【事例】兵庫県三田市の部活動地域展開 ─ 8中学校4ブロック制・三田市剣道協会主導の「三田朱雀剣道クラブ」からR6.4全市展開
・兵庫県三田市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 兵庫県三田市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約10.7万人(107,130人) |
| 中学校数 | 公立8校・生徒数2,792人・69部活動 |
| 運営形態 | 体育・スポーツ協会運営型(三田市剣道協会等)・4ブロック段階展開 |
| 対象競技 | 剣道(三田朱雀剣道クラブ・先行)/野球・陸上競技は受け皿団体調整中 |
| 保護者負担額 | 剣道:年額200円(大会参加費)+スポーツ安全保険(生徒800円/年、指導者1,350円/年) |
取り組みの概要
兵庫県三田市は、令和4年12月の国ガイドライン策定を受け、令和8年度までに全ての部活動の休日活動を地域クラブ活動へ移行する取組を推進しています。市内8つの公立中学校(生徒数2,792人・69部活動)を「Aブロック(狭間中・富士中)」「Bブロック(八景中・上野台中)」「Cブロック(けやき台中・長坂中)」「Dブロック(ゆりのき台中)」の4ブロックに分け、Aブロックでの合同部活動の検証を重ねた上で順次展開する段階方式を採用しています。
令和5年度は夏季休業日から狭間中学校・富士中学校の剣道部・野球部・陸上競技部の3部活で合同部活動を実施。剣道については三田市剣道協会が主体となった「三田朱雀剣道クラブ」を設置し、令和5年12月から地域クラブ活動への移行を開始しました。令和6年4月からは市内すべての中学校を対象に剣道クラブ活動を開始する予定で、剣道協会主導モデルが全市展開する段階に入っています。
特徴的な取組
- 4ブロック段階展開: 市内8中学校を4ブロックに分け、Aブロック(狭間中・富士中)の合同部活動の検証を重ねた上で順次他ブロックへ展開する慎重な段階方式。
- 「三田朱雀剣道クラブ」を全市展開: 令和5年12月にAブロックで開始した剣道協会主導型クラブを、令和6年4月から市内全中学校対象に拡大。種目団体主導型の好例。
- 平日と休日で指導者を分離: 平日は部活動指導員、休日は地域指導員が指導する明確な役割分担を設計し、教員の休日業務負担を解消。
- 剣道協会・教育委員会・文化スポーツ課の三者連携: 三田市剣道協会(運営主体)、三田市教育委員会(学校連携)、三田市文化スポーツ課(地域クラブ整備)が連携して安定運営を実現。
- 低廉な参加費設定: 年額200円(大会参加費のみ)+スポーツ安全保険(生徒800円/年)で参加可能。経済負担を最小化する設計。
- 5回の推進委員会開催: 令和5年度は6月・9月・11月・2月に部活動の地域移行推進委員会を計画的に開催し、関係者合意形成を着実に進行。
- 兵庫ブレイバーズとの連携: 野球部については兵庫ブレイバーズを受け皿に想定し、プロ・社会人野球チームとの連携を模索。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 8中学校69部活動という大規模な部活動環境の一斉移行困難 | 4ブロック制を採用し、Aブロックの検証を重ねた上で順次他ブロックへ展開する段階方式 |
| 剣道は受け皿団体が確立した一方、野球・陸上は受け皿確保に課題 | 剣道は三田市剣道協会主導モデルで先行展開、野球は兵庫ブレイバーズ、陸上は三田市陸上競技協会を想定し個別調整を継続 |
| 運営の資金面・指導者確保・中体連大会参加規程 | 体育・スポーツ協会運営型を選択し、既存組織の人材・ノウハウ・大会ルートを活用 |
| 平日と休日の指導者役割分担 | 平日は部活動指導員、休日は地域指導員と明確に分離し、教員兼職兼業届で対応 |
| 保険・施設使用・参加申込み等の手続き煩雑化 | 「目的外使用申請(市→学校)」「参加申込書・同意書(生徒→クラブ)」を制度化し書類フォーマットを統一 |
成果・効果
令和5年度の取組として、Aブロック(狭間中・富士中)で剣道・野球・陸上の3部活動について合同部活動を実施。剣道については令和5年12月に「三田朱雀剣道クラブ」を設置し地域クラブ活動への移行を実現しました。令和6年4月からは市内すべての中学校を対象に剣道クラブの活動を開始する予定で、3つの剣道クラブを新設します。野球・陸上競技については受け皿団体との調整を継続中で、令和8年度の全部活動休日地域移行に向けた段階展開が進行しています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「【兵庫県三田市】令和5年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(運動部活動の地域移行に向けた実証事業)」
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
三田市の事例で最も注目すべきは、8中学校を「4ブロック制」に分けて段階展開する設計です。一度に全市8校69部活動を動かすのではなく、Aブロック(狭間中・富士中)で先行検証してからB・C・Dへ広げる方式は、人口10万人規模の中規模都市が無理なく改革を進める現実的な手順といえます。
もう一つの注目点は、剣道協会主導モデルの「全市展開」アプローチです。令和5年12月にAブロックで設置した「三田朱雀剣道クラブ」を、令和6年4月には市内全中学校対象に拡大し3つの剣道クラブを新設する設計。種目団体が主体となった運営モデルが他自治体への参考になります。年額200円(大会参加費)という極めて低廉な参加費設定も、剣道のように既存協会の体制が成熟している種目だからこそ実現できる金額です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
4ブロック段階展開を採用する場合、ブロック間で活動条件(参加費・指導頻度・大会参加機会)に格差が生じないよう、共通フォーマット(参加申込書・同意書・施設使用申請等)を予め統一しておくことが重要です。種目団体(剣道協会など)主導型は、受け皿団体が成熟している種目では極めて有効ですが、野球のように複数団体が並立する種目や、陸上のように協会が地域分散している種目では運営主体の特定に時間を要します。三田市のように野球は兵庫ブレイバーズなどプロ・社会人クラブも視野に入れる発想は、種目特性に応じた柔軟な受け皿設計の好例です。
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