トップ 事例を探す 静岡県 【事例】静岡県富士宮市の部活動地域展開 ─ 会計年度任用職員の部活動指導員が担う10のモデル部試行・陸上競技はセントラル方式を導入
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 静岡県

【事例】静岡県富士宮市の部活動地域展開 ─ 会計年度任用職員の部活動指導員が担う10のモデル部試行・陸上競技はセントラル方式を導入

公開:2026.08.06 更新:2026.08.06
この記事でわかること

・富士宮市が部活動指導員を市の会計年度任用職員として任用し10のモデル部で試行する仕組み
・陸上競技のセントラル方式・レベル別実施など競技特性に応じた実施形態の工夫
・指導経験5年以上の要件を課しつつ人材を確保したスモールスタートの進め方

自治体名 静岡県富士宮市
人口規模 約12万人(2026年7月時点)
中学校数 市立13校
運営形態 行政直営(市教育委員会主導・部活動指導員を市の会計年度任用職員として任用)
対象競技 複数種目(10のモデル部で試行・陸上競技はセントラル方式)
保護者負担額 調査時点で未公表

取り組みの概要

富士宮市教育委員会は、国・県の補助金事業を活用した部活動の地域連携・地域移行に係るモデル部の試行を進めています。令和7年1月の教育委員会定例会で示された計画では、実施期間を令和7年4月1日から令和8年3月31日とし、令和6年度に実施した4つのモデル部を継続しつつ、令和7年度から新たに6つを加えた計10のモデル部で試行を拡大。活動は月2回・1回3時間以内で、土曜日または日曜日に実施します。指導を担う部活動指導員は教員以外の人材を市の会計年度任用職員として任用する方式で、「指導を行う種目に精通し、おおむね5年以上の教育現場での部活動指導経験のある」ことを要件としています。市中心部だけでなく芝川地区への試行拡大、複数会場で同一種目を実施する場合のレベル別実施、陸上競技のセントラル方式(複数校の生徒が1会場に集まって活動する方式)の導入など、市域の実情に合わせた実施形態の工夫が特徴です。

特徴的な取り組み

  • 部活動指導員を市の会計年度任用職員として任用: 謝金ベースの外部指導者ではなく、市の会計年度任用職員(報酬は時給1,000円余り)として任用することで、身分・服務・責任の所在を明確化しています。
  • 経験要件による指導の質の担保: 指導種目に精通し、おおむね5年以上の教育現場での部活動指導経験を任用要件とし、教育的な配慮のできる指導者を確保。令和7年1月時点で必要な人員は確保できていると報告されています。
  • 陸上競技のセントラル方式: 学校ごとに指導者を置くのではなく、複数校の生徒が1つの会場に集まって専門指導を受ける方式を陸上競技で試行。指導者不足と施設確保の両課題に対応する形です。
  • レベル別実施と周辺地区への拡大: 複数会場で同一種目を実施する場合はレベル別の活動とし、競技志向・レクリエーション志向双方のニーズに対応。令和7年度からは山間部の芝川地区にも試行を広げています。

課題と解決策

課題 解決策
指導者の身分・責任の所在が曖昧になりがち 部活動指導員を市の会計年度任用職員として任用し、服務・報酬を制度化
学校単位では種目ごとの指導者・会場を確保しきれない 陸上競技でセントラル方式を試行し、複数校の生徒を1会場に集約
生徒の競技レベル・志向の差への対応 複数会場で同一種目を実施する際にレベル別の活動を導入

成果・効果

令和6年度に4つのモデル部で開始した試行は、令和7年度に10のモデル部へと2.5倍に拡大しました。教育委員会定例会では、新規種目を含めて指導に当たる人員が確保できていることが報告されており、経験要件を課した上でも担い手を集められている点は、同規模の自治体にとって参考になる実績です。土日いずれか・月2回・1回3時間以内という活動量は国のガイドラインが示す休養日・活動時間基準に収まる設計で、教員の休日指導負担の軽減と生徒の活動機会確保を両立させています。

出典

→ 原文: 令和7年1月 富士宮市教育委員会定例会(議事録)(富士宮市公式サイト)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

富士宮市の試行で注目すべきは「会計年度任用職員」という任用形態の選択です。多くの自治体が謝金ベースの外部指導者や運営団体への委託で地域展開を進める中、市が直接雇用することで、指導中の事故対応・服務規律・報酬支払いといった曖昧になりがちな論点を公務員制度の枠内で処理できます。さらに、おおむね5年以上の部活動指導経験という要件を課した上で人員を確保できている点は、「要件を厳しくすると人が集まらない」という通説への一つの反証です。陸上競技のセントラル方式やレベル別実施といった競技特性に応じた設計も、月2回・3時間以内という小さく確実な活動量だからこそ回せている面があり、スモールスタートの好例といえます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

会計年度任用職員方式は、任用手続き・勤怠管理・予算計上を教育委員会が直接担うため、事務負担が委託方式より重くなります。モデル部が10程度の規模なら教委事務局で回せますが、全部活動への拡大期には運営団体への移管か事務の外部化を並行検討する必要があります。また、時給1,000円余りという報酬水準は補助金事業を前提としており、補助終了後に一般財源で維持できるかが導入判断の分かれ目です。月2回の活動頻度は教員負担軽減の入口としては有効ですが、毎週活動を求める競技志向の生徒・保護者のニーズとの間に差が残るため、レベル別実施のような受け皿設計をセットで用意することをお勧めします。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

教育委員会定例会という公開の場で計画・進捗を審議し、議事録を公表するプロセスは透明性が高く、任用要件・活動量の基準も明文化されています。一方、財源は国・県の補助金事業に依存しており、モデル試行から本格展開に移る際の自主財源確保と、運営主体のあり方(直営継続か団体委託か)が今後の論点です。会計年度任用職員は単年度任用が原則のため、優れた指導者を継続確保する仕組みづくりも持続可能性の鍵になります。

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