トップ 事例を探す 山形県 【事例】山形県酒田市の部活動地域展開 ─ 7中学校×7地域クラブ受け皿×スポーツ・文化サポーターバンク×R8改革推進期間開始
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 山形県

【事例】山形県酒田市の部活動地域展開 ─ 7中学校×7地域クラブ受け皿×スポーツ・文化サポーターバンク×R8改革推進期間開始

公開:2026.07.08 更新:2026.07.08
この記事でわかること

・酒田市が全7中学校区それぞれに受け皿クラブを紐付ける校区別方式の設計
・スポーツ・文化サポーターバンクとセミナー年2回による指導者確保モデル
・二三六スポーツ文化クラブ広域連携+遊佐町自治体間連携による小規模市の解決策

自治体名 山形県酒田市
人口規模 約9.5万人
中学校数 市立7校(第一中・第二中・第三中・第四中・第六中・鳥海八幡中・東部中)
運営形態 行政直営「酒田市中学校部活動改革推進協議会」(R7.4.1要綱施行)+中学校区別7つの地域クラブ受け皿+「二三六スポーツ文化クラブ(仮称)」広域連携
対象競技 令和7年度103部活動(運動部83[準部15含む]/文化部20[休日活動9])/R7年度に運動部展開率48%(40部)
保護者負担額 クラブごとに会費設定(推進協議会で受益者負担理解が課題として明示)/会議資料時点で市統一額の記載なし

取り組みの概要

山形県酒田市は令和7年4月1日に「酒田市中学校部活動改革推進協議会設置要綱」を施行し、令和7年6月2日に第1回推進協議会を開催。7中学校(第一中〜第六中・鳥海八幡中・東部中)を対象に、令和8年度からの「中学校部活動の地域展開改革推進期間」開始に向けた体制整備を進めています。令和4年度137部から令和7年度103部まで部活動数が減少するなかで、市は各中学校区に受け皿となる地域クラブを整備する「校区別クラブ振興会」方式を採用し、既に7中学校区すべてに固有の受け皿団体を紐付けています。第1回協議会報告(R7.6)時点で運動部の地域展開率は48%(40部)、文化部は0%となっており、令和7年度は「受け皿となるクラブの設立・支援」「人材発掘・育成」「クラブの広域化」を重点3項目に据えています。

特徴的な取り組み

  • 中学校区別×7地域クラブ受け皿方式: 第一中→希望ケ丘体育文化振興会、第二中→酒田二中クラブ振興会、第三中→酒田三中クラブ振興会、第四中→きらり川南スポーツクラブ、第六中→酒田六中クラブ振興会、東部中→ひらた目ん玉スポーツクラブ、鳥海八幡中→鳥海八幡ジュニアクラブ(仮称)と、全7中学校区に受け皿を対応付ける設計です。
  • 「二三六スポーツ文化クラブ(仮称)」広域連携構想: 二中・三中・六中の3中学校区を横断する広域クラブを構想し、単独校では成立しない部活動を複数校区で受ける仕組みを準備中。同市内広域連携に加え、隣接町(遊佐町)との広域連携も重点として明記されています。
  • 「スポーツ・文化サポーターバンク」+セミナー2回開催: 指導者不足(あと47名必要/指導者ゼロのクラブが9クラブ=運動4・文化5)に対して、市独自の「スポーツ・文化サポーターバンク」を立ち上げ、5月・11月の年2回「サポーター・セミナー」で研修と登録推進を行っています。
  • 部活動改革総括コーディネーター配置: 学校教育課内に事務局を置き、山形県部活動改革アドバイザー(石塚大輔氏)を有識者として推進協議会に招聘。委員18名の内訳は、スポーツ団体3・文化芸術団体1・総合型地域スポーツクラブ3・学校関係3・保護者7・アドバイザー1と保護者代表の比重が高いのが特徴です。

課題と解決策

課題 解決策
指導者があと47名不足・指導者ゼロのクラブが9クラブ スポーツ・文化サポーターバンクで市民ボランティアを登録、5月・11月のセミナーで質の担保
単独校では成立しない部活動・R4→R7で137→103部に減少 「二三六スポーツ文化クラブ(仮称)」等の広域連携クラブ、遊佐町との自治体間連携を計画
文化部の地域展開率0%(運動部48%に対し遅れ) 酒田市芸術文化協会を協議会に加え、文化部の受け皿確保を重点課題として位置付け
受益者負担への理解・事務処理の煩雑さ 推進協議会で市民説明会を実施、事務局が謝金・実績報告等の管理システム実証を進める
教員の超過勤務・地域展開への温度差 「教員の働き方改革の推進」と「望ましいスポーツ・文化芸術環境の構築」の両立を設置要綱の目的に明記

成果・効果

第1回推進協議会の報告資料(R7.6)では、成果として「サポーター・バンクの立ち上げ、セミナーの開催」「地域クラブ化の進捗(運動部展開率48%)」「保護者・指導者の意識・関心の高まり」「教員の超過勤務の減少」の4点が挙げられています。国の実証事業に参加した9クラブ(希望ヶ丘体育文化振興会・川南きらりスポーツクラブ・目ん玉スポーツクラブ・酒南ジュニア柔道クラブ・ハイクリア(バドミントンクラブ)・川南アスリートクラブ・東部卓球クラブ・酒四柔道クラブ・ルミナーレ新体操クラブ)のアンケートでは「指導者の責任感の向上」「クラブとしての認知度の向上」「子どもの選択肢の拡大・活動人数の充足」が成果として報告されました。一方で「事務手続きの煩雑さ」「学校施設利用制限」「地域展開への理解度の温度差」「生徒の評価場面(壮行式・表彰等)の減少」も課題として明示されています。

出典

→ 原文: 部活動改革だより(酒田市公式サイト)

→ 会議資料PDF: 令和7年度 第1回酒田市中学校部活動改革推進協議会(会議資料・42ページ)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

酒田モデルの特徴は「校区ごとに固有の受け皿団体を紐付ける方式」です。全国的な地域展開の中心的なパターンは「1つの認定制度に多数のクラブが登録する」形ですが、酒田市は「第一中→希望ケ丘」「第四中→きらり川南」など校区単位で受け皿を明示し、責任所在を明確化しています。R7時点で運動部展開率48%まで実績を積んでいるのは、この責任所在の明確化と、山形県部活動改革アドバイザーを協議会に招く外部専門家連携の組み合わせが機能している証左です。同時に文化部展開率0%は今後の重点であり、芸術文化協会を協議会に加える運用は他自治体にも参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「中学校区別受け皿方式」は総合型地域スポーツクラブが校区に存在することが前提条件です。全国的には校区単位で総合型クラブがない自治体が多く、酒田市は幸運にも「希望ケ丘体育文化振興会」「きらり川南」「ひらた目ん玉」など既存の総合型クラブが校区に対応しているため成立しています。他自治体で移植する際は、①校区単位で総合型クラブがない中学校区には「〇〇中クラブ振興会」を新設する(酒田二中・三中・六中モデル)、②校区連合の広域クラブを準備する(酒田市の二三六スポーツ文化クラブ構想)、の2アプローチを段階的に組み合わせることが現実的です。指導者47名不足は3年で埋める中期計画が必要な水準で、市民説明会・サポーターバンク・セミナーの3点セットは他自治体でも必須設計と言えます。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

推進協議会に保護者代表7名(7中学校それぞれから1名)を明示的に配置している設計は、他自治体でも例が少なく透明性が高い水準です。設置要綱で目的を「教員の働き方改革」と「望ましいスポーツ・文化芸術環境の構築」の両立と明記し、実際に教員の超過勤務減少が成果に挙がっている点も評価できます。一方で保護者負担額の市統一設計・広域連携クラブの正式名称・指導者確保47名の具体年次計画はR7.6時点で未確定であり、R8年度の改革推進期間開始までにR7年度中に確定させる必要があります。

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