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【事例】岐阜県羽島市の部活動地域展開 ─ 3総合型クラブ連携で「スポーツクラブ840」を設立

公開:2026.04.29 更新:2026.04.29
この記事でわかること

・岐阜県羽島市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景(3総合型クラブの上位組織設立)と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 岐阜県羽島市
人口規模 約66,200人(令和7年7月時点)
中学校数 5校
運営形態 一般財団法人スポーツクラブ840(3総合型地域スポーツクラブの上位組織)
対象競技 全種目(市内全ての地域クラブ活動を包括的に運営)
保護者負担額 不明(調査時点で未公表)

取り組みの概要

岐阜県羽島市では、少子化が進む中でも市内全ての子供たちに十分な選択肢を用意するため、3つの総合型地域スポーツクラブが連携強化を推進してきました。「はしまモアスポーツクラブ」「はしまなごみスポーツクラブ」「はしま南部スポーツ村」の3クラブが各中学校ごとに地域クラブ活動の運営を担っていましたが、少子化の影響で生徒数が少ない学校では選択肢の充実が困難でした。令和元年度から部活動改革の検討を開始し、令和3年4月に「はしまなごみスポーツクラブ」が先行して地域クラブ活動を開始。令和6年10月、3団体が連携した上位組織「一般財団法人スポーツクラブ840」を設立し、令和7年4月から市内全ての休日部活動を地域クラブ活動へ移行しました。

特徴的な取り組み

  • 3総合型クラブ連携による上位組織の設立: 各クラブの役員が中心メンバーとなり、一般財団法人スポーツクラブ840を設立。単なる団体間の連携ではなく、新法人を立ち上げることで運営業務や経理業務のルール・マニュアルを一元化し、スムーズな運営を実現した。
  • 意見交換会による合意形成: 1回60〜70名が参加するワールド・カフェ形式の意見交換会を開催。指導者だけでなく、自治会等にも参加を呼びかけ、クラブの垣根を越えた連携の場として機能させた。
  • 中学校区を越えた選択肢の提供: スポーツクラブ840の設立により、中学校区にかかわらず市内の中学生が全ての地域クラブ活動に参加できる体制を実現。単独でサッカー部のチーム編成ができない学校の生徒を統合し、市内合同チームを結成して県大会上位の成績を収めるなどの成果を生んだ。

課題と解決策

課題 解決策
少子化により生徒数が少ない学校では、単独でチームを編成できず選択肢が限られた 3クラブの上位組織が市全体を管轄することで、学校区を越えた合同チーム編成が可能に
各クラブが独立して運営しており、調整・連携を推進・統括する新たな組織が必要だった 外部コンサルタントの意見も取り入れ第三者視点・客観的データを提示しながら3団体の合意を形成。一般財団法人を設立して業務ルールを一元化
指導者の発掘と育成が継続課題であり、新たな指導者のさらなる育成が必要 クラブを卒業した生徒が指導者として戻ってくる循環が生まれており、人材育成の仕組みとして期待

成果・効果

令和7年4月から市内全中学校の休日部活動を地域クラブ活動へ移行し、中学校区にかかわらず市内の中学生が全ての地域クラブ活動に参加できる体制が実現しました。少子化が進む学校においても子供たちの選択肢を広げることができ、陸上競技部がない学校の生徒が市内の陸上競技クラブで取り組み、駅伝の県大会に出場するなどの成果も生まれています。また、スポーツクラブ840の設立により、部活動改革を含めた地域全体のスポーツ環境について、市民が自分事として考えられる新たなコミュニティが形成されました。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集」pp.42-43

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

羽島市の最大の特徴は、既存の総合型クラブを「廃止・再編」するのではなく、「上位組織を作って連携を深化させる」という発想で統合を実現した点です。各クラブは独自のブランドを保ちながら、共通の法人のもとで運営ルールを一元化するという「緩やかな統合」の形は、強引な統廃合に伴う軋轢を回避しながら機能的な連携を生み出す現実的なアプローチです。

また、意見交換会にクラブ外の地域住民(自治会等)も招いた点も重要です。部活動改革は学校・保護者・指導者だけの問題ではなく、地域社会全体の課題であるという認識を広げることで、より強固な地域の支持基盤を形成しています。学校区を越えた合同チームが県大会上位の成績を収めたことは、「地域移行で競技力が落ちる」という不安に対する具体的な反証となり得る成果です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

複数の総合型クラブが並存する地域では、「誰が主導権を握るか」という綱引きが生じやすい課題があります。羽島市では外部コンサルタントを活用し、第三者の視点と客観的なデータを提示することで、特定クラブへの利益誘導という疑念を払拭しながら合意形成を進めました。中立的な立場のファシリテーターの活用は、多団体が関わる統合プロセスにおいて有効な手段といえます。

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