トップ 事例を探す 岐阜県 【事例】岐阜県大垣市の部活動地域展開 ─ 全10校138部活動と段階合意形成・地元イビデン1クラブ10万円備品支援・経済困窮世帯年額36,800円補助
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 岐阜県

【事例】岐阜県大垣市の部活動地域展開 ─ 全10校138部活動と段階合意形成・地元イビデン1クラブ10万円備品支援・経済困窮世帯年額36,800円補助

公開:2026.05.13 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・岐阜県大垣市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 岐阜県大垣市
人口規模 約16万人(岐阜県第2位の都市)
中学校数 10校・138部活動
運営形態 市教育委員会主導・地域クラブ団体への段階合意形成型・「大垣市中学校部活動地域展開検討委員会」設置
対象競技 軟式野球・サッカー・バスケットボール・バレーボール・バドミントン・ソフトテニス・ハンドボール・卓球・剣道・陸上競技・なぎなた・柔道・体操・ソフトボール・吹奏楽・合唱の計16種目
保護者負担額 経済困窮世帯に年額上限36,800円補助/企業支援を組み合わせ

取り組みの概要

岐阜県大垣市は、令和7年度末までに休日の学校部活動を「新たな地域クラブ活動」へ移行することを目標に、令和6・7年度を実証期間として段階的な合意形成を進めています。市内10中学校にある138のすべての部活動に対し、新たな実施主体となり得る団体との調整を行い、合意形成できた部活動から順次移行・検証する方式を採用。令和8年度から休日の部活動を地域クラブとして本格実施しています。

同市の特徴は、市内に本社を置く大手電子部品メーカー・株式会社イビデンとの連携により、1クラブあたり最大10万円の備品購入支援を企業協賛で確保している点。経済困窮世帯への年額上限36,800円の補助制度と組み合わせることで、運営の持続性と参加機会の両方を担保しています。

特徴的な取組

  • 全138部活動を網羅した段階合意形成: 10中学校のすべての部活動を対象に、新たな実施主体候補団体と1部活動ずつ合意形成を実施。合意できた部活動から順次移行する「ボトムアップ型」アプローチ。
  • 地元企業イビデンとの連携: 大垣市に本社を置く電子部品メーカー・株式会社イビデンが1クラブあたり最大10万円の備品購入を支援。企業の地元貢献を地域クラブの初期コストカバーに直結。
  • 経済困窮世帯補助制度: 中学校の地域クラブ活動に参加する家庭の経済的負担を軽減するため、参加費の一部を支援する制度を整備。年額上限36,800円の補助で参加機会を保障。
  • 運営費補助制度: 地域クラブ団体の運営に要する経費の一部を市が補助。受け皿団体が自走するまでの初期支援を制度化。
  • 指導者登録制度の電子申請化: 地域の方が指導者として登録すると、希望する団体に対し市が指導者を紹介する仕組み。電子申請サービスで運用し、登録のハードルを下げる。
  • 検討委員会による幅広い意見集約: 「大垣市中学校部活動地域展開検討委員会」を設置し、学校・スポーツ・文化・PTAなど多分野の関係者の意見を計画に反映。

課題と解決策

課題 解決策
138部活動それぞれで実施主体と条件が異なる 「合意形成できた部活動から順次移行」する段階方式を採用。一斉移行ではなく、各部活動の事情に応じた個別調整を可能に
地域クラブ団体の備品調達コスト 株式会社イビデンの企業協賛により1クラブあたり最大10万円の備品購入支援を確保。地元企業の地域貢献と直結
家庭の経済的負担による参加機会の格差 経済困窮世帯に年額上限36,800円の補助制度を整備し、参加費の一部を支援
地域クラブ団体の運営継続性 市から団体運営経費の一部を補助する制度を設け、立ち上げ期から持続的運営までを支援
指導者の確保 電子申請による指導者登録制度を運用し、地域住民・有資格者が手軽に登録できる仕組みを構築

成果・効果

令和6・7年度を実証期間として10中学校138部活動の全部活動を対象に合意形成を進めた結果、令和8年度から休日の地域クラブ活動の本格実施に着手しています。体育系14種目・文化系2種目の計16種目を対象種目として位置付け、平日についても段階的な移行を予定。地元企業との連携モデルと経済困窮世帯補助制度の組み合わせは、岐阜県内の中規模都市における先行モデルとして注目されています。

出典

→ 原文: 大垣市公式ホームページ「大垣市中学校部活動の地域移行」
→ 原文: 大垣市公式ホームページ「大垣市中学校部活動の地域展開」

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

大垣市のアプローチの核心は、138部活動すべてを「一括移行」ではなく「段階合意形成」で進める点にあります。多くの自治体が「いつまでに全部移行する」というゴール設定で躓くなか、大垣市は「合意できた部活動から順次」という現実的な進行方式を採用。学校・実施団体・保護者の温度差を吸収しながら前進できる設計です。

もう一つの注目点は、地元企業イビデンとの連携です。地域クラブの最大の壁となる「備品調達コスト」を、地元の上場大手企業の協賛で1クラブ10万円までカバーする仕組みは、ふるさと納税や行政補助に依存しない持続性を作り出します。地元企業を巻き込むスキームは、企業側のCSR・地域貢献ニーズとも合致し、Win-Winの関係を構築しやすい好例です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

人口10〜30万人規模の中核市では、部活動数が100〜200に達することが多く、一斉移行は事実上困難です。大垣市の「段階合意形成型」モデルを採用する場合、検討委員会で「合意成立の判定基準」(指導者確保・活動場所・参加費・保険など)を予め明文化しておくことが鍵となります。また、地元の上場企業・地域金融機関・スポーツ用品メーカー等への協賛打診は、初期備品費という具体的なターゲットを示すことで企業側も応諾しやすくなります。経済困窮世帯補助は就学援助制度と連動させると認定実務がスムーズです。

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