【事例】鹿児島県霧島市の部活動地域展開 ─ 市街地は「地域展開」・中山間地域は「地域連携」に分ける二層戦略
・市街地は地域展開、中山間地域は地域連携と手法を分ける霧島市の二層戦略
・中山間6校の校長説明会で確認した「近隣種目から始める」という現実的な着手順
・拠点校部活動と合同部活動、部活動指導員と外部指導者の違いを図解で共有する手法
| 自治体名 | 鹿児島県霧島市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約12.2万人(121,853人・2026年8月1日時点) |
| 中学校数 | 13校(うち中山間地域は溝辺中・陵南中・横川中・牧園中・霧島中・牧之原中の6校) |
| 運営形態 | 行政直営(霧島市教育委員会が霧島市地域部活動推進協議会を設置し推進)。市街地は地域クラブが実施主体、中山間地域は学校の拠点校部活動・合同部活動 |
| 対象競技 | 近隣で実施できる競技種目を中心に選定(中山間地域は令和8年12月までに連携可能な種目をまとめる方針) |
| 保護者負担額 | 調査時点で未公表 |
取り組みの概要
霧島市は「霧島市地域部活動推進協議会」を設置し、市立中学校の生徒にとって望ましい部活動の環境構築と、中学校における働き方改革の両立を目的として、休日の部活動の段階的な地域展開に総合的に取り組んでいます。協議会は令和8年1月27日までに6回開催され、各回の協議概要を報告書としてPDFで公開しています。
霧島市の判断が特徴的なのは、市内を一つのやり方でまとめようとしなかった点です。第6回協議会(令和8年1月27日)で市は、市の部活動をめぐる実態として「市街地域については地域クラブ加入率が微増」「中山間地域については部活動数が少なく、選択肢が少ない状態」という差があることを確認し、基本方針として市街地域における地域クラブ活動による「地域展開」と、中山間地域における「地域連携」を並行して進めると整理しました。
ここでの「地域展開」と「地域連携」は、国の令和7年12月ガイドラインが定義する2つの類型です。地域展開は学校部活動を地域クラブ活動へ展開すること、地域連携は学校部活動のまま部活動指導員の配置や合同部活動を実施することを指します。霧島市は、受け皿が育ちつつある市街地には前者を、部活動数そのものが少ない中山間地域には後者を割り当てました。
第5回協議会以降、市は中山間地域6校(溝辺中・陵南中・横川中・牧園中・霧島中・牧之原中)を対象に校長説明会を実施し、「近隣でできる競技種目を中心に始める」「地域連携(拠点校、合同部活動)を中心に考え、部活動指導員の活用も検討する」という方針を確認しています。
特徴的な取り組み
- 市街地と中山間で手法を分ける: 市街地域は①地域クラブ認定のための規約作成、②国・県のガイドライン及び方針を踏まえた霧島市の方針作成、③新たな地域クラブ団体数の拡大(少年団からの拡大、既存スポーツクラブの種目拡大)を進める一方、中山間地域は地域連携を令和9年度からスタートさせ、令和8年12月までに連携可能な種目をまとめるという別々の工程を設定しました。
- 拠点校部活動と合同部活動の違いを図解して共有: 拠点校部活動は「顧問はA中学校のみに配置し、B中・C中には顧問や部活動を配置しない。毎日、拠点校で活動する」、合同部活動は「顧問はA中・B中・C中それぞれに配置する。平日は各学校で練習でき、週末に1箇所に集まって活動する」と定義し、協議会資料で図示しています。似た言葉を混同したまま議論が進むことを防ぐ工夫です。
- 部活動指導員と外部指導者の違いも整理: 部活動指導員は「監督として指導できる/顧問無しで引率ができる/指導料がある」、外部指導者は「コーチとして指導できる/顧問無しで引率ができない/指導料がない」と対比し、中山間地域で部活動指導員を活用する意義を関係者間で共有しています。
- 中体連登録制度と認定制度の違いを可視化: 従来の中体連登録制度(地域クラブが申請→各競技専門部→県中体連が承認→県大会に出場)と、国が新設した認定制度(地域クラブが申請→市町村が認定→県大会に出場)を並べ、「誰が承認や認定を行うかの違い」「認定制度では、実態確認(活動時間、休養日、低廉な活動費、指導体制、学校連携等)を市町村が行う」と説明しています。
- 校長説明会の意見を報告書に載せる: 「中山間地域のみで対応できない場合は、他の地区との連携も行いたい」「合同又は拠点校部活動で行う場合は、事前に入学説明会等で説明を行いたい」といった学校現場からの声を、協議会報告書にそのまま記載しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 市街地域と中山間地域で部活動をめぐる状況が大きく異なる | 市街地域は地域クラブ活動による「地域展開」、中山間地域は拠点校部活動・合同部活動による「地域連携」と、地域ごとに手法を分けて並行して進める |
| 中山間地域は部活動数が少なく、生徒の選択肢が限られている | 近隣でできる競技種目を中心に地域連携を始め、部活動指導員の活用も検討する。令和8年12月までに連携可能な種目をまとめ、令和9年度から開始する |
| 市全体で部活動加入率が低下している | 少年団からの活動拡大や既存スポーツクラブの種目拡大により、新たな地域クラブ団体数を増やす。競技力向上型だけでなく新しい種目を取り入れたスポーツ参加型の取組も協議会で提起されている |
| 拠点校部活動を行う場合、練習場所までの移動手段が確保できない | 協議会の意見交換で移動の検討が必要と明示され、今後の検討課題として記録されている |
| 関係者は地域展開を理解しているが、市民への周知が進んでいない | 協議会で市民周知の必要性が提起され、あわせて中山間地域では入学説明会等で事前説明を行う方針が学校側から示されている |
成果・効果
令和8年1月時点で、霧島市は市街地域と中山間地域それぞれの進め方を基本方針として確定させ、中山間地域6校の校長説明会まで完了しています。中山間地域の地域連携は令和9年度スタート、そのための連携可能な種目の整理は令和8年12月までという具体的な期限が設定されました。
市街地域については、地域クラブ認定のための規約作成と霧島市としての方針作成が次の工程として位置づけられています。国が令和13年度までに原則すべての学校部活動で休日の地域展開を目指すとしていることを踏まえ、令和10年度終了後に中間評価を行い、改めて取組方針を定めるという国の枠組みも協議会で共有されています。
協議会の質疑応答では「多くの子どものニーズに答えられるように、多種目への取組ができるようなシステム作りが大切」「少年団からクラブへの活動拡大は、利用する道具や場所、指導者の資格等の違いがあり、十分検討が必要」といった論点が記録されており、方針決定後も具体化に向けた議論が続いています。
出典
→ 原文: 霧島市「霧島市地域部活動推進協議会」
→ 原文: 霧島市「第6回霧島市地域部活動推進協議会協議概要」(令和8年1月27日・PDF)
→ 原文: 霧島市「霧島市部活動の在り方に関する方針」(PDF)
→ 原文: 霧島市「霧島市立小・中・高等学校一覧」
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