トップ 事例を探す 静岡県 【事例】静岡県焼津市の部活動地域展開 ─ 令和7年度34地域クラブ660名参加・レクスポ焼津/やいづ海洋クラブなど特色種目の独自展開
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 静岡県

【事例】静岡県焼津市の部活動地域展開 ─ 令和7年度34地域クラブ660名参加・レクスポ焼津/やいづ海洋クラブなど特色種目の独自展開

公開:2026.07.10 更新:2026.07.10
この記事でわかること

・焼津市地域クラブ活動のR7年度34クラブ660名参加の実データと運営体制
・レクスポ焼津・やいづ海洋クラブなど地域資源を活かした特色クラブの設計
・R8年度に予定されている文化系拡大(合唱・英語・デザイン・スケートボード等)の内容

自治体名 静岡県焼津市
人口規模 約13.5万人(2024年時点)
中学校数 市立中学校6校
運営形態 焼津市教育委員会(学校教育課【きぼう】が事務局)が34の任意団体・既存クラブと連携する認定型
対象競技 34クラブ/柔道・剣道・相撲・ニュースポーツ・海洋体験・陸上・テニス・卓球・水泳・トランポリン・レスリング・eスポーツ・バレエ・よさこい・フラダンス・書道・バレーボール・軟式野球・サッカー・バスケットボール・ボーイスカウト・カンフー・総合型・吹奏楽
保護者負担額 クラブごとに設定(R8年度開設予定の文化系は月謝3,000円が中心/会費なしの試行も含む)

取り組みの概要

焼津市は令和4年度に5種目で「焼津市地域クラブ活動」を開始し、令和5年度12種目、令和6年度17種目、そして令和7年度は34クラブ660名の生徒が加入する規模まで拡大しました。指導者は162名(うち教員は35名)が登録されており、令和7年度夏の中体連以降、休日の学校部活動を段階的に終了して地域クラブへ移行する段階に入っています。既存事例[「任意団体・既存クラブとの連携で34種目に拡大」](https://hitonova.com/case/【事例】静岡県焼津市の部活動地域展開-─-任意-2/)(ID:441)が制度の全体像を扱っているのに対し、本記事はR7年度末時点の実データと、R8年度に予定されている文化系拡大・特色種目に焦点を当てます。

特徴的な取り組み

  • 「レクスポ焼津」(15名)─ 全国でも珍しいニュースポーツ特化型クラブ: ワンバウンドふらばーる・スポレック・ターゲットバードゴルフ・モルック等、生涯スポーツにつながる種目を中学生が体験できる形で運営。従来の学校部活動では扱いにくかった競技をあえて地域クラブ側で受け皿にしています。
  • 「やいづ海洋クラブ」(19名)─ 海に面した焼津ならではの体験型クラブ: カヌー・ボート漕艇・生き物教室・シュノーケリングなど海洋体験を初心者向けに提供。地域資源を活かした固有性の高いクラブで、他地域では再現困難なローカル特色を制度に組み込んでいます。
  • R8年度から文化系クラブを拡大予定: 合唱(焼津高校拠点・月謝3,000円)/英語コミュニケーション(English Learners’拠点・月謝3,000〜5,000円)/デザイン・メディア編集(みんなの公民館まる拠点・月3,000円)/ストリートダンス(STUDIO BREATHE拠点)/スケートボード(ふぃしゅーなスケートパーク・ムラサキスポーツ連携)を新規開設予定。地域施設・民間事業者との連携が具体化しています。
  • 大人数クラブと小人数クラブの共存: 焼津ジュニアテニスクラブ90名・焼津バレーボールクラブ女子72名などの大規模クラブと、静岡ジュニアレスリング3名・書学クラブ9名などのニッチクラブが同じ制度上で共存。生徒の関心の多様性を受け止める形で設計されています。
  • 「地域クラブ活動在り方検討委員会」による段階的推進: スポーツ課・文化振興課・スマイルライフ推進課の3課横断で検討委員会を運営し、R10年度以降の組織体制も市として準備中。行政の縦割りを超えた合意形成が進んでいます。

課題と解決策

課題 解決策
加入者0名クラブが3クラブ(焼津フラダンスクラブMaile・やいづカンフークラブ・みんなのASOBI)存在し、周知不足や需要とのミスマッチが顕在化 R8年度開設予定クラブでは、地域資源(焼津高校・スケートパーク・公民館・民間スタジオ)を活動拠点に指定し、生徒が場所からクラブを選びやすい形に設計。
令和10年度以降の平日移行に向けた組織体制が未整備 スマイルライフ推進課を検討委員会に追加(R6年度〜)し、教育・スポーツ・文化の3領域横断で組織設計を市として進行中。
指導者162名中35名が教員で、教員兼職依存が残る 綱引き協会・吟剣詩舞振興会・書道連盟等の代表者と個別に打合せを実施し、外部指導者の裾野を広げる方向で調整中。

成果・効果

R4年度5種目→R5年度12種目→R6年度17種目→R7年度34種目と、4年間で7倍近くまでクラブ数を拡大しています。加入生徒は660名に達し、指導者162名を確保。特にレクスポ焼津・やいづ海洋クラブは、既存の学校部活動では実施が困難だった種目を地域クラブ側で受け皿として構築した好例で、「学校でできなかった体験を地域で得られる」という地域展開本来の価値を体現しています。R7年度夏の中体連以降は休日の学校部活動が地域クラブへ移行しており、実運用段階に到達しました。

出典

→ 原文1: 焼津市教育部学校教育課「部活動と地域クラブ活動について(R7.8.28)」

→ 原文2: 焼津市「令和6年度に実施する『焼津市地域クラブ活動』」

→ 関連事例: 焼津市の部活動地域展開 ─ 任意団体・既存クラブとの連携で34種目に拡大(R6年度時点)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

焼津市の事例で特徴的なのは、「学校部活動にはなかった種目」を地域クラブ側で新設している点です。レクスポ焼津のニュースポーツ、やいづ海洋クラブの海洋体験、eスポーツ、スケートボードなど、地域展開を「学校部活動の移し替え」ではなく「体験の拡張」として設計しています。34クラブ660名という規模で運営できているのは、教育委員会が「制度の枠組み」を用意し、任意団体・民間事業者・地域施設が「中身」を担う分業が機能しているからです。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「学校部活動の移し替え型」で地域展開を進めている自治体が多い中、焼津市のように「体験の拡張型」に踏み込むには、地域資源の棚卸しが不可欠です。海に面していない自治体でも、地元産業・大学・NPO・民間事業者との連携で独自クラブを設計できます。ただし加入者0名クラブが3つ存在するように、需要とのミスマッチは付き物で、生徒アンケートの併用が必要です。文化系拡大時の月謝3,000〜5,000円は運営費として現実的ですが、経済的困窮世帯への支援制度が別途必要になる論点です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

任意団体・既存クラブとの連携型のため、認定要件と指導者研修の質担保が長期的な焦点になります。教員35名が地域クラブ指導者として登録されている点は移行期の柔軟性として評価できる一方、R10年度以降の平日移行では教員依存の縮小が必要で、外部指導者162名の質保証と処遇設計が持続可能性の鍵です。3課横断委員会という組織設計は、部活動地域展開が福祉・文化・スポーツにまたがるテーマであることを反映した先進的な仕組みです。

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