トップ 事例を探す 静岡県 【事例】静岡県焼津市の部活動地域展開 ─ 任意団体・既存クラブとの連携で34種目に拡大
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 静岡県

【事例】静岡県焼津市の部活動地域展開 ─ 任意団体・既存クラブとの連携で34種目に拡大

公開:2026.04.13 更新:2026.05.27
この記事でわかること

・静岡県焼津市が地域移行で直面した課題と具体的な解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき3つの視点(部活動地域展開ナビの分析)

自治体名 静岡県焼津市
人口規模 約13.4万人(2026年3月末時点)
中学校数 4校(市立)
運営形態 任意団体設立型・既存クラブ連携型(学校単位・エリア合同の2形態)
対象競技 軟式野球、サッカー、バスケットボール、バレーボール、レスリング、クラシックバレエ、よさこいダンスなど計34種目(令和7年度)
保護者負担額 各クラブが設定(受益者負担。詳細は各クラブに確認)

取り組みの概要

焼津市は令和4年(2022年)から全国に先駆けて「焼津市地域クラブ活動」を段階的に開始しました。少子化による部員不足と教員の負担増を背景に、学校の垣根を越えて地域の指導者が中心となって運営する新しいクラブ活動の形を模索してきました。令和4年度は5クラブから始まり、令和5年度は12クラブに拡大。令和7年度には34種目まで拡大する計画で取り組みが進んでいます。活動日は主に土・日・祝日で、中学1〜3年生を対象としています。

特徴的な取り組み

  • 多様な種目の提供: 軟式野球・サッカー・バスケットボールなど従来の部活動種目に加え、レスリング・クラシックバレエ・よさこいダンスといった学校部活動では提供困難だった種目も展開し、生徒の多様なニーズに対応しています。
  • 3つの設立スキーム: ①焼津市地域クラブ活動推進委員会の審議による設立、②個人・団体が希望して開設する設立、③スポーツ少年団・既存クラブを母体とした設立という3つのルートで受け皿を多様化し、実施主体が見つかりやすい環境を整えています。
  • 合同部活動による移行準備: 軟式野球・女子バレーボール・サッカーでは令和7年度秋に、北部・中部・南部の3拠点体制で合同部活動を開始し、地域クラブへの段階的な移行を促進しています。

課題と解決策

課題 解決策
ボランティア指導者の確保と継続性 市教委が年1回の指導者研修を実施。活動報告・収支報告の提出を義務づけて継続的なサポート体制を整備
クラブごとに費用水準が異なる 各クラブが設定する受益者負担を基本とし、任意設定を認めながら透明性を確保するため財務報告を市が確認

成果・効果

令和4年度(2022年度)の5クラブ・少数参加から開始した焼津市の地域クラブ活動は、令和7年度(2025年度)には34種目まで拡大し、学校部活動にはなかった競技・文化活動を含む多様なプログラムが提供されています。学校の垣根を越えた友人関係の形成や、地域の大人との交流が生まれるなど、スポーツ・文化面に加えたコミュニティ形成の効果も報告されています。

出典

→ 原文: 令和6年度に実施する「焼津市地域クラブ活動」 – 焼津市公式ホームページ

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

34種目という全国トップクラスの種目数を実現した焼津市の強みは「既存クラブとの連携」という発想の転換にある。ゼロから新しい組織を作るのではなく、地域にすでに存在する任意団体やスポーツクラブを地域移行の担い手として位置づけることで、立ち上げコストを最小化しながら専門性の高い指導を確保している。既存クラブは経験・施設・指導者をすでに持っているため、移行のスピードが速い。この「既存資源の活用」戦略は、特に地域のスポーツ団体が成熟している自治体に有効だ。多様な種目が選択できることは子どもの「やりたいスポーツを選べる権利」を守ることにもつながる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

既存クラブ活用モデルの課題は「品質のばらつきと公平性の担保」だ。34団体が個別に運営する場合、指導の質・参加費・安全管理体制が団体によって大きく異なる可能性がある。行政は登録団体に対して最低基準(保険加入・指導者の研修受講・活動報告の提出)を設け、基準を満たさない団体は登録抹消できる仕組みを整備する必要がある。また、人気の高い種目(サッカー・バスケなど)への集中と、マイナー種目の定員割れという二極化にも対策が必要だ。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

任意団体は法人格を持たない場合、補助金申請や契約の主体になりにくいという法的な制約がある。長期的には主要団体に対してNPO法人や一般社団法人への移行を促すことで、財務の透明性と組織の継続性が高まる。34種目という多様性は大きな強みだが、少子化による参加者減少で存続が危うくなる種目が出た際の統廃合ルールを事前に設計しておくことが重要だ。

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