【事例】和歌山県紀の川市の部活動地域展開 ─ 「SPARCきのかわ」へ令和10年9月に休日移行・拠点校方式と2ブロック合同チームで段階展開
・愛称「SPARCきのかわ」で運動部と文化部をまとめて地域展開する紀の川市の計画
・令和10年度9月の休日移行に向けた学年進行の移行表と、拠点校方式・2ブロック合同チームの段階設計
・市内拠点・低廉な会費・指導員データバンク登録など市独自の認定要件の作り方
| 自治体名 | 和歌山県紀の川市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約5万8千人(令和8年9月末時点・57,781人) |
| 中学校数 | 5校(那賀中・粉河中・打田中・荒川中・貴志川中/令和6年度生徒数1,337人) |
| 運営形態 | 行政主導(市教育委員会事務局内の「SPARCきのかわ運営事務局」が運営。スポーツ少年団・総合型地域スポーツクラブ・文化協会等による「SPARCきのかわコンソーシアム」が支える) |
| 対象競技 | 運動部(ソフトテニス・卓球・陸上競技・剣道・柔道・軟式野球・ソフトボール・サッカー・バレーボール・バスケットボール・ハンドボール等)、文化部(吹奏楽・美術・科学・書道・放送等) |
| 保護者負担額 | 金額は調査時点で未公表(参加費と保険料を集金し、可能な限り低廉に設定することを認定要件としている) |
取り組みの概要
和歌山県紀の川市教育委員会は、令和6年3月に「紀の川市学校部活動の地域連携・地域移行推進協議会」を設置し、計7回の協議を経て、令和8年4月に「紀の川市中学生部活動地域展開推進計画」を策定しました。
地域クラブ活動の愛称は「SPARCきのかわ」です。SPort、ARt、Cultureを合わせた造語で、運動部の「Sport」と文化部の「Art&Culture」の2本立てで地域展開を進めます。
改革実行期間は前期が令和8〜10年度(モデル事業)、後期が令和11〜13年度です。令和10年度9月から、休日の学校部活動をSPARCきのかわに替えます。平日は毎年検証しながら段階的に見直し、体制が整った団体から平日も地域展開します。令和8年7月9日には第1回地域クラブ設立準備委員会を開催しました。
特徴的な取り組み
- 学年進行の移行表を公開: 令和8年度入学生は3年間学校部活動で活動し、令和9年度入学生は中学2年の途中(令和10年度9月)から、令和10年度入学生は中学1年の途中からSPARCきのかわへ移ります。入学年度ごとに切り替え時期が分かる形で示しています。
- 河北・河南の2ブロックで合同チーム: 合同チームは市内を河北(粉河・那賀・打田)と河南(荒川・貴志川・打田)の2地域に分けて編成します。打田中を除く2校での編成を優先し、移動の負担に配慮しています。
- 拠点校方式で在籍校にない部活動に参加: 在籍校に希望の部活動がない生徒を市内の1校で受け入れます。粉河中で軟式野球・サッカー、貴志川中でサッカー・女子バレーボール・男子ハンドボールを実施しており、その先の地域クラブ設立をめざします。
- 市独自の認定要件: 市内に活動拠点があること、原則として市外から募集しないこと、公認指導者資格または市の研修の受講、低廉な会費などを実施主体の要件としました。指導者は市の指導員データバンクに登録して研修を受け、教職員も本人が希望すれば兼職兼業で指導できます。
- 活動時間の上限を明記: 平日2時間程度・休日3時間程度とし、週の上限は計11時間(平日8時間+休日3時間)です。休日の地域クラブ活動は土日のどちらか1日を休養日とし、原則週1回としています。
- 先行事例のハンドボールクラブ: ハンドボールクラブ「HC Arcus 紀の川」が令和8年4月に活動を開始しました。剣道・ソフトテニス・軟式野球・サッカーの各競技団体や顧問へのヒアリングも順次進めています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 少子化で単独校では部が維持できず、学校によって設置部数に差がある(令和7年度の運動部数は那賀中5〜貴志川中15) | 拠点校方式と、河北・河南の2ブロックでの複数校合同チームを実施し、その先に学校の枠を超えた全市単位の地域クラブ(SPARCきのかわ)を展開する |
| 指導者が足りず、特に平日も指導できる地域人材が少ない。指導の質の担保も必要 | 市の指導員データバンクへの登録と運営事務局指定の研修受講を指導の条件とし、希望する教職員の兼職兼業を認める。運営事務局が指導者を発掘・育成して実施団体に紹介する |
| 会費・ユニフォーム代など家庭の経済的負担と、遠征・送迎時の保護者負担(HC Arcus 紀の川では初期費用が約3万円) | 参加費を可能な限り低廉に設定することを認定要件とし、大会参加時は市が参加者への助成や公共施設の貸与等で支援する。持続可能な費用負担は準備委員会で引き続き検討する |
| 事故・ケガの際の責任や引率責任、鍵の管理などの安全管理と、会計・活動報告などの事務負担 | 運営事務局が保険を選定し、指導員と参加者に加入を義務付ける。事務を事務局が一元管理する「事務局運営団体」方式も用意し、責任分担は第2回準備委員会(令和8年10月29日)で整理する予定 |
成果・効果
令和7年度に市立小学校4〜6年生1,232名を対象に行ったアンケートでは、休日の地域クラブ活動への参加を「希望する」「どちらかといえば希望する」と答えた児童が合わせて59%でした。休日の地域クラブに求めるものは「仲間づくり」「体力向上」が上位で、「競技力向上」「趣味・娯楽」が続きます。
令和6年度の中学生の部活動加入状況は、運動部18種目に約61%(821人)、文化部15クラブに約27%(365人)です。SPARCきのかわの参加者数・クラブ数は調査時点で未公表です。
出典
→ 原文: 紀の川市中学生部活動地域展開推進計画(令和8年4月 紀の川市教育委員会)
→ 概要版: 紀の川市中学生部活動地域展開推進計画【概要版】(紀の川市)
→ 案内ページ: 紀の川市中学生部活動地域展開推進計画(紀の川市)
→ 準備委員会: 第1回 紀の川市地域クラブ設立準備委員会 開催報告(紀の川市)/紀の川市地域クラブ設立準備委員会(紀の川市)
→ 拠点校方式: 拠点校方式による部活動(紀の川市)
→ 人口: 紀の川市公式ホームページ
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