国が令和13年度までに全ての休日部活動の地域展開を目指す中、尾道市は「地域資源を生かした尾道らしさのある部活動の地域展開」を掲げています。特徴は、部活動をそのまま地域へ移すのではなく、地域クラブ・公民館活動・ボランティア・学習趣味活動など「部活動の枠にとらわれない多様な休日の選択肢」を用意し、生徒が主体的に選べる形にした点です。当面は平日の学校部活動を存続させつつ、将来的には平日も含めた地域展開を目指します。

特徴的な取り組み

  • 「知る・広がる・つながる」を掲げた多様な選択肢: 休日の過ごし方を、①地域クラブに参加して仲間と楽しむ、②公民館活動で様々な世代と活動する、③ボランティアや各種イベントに参加する、④学習や趣味の時間にする、という4つの選択肢に広げました。地域の幅広い世代と関わることで「地域を知る」「世界・夢が広がる」「地域とつながる」ことを通じ、尾道への愛着や誇りをもち将来地域に貢献したいと思える人材を育てることを目標に据えています。
  • 地域クラブ活動検索サイトで80団体以上を集約: 「尾道市地域クラブ活動検索サイト」を開設し、休日に活動できる地域クラブ(公民館活動含む)を活動別・地域別に80団体以上掲載。中学生が参加できる休日のイベントやボランティア活動の情報も載せ、生徒が住んでいる地域から受け皿を探せるようにしています(尾道市の児童生徒アカウントからのみ閲覧可)。
  • 参加の任意性と大会参加の両立: 学校の部活動への参加も地域クラブへの参加もどちらも任意で、生徒が主体的に選択できます。中体連の大会やコンクール等は休日開催が多いため学校の部活動として参加でき、地域クラブ所属生徒も各クラブの判断で参加可能。移動は徒歩・自転車・公共交通機関を基本とし、活動場所によっては保護者送迎を依頼する場合があるなど、実務上の取り決めをQ&Aで明示しています。

課題と解決策

課題 解決策
少子化・働き方改革で従来の部活動体制の維持が困難 令和9年度中に休日部活動を地域展開し、休日は学校部活動を原則実施しない方針を推進計画で明示
単に部活動を地域に移すだけでは参加者・指導者が確保できない 地域クラブ・公民館活動・ボランティア・学習趣味等へ選択肢を広げ、生徒が主体的に選べる仕組みに
生徒・保護者が受け皿を見つけにくい 「地域クラブ活動検索サイト」に80団体以上を活動別・地域別で掲載し、住んでいる地域から検索可能に

成果・効果

尾道市は、令和7年11月に推進計画を策定し、保護者向け・学校教職員向けのリーフレットとQ&Aを整備するなど、令和9年度の休日地域展開に向けた住民周知を丁寧に進めています。最大の実装成果が「地域クラブ活動検索サイト」で、休日に活動できる地域クラブ・公民館活動を80団体以上、活動別・地域別に掲載し、生徒が主体的に受け皿を選べる基盤を整えました。部活動を「そのまま地域へ移す」のではなく、地域クラブ・公民館・ボランティア・学習趣味という4つの選択肢に再構成し、「尾道への愛着や誇りをもち将来地域に貢献したいと思える人材の育成」という郷土教育の文脈に接続した点が特徴です。会費・移動・保険といった実務論点をQ&Aで先回りして示し、参加の任意性と中体連大会参加を両立させる設計で、移行の不安を軽減しています。

出典

→ 原文: 尾道市部活動地域展開推進計画(令和7年11月・尾道市公式ホームページ 部活動地域展開情報サイト)
→ 参考: 尾道市 部活動地域展開 情報サイト(尾道市教育委員会学校経営企画課)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

尾道市の発想で注目すべきは、「部活動の受け皿=地域クラブ」という狭い枠を超えて、公民館活動・ボランティア・学習趣味まで休日の選択肢に含めた点です。多くの自治体が「部活動をどのクラブに移すか」で悩む中、尾道市は「休日の過ごし方そのものを豊かにする」という上位の目的に組み替えました。これにより、競技志向でない生徒や、そもそもスポーツ・文化以外に関心がある生徒も取りこぼしません。さらに、それを「地域を知り、尾道への愛着を育て、将来地域に貢献する人材を育てる」という郷土教育の物語に接続したことで、部活動改革を単なる負担軽減ではなく、まちづくりの施策として位置付け直しています。検索サイトに80団体を集約した実装力も、構想を絵に描いた餅にしていません。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

選択肢を広げる方式は理念として魅力的ですが、「多様な受け皿がある地域」でないと成立しません。尾道市は公民館活動が活発で地域クラブも一定数あるからこそ80団体を集約できました。導入する場合は、まず自地域にどんな休日活動資源(クラブ・公民館・NPO・イベント)があるかを棚卸しし、尾道市の検索サイトのように一元的に見える化することが第一歩です。あわせて、会費・移動・保険といった保護者の実務不安をQ&Aで先回りして解消し、参加の任意性と中体連大会参加の両立を明示することが、選択肢が多いゆえの「分かりにくさ」を防ぐ鍵になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

推進計画を策定し、保護者向け・教職員向けリーフレットとQ&Aを整備、検索サイトで受け皿を可視化している点で、計画性と透明性は高い水準にあります。多様な選択肢を許容する設計は、特定の受け皿団体への依存を避け、地域全体で子どもを支える持続的な構造になり得ます。一方、会費が各クラブ任意で無料〜有料が混在するため、経済的事情による参加格差への配慮や、地域クラブの質の担保(認定制度等)が今後の論点です。検索サイトの掲載団体をどこまで増やし、質を保ちながら維持できるかが、令和9年度の休日展開を実効あるものにできるかの分岐点になります。

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