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全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 和歌山県

【事例】和歌山県紀の川市の部活動地域展開 ─ 「SPARCきのかわ」へ令和10年9月に休日移行・拠点校方式と2ブロック合同チームで段階展開

公開:2026.10.23 更新:2026.10.23
この記事でわかること

・愛称「SPARCきのかわ」で運動部と文化部をまとめて地域展開する紀の川市の計画
・令和10年度9月の休日移行に向けた学年進行の移行表と、拠点校方式・2ブロック合同チームの段階設計
・市内拠点・低廉な会費・指導員データバンク登録など市独自の認定要件の作り方

自治体名 和歌山県紀の川市
人口規模 約5万8千人(令和8年9月末時点・57,781人)
中学校数 5校(那賀中・粉河中・打田中・荒川中・貴志川中/令和6年度生徒数1,337人)
運営形態 行政主導(市教育委員会事務局内の「SPARCきのかわ運営事務局」が運営。スポーツ少年団・総合型地域スポーツクラブ・文化協会等による「SPARCきのかわコンソーシアム」が支える)
対象競技 運動部(ソフトテニス・卓球・陸上競技・剣道・柔道・軟式野球・ソフトボール・サッカー・バレーボール・バスケットボール・ハンドボール等)、文化部(吹奏楽・美術・科学・書道・放送等)
保護者負担額 金額は調査時点で未公表(参加費と保険料を集金し、可能な限り低廉に設定することを認定要件としている)

取り組みの概要

和歌山県紀の川市教育委員会は、令和6年3月に「紀の川市学校部活動の地域連携・地域移行推進協議会」を設置し、計7回の協議を経て、令和8年4月に「紀の川市中学生部活動地域展開推進計画」を策定しました。

地域クラブ活動の愛称は「SPARCきのかわ」です。SPort、ARt、Cultureを合わせた造語で、運動部の「Sport」と文化部の「Art&Culture」の2本立てで地域展開を進めます。

改革実行期間は前期が令和8〜10年度(モデル事業)、後期が令和11〜13年度です。令和10年度9月から、休日の学校部活動をSPARCきのかわに替えます。平日は毎年検証しながら段階的に見直し、体制が整った団体から平日も地域展開します。令和8年7月9日には第1回地域クラブ設立準備委員会を開催しました。

特徴的な取り組み

  • 学年進行の移行表を公開: 令和8年度入学生は3年間学校部活動で活動し、令和9年度入学生は中学2年の途中(令和10年度9月)から、令和10年度入学生は中学1年の途中からSPARCきのかわへ移ります。入学年度ごとに切り替え時期が分かる形で示しています。
  • 河北・河南の2ブロックで合同チーム: 合同チームは市内を河北(粉河・那賀・打田)と河南(荒川・貴志川・打田)の2地域に分けて編成します。打田中を除く2校での編成を優先し、移動の負担に配慮しています。
  • 拠点校方式で在籍校にない部活動に参加: 在籍校に希望の部活動がない生徒を市内の1校で受け入れます。粉河中で軟式野球・サッカー、貴志川中でサッカー・女子バレーボール・男子ハンドボールを実施しており、その先の地域クラブ設立をめざします。
  • 市独自の認定要件: 市内に活動拠点があること、原則として市外から募集しないこと、公認指導者資格または市の研修の受講、低廉な会費などを実施主体の要件としました。指導者は市の指導員データバンクに登録して研修を受け、教職員も本人が希望すれば兼職兼業で指導できます。
  • 活動時間の上限を明記: 平日2時間程度・休日3時間程度とし、週の上限は計11時間(平日8時間+休日3時間)です。休日の地域クラブ活動は土日のどちらか1日を休養日とし、原則週1回としています。
  • 先行事例のハンドボールクラブ: ハンドボールクラブ「HC Arcus 紀の川」が令和8年4月に活動を開始しました。剣道・ソフトテニス・軟式野球・サッカーの各競技団体や顧問へのヒアリングも順次進めています。
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課題と解決策

課題 解決策
少子化で単独校では部が維持できず、学校によって設置部数に差がある(令和7年度の運動部数は那賀中5〜貴志川中15) 拠点校方式と、河北・河南の2ブロックでの複数校合同チームを実施し、その先に学校の枠を超えた全市単位の地域クラブ(SPARCきのかわ)を展開する
指導者が足りず、特に平日も指導できる地域人材が少ない。指導の質の担保も必要 市の指導員データバンクへの登録と運営事務局指定の研修受講を指導の条件とし、希望する教職員の兼職兼業を認める。運営事務局が指導者を発掘・育成して実施団体に紹介する
会費・ユニフォーム代など家庭の経済的負担と、遠征・送迎時の保護者負担(HC Arcus 紀の川では初期費用が約3万円) 参加費を可能な限り低廉に設定することを認定要件とし、大会参加時は市が参加者への助成や公共施設の貸与等で支援する。持続可能な費用負担は準備委員会で引き続き検討する
事故・ケガの際の責任や引率責任、鍵の管理などの安全管理と、会計・活動報告などの事務負担 運営事務局が保険を選定し、指導員と参加者に加入を義務付ける。事務を事務局が一元管理する「事務局運営団体」方式も用意し、責任分担は第2回準備委員会(令和8年10月29日)で整理する予定

成果・効果

令和7年度に市立小学校4〜6年生1,232名を対象に行ったアンケートでは、休日の地域クラブ活動への参加を「希望する」「どちらかといえば希望する」と答えた児童が合わせて59%でした。休日の地域クラブに求めるものは「仲間づくり」「体力向上」が上位で、「競技力向上」「趣味・娯楽」が続きます。

令和6年度の中学生の部活動加入状況は、運動部18種目に約61%(821人)、文化部15クラブに約27%(365人)です。SPARCきのかわの参加者数・クラブ数は調査時点で未公表です。

出典

→ 原文: 紀の川市中学生部活動地域展開推進計画(令和8年4月 紀の川市教育委員会)

→ 概要版: 紀の川市中学生部活動地域展開推進計画【概要版】(紀の川市)

→ 案内ページ: 紀の川市中学生部活動地域展開推進計画(紀の川市)

→ 準備委員会: 第1回 紀の川市地域クラブ設立準備委員会 開催報告(紀の川市)/紀の川市地域クラブ設立準備委員会(紀の川市)

→ 拠点校方式: 拠点校方式による部活動(紀の川市)

→ 人口: 紀の川市公式ホームページ

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

紀の川市の計画で保護者にとって最も分かりやすいのは、入学年度ごとにいつ地域クラブへ切り替わるかを示した学年進行の移行表です。「いつから変わるのか」は保護者の最初の質問であり、子どもの入学年度で答えが出る形にしたことで、説明の手間と不安を大きく減らせます。もう一つの特徴は、地域クラブへ一足飛びに移すのではなく、拠点校方式と2ブロックの合同チームを中間段階として置いた点です。学校ごとの部数の差を先に合同化でならし、そのまま地域クラブの単位へつなげる設計は、少子化が進む中規模市で再現しやすい道筋です。愛称「SPARCきのかわ」で運動部と文化部をひとまとめにし、文化部を後回しにしない姿勢も明確に打ち出しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

事務局を教育委員会内に置くコンソーシアム型は、立ち上げ期の調整力が高い反面、事務量が教育委員会に集中しやすい構造です。紀の川市は最終的に全団体の自主運営化をめざすとしていますが、同様の自治体は、どの段階で事務局機能を外部へ移すのか、その時期と条件をあらかじめ決めておく必要があります。また「原則として市外から募集しない」という認定要件は市内の受け皿を育てるうえで有効ですが、競技人口の少ない種目では人数がそろわない恐れがあり、近隣市町との合同を例外として認めるかを検討しておくべきです。会費の金額が未定のままだと、ユニフォーム代など初期費用約3万円の情報だけが先に伝わり、参加をためらう家庭が出かねません。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

協議会7回の経過、推進計画の本編と概要版、準備委員会の開催報告が市の公式サイトで公開されており、意思決定の透明性は高い水準です。休日移行の時期・認定要件・活動時間の上限も明文化されています。一方で、参加費の金額と財源の内訳、事務局運営から自主運営へ移る時期は調査時点で示されておらず、令和10年度9月の移行までにこれらを示せるかが持続可能性の判断材料になります。

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