【事例】兵庫県神戸市の部活動地域展開 ─ 政令市初・2026年9月「KOBE◆KATSU(コベカツ)」で平日・休日を全面移行
・政令市初の平日・休日全面移行(2026年9月)を決断した神戸市の設計思想
・1,000超のクラブを集めた「コベカツ」公募・登録制の運営体制
・保護者負担軽減基金設立など、移行に伴う経済的格差への対応策
| 自治体名 | 兵庫県神戸市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約153万人(2024年時点) |
| 中学校数 | 市立中学校 約110校 |
| 運営形態 | 地域団体主体の「KOBE◆KATSU(コベカツ)」クラブ活動(教育委員会公募・登録制) |
| 対象競技 | スポーツ・文化芸術活動(全種目、ダンス・eスポーツ・料理等の新種目も追加) |
| 保護者負担額 | 月会費制(運営団体が設定、低額化を市が働きかけ)。困窮世帯向け基金設立の方針 |
取り組みの概要
神戸市は2026年8月末に市内全中学校の部活動を終了し、同年9月から地域クラブ活動「KOBE◆KATSU(コベカツ)」をスタートする方針を決定しました。平日・休日を含めた全面移行は政令市として全国初の取り組みです。2025年9月以降は、部活動と施設使用が競合しない活動について「コベカツ」としての先行実施を認め、2026年4月の参加者募集・7月からの体験入会を経て9月に本格稼働するスケジュールを設定しています。少子化による廃部・休部の加速と教員不足の深刻化を背景に、教員が顧問を担う従来の仕組みからの脱却を明確に宣言した点が特徴的です。
特徴的な取り組み
- 政令市初の平日・休日全面移行:国が推奨する「休日先行」ではなく、2026年9月に平日・休日を一括して「コベカツ」に切り替え。政令市では全国初のアプローチとして注目を集めている。
- 1,000超のクラブ登録(第3次募集完了時点):地域のスポーツ・文化芸術団体、大学、NPO、保護者グループなど幅広い団体を教育委員会が公募・審査し登録制で運営。第3次募集完了時点で1,000を超えるクラブが登録済み。
- 校区を超えた活動選択:従来の部活動は学校単位だったが、コベカツでは市内全域のクラブから生徒が自由に選択可能。ダンス・料理・eスポーツなど部活動にはなかった新種目も開設。
- 学校施設の無償提供と保護者負担軽減基金:コベカツの活動場所として学校施設を無償で提供することで運営コストを抑制。さらに2025年10月には保護者の交通費や用具費を支援するための基金設立方針を市長が表明。
- 指導者の多様な参画:従来の教員・部活動指導員に加え、地域の指導経験者・OB・大学生・民間事業者など多様な人材が指導者として参画できる体制を構築。若い指導者の確保も積極的に推進。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 少子化による廃部・休部の加速で生徒の活動選択肢が減少 | 校区を超えた市内全域からの自由なクラブ選択と、部活動になかった新種目の追加で活動機会を拡大 |
| 教員不足で顧問が担えない部活動が増加 | 地域団体に運営主体を移管し、教員が指導者を担わなくてよい体制に転換 |
| 保護者の月会費負担と経済格差による参加機会の不平等 | 学校施設無償提供で会費を抑制し、困窮世帯向け基金設立で機会均等を確保 |
| 指導者の人材確保(特に若い指導者) | 地域団体・大学・NPO・保護者グループまで広く運営主体として公募し、多様な人材を指導者として組み込む |
成果・効果
2024年12月の運営団体募集開始以降、第3次募集完了時点で1,000を超えるクラブが登録を完了しています。2025年9月からは部活動との施設競合がない活動について先行的にコベカツとして実施が認められており、本格移行前の準備期間として機能しています。市長が交通費・用具費支援のための基金設立を表明したことで、経済的格差に配慮した移行支援体制の整備も進んでいます。2026年9月の全面移行時には、教員の休日勤務の大幅解消が見込まれています。
出典
→ 原文: 神戸市:部活動の地域展開(神戸市公式サイト)
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
神戸市の最大の特徴は「政令市として全国初の平日・休日全面移行」という決断の速さと明確さにあります。多くの政令市が「段階的・慎重に」を旗印に緩やかなスケジュールを示す中、神戸市は2026年8月末に部活を一律終了するという明快な期限を設定しました。この「退路を断った設計」が、運営団体の募集・登録・準備を加速させており、第3次募集完了時点で1,000超のクラブが集まる結果につながっています。
また、「コベカツ」というブランド名を設定し、市民・生徒・保護者が親しみを持てるよう名称に工夫した点も参考になります。単に「部活動の代替」ではなく、校区を超えた新しいコミュニティ活動として再定義することで、生徒の主体的な参加を促す設計になっています。保護者負担軽減基金の設立表明も、行政が責任を持って移行を支援する姿勢を示した好例です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
神戸市モデルの核心は「運営団体の公募・登録制」であり、1,000超のクラブが集まった背景には153万人規模の都市の人口的な厚みがあります。小規模自治体では同数の団体を集めることは現実的ではないため、既存の総合型地域スポーツクラブや地元スポーツ協会の組織を最大限活用し、少数でも多種目を提供できる体制設計が求められます。また、学校施設の無償提供は費用を抑える有効な手段であり、これは自治体規模に関わらず取り入れ可能な施策です。