トップ 事例を探す 岐阜県 【事例】岐阜県本巣市の部活動地域展開 ─ 部活動特任指導員1名×育成会35名×35クラブ79名指導者の全市完全移行モデル
全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 岐阜県

【事例】岐阜県本巣市の部活動地域展開 ─ 部活動特任指導員1名×育成会35名×35クラブ79名指導者の全市完全移行モデル

公開:2026.05.21 更新:2026.05.21
この記事でわかること

・退職校長を特任指導員とした人口3万規模の市完全地域移行モデル
・年会費200円という超低額負担を支える指導者謝金と育成会協働構造
・35クラブ・79名指導者・100%地域指導者配置の3年間実装プロセス

自治体名 岐阜県本巣市
人口規模 32,906人(2024年時点)
中学校数 4校(A中7部・B中14部・C中11部・D義務教育学校2部)
運営形態 市部活動推進協議会×部活動特任指導員×育成会連携モデル
対象競技 陸上・軟式野球・男女バスケットボール・男女バレーボール・男女ソフトテニス・卓球・剣道・柔道・女子ソフトボール・サッカー・バドミントン(11種目)
保護者負担額 年会費200円(市登録費)+保険料生徒800円/年

取り組みの概要

岐阜県本巣市は、令和4年度より休日の部活動を全校で地域に移行して実施しています。市内退職校長を「部活動特任指導員」として教育委員会社会教育課に配属し、市内全中学校の休日部活動34部を「本巣市部活動推進協議会」が統括する独自モデル「本巣市部活動支援クラブ」を構築しました。令和6年度時点で35地域クラブに対し79名の地域指導者を確保し、市内全部活動に地域指導者を配置することに成功しています。スポーツ庁実証事業を活用し、土・日のどちらか1日3時間以内・年48回まで・時給1,500円の指導者謝金支援も実施しています。

特徴的な取り組み

  • 部活動特任指導員1名配置: 市内退職校長を教育委員会社会教育課に専任配属し、学校・育成会・地域指導者・施設管理者間の連絡調整、会計業務、研修会運営を一手に担う体制。事務局問い合わせがほぼゼロ状態を実現しています。
  • 育成会×地域指導者の協働体制: 各クラブに育成会長(運営補助者)35名を配置し、市補助金活用・会計業務・施設使用責任・生徒の輸送等を担当。指導者79名と役割を分離し負担を集中させない設計です。
  • 年会費200円という低廉負担: 市登録費として年200円のみを保護者負担とし、活動費補助・指導者報償費・公民館施設の減免を市が支える受益者最小負担モデルを構築しています。
  • 指導者の年2回研修義務化方針: 令和7年度より全地域指導者にJSPO・県認定書等の資格取得を求めることを「地域指導者認定基準」として明文化。質の保障と量の確保を両立させる仕組みです。
  • 合同支援クラブ・拠点校支援クラブ: 山間部・小規模校・少子化への対応として、市内中学校間で合同チームを編成。市内全小中学校職員説明と「Q&A」配付で合意形成を丁寧に進めました。

課題と解決策

課題 解決策
4校の規模差(A中7部・B中14部・C中11部・D義務2部)と山間部・小規模校への対応 「合同支援クラブ」「拠点校支援クラブ」の2形態を導入し、人数不足部活動も大会参加可能に
指導者の高齢化・量の確保 地域指導者を3年間で45名→79名に拡大。育成会経由の継続発掘と指導者謝金(時給1,500円)支援で確保
勝利至上主義クラブチームと地域クラブの共存 研修会で「子どもが主役」「自律できるひと」を理念に共有。指導者・育成会・保護者の理解促進

成果・効果

令和4年度から3年間で、市内全部活動への地域指導者配置を完了。教職員の休日部活動参加日数が大幅に減り、特に大会開催月以外(8月〜11月)の参加割合は20〜30%まで低下しました。指導者・育成者研修会は令和4・5年度合計364名が参加、令和6年度第1回は102名で過去最多。R5までにJSPO資格取得者40名・スタートコーチ29名・各団体資格54名を達成、R6でさらに41名増となり、指導の質も着実に向上しています。

出典

→ 原文: スポーツ庁 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 本巣市実証事業報告書

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

本巣市モデルの核心は「部活動特任指導員1名×育成会長35名」という、指揮系統が明確な小規模行政体制で全市完全地域移行を実現したことです。年会費200円という極端な低額設定を可能にしたのは、国実証事業の指導者謝金(年800万円規模)と市独自財源の組み合わせ。「市が運営費を支える、指導者は安心して指導に集中、育成会が現場実務を分担」という三層構造が、人口3万人規模の自治体で機能する地域移行の理想形を示しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

本巣市方式を再現する際の最大の壁は「退職校長を専任指導員として雇用する人件費」と「年800万円の指導者謝金」の継続財源確保です。国実証事業終了後の財源シフトが未確定であることは本巣市自身も認めています。導入時は、①初年度から専任指導員を市職員相当の処遇で迎える人事制度設計、②指導者謝金の段階的受益者負担シフト計画(例:R8から月会費1,000円導入)の事前準備が必須です。育成会長制度の有無も成否を分けます。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

育成会・指導者・部活動推進協議会・教育委員会の4階層が連携するガバナンスは堅牢で、3年連続事故ゼロという安全管理実績が信頼性を担保しています。一方で、国実証事業の指導者謝金(年800万円)に運営の継続性が依存しており、R7以降の市独自財源確保が最大の持続性リスクです。受益者負担の段階的引き上げと、スポーツ協会・文化協会・スポーツ少年団との合同活動拡大による外部リソース確保が次の打ち手となります。

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