トップ 事例を探す 秋田県 【事例】秋田県横手市の部活動地域展開 ─ 認定地域クラブ制度と「地域展開だより」25号の継続発信で進める段階移行
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 秋田県

【事例】秋田県横手市の部活動地域展開 ─ 認定地域クラブ制度と「地域展開だより」25号の継続発信で進める段階移行

公開:2026.07.29 更新:2026.07.29
この記事でわかること

・「横手市認定地域クラブ」制度と活動場所・指導者・大会派遣費の3点支援の仕組み
・競技団体の教室や演劇ワークショップまで含めた休日受け皿の具体例と会費の実額
・「部活動地域展開だより」年10号ペースの発信で保護者の不安に先回りする広報運用

自治体名 秋田県横手市
人口規模 約8.1万人(2024年時点)
中学校数 6校(南中・北中・増田中・平鹿中・横手明峰中・十文字中)
運営形態 市の地域クラブ活動認定制度のもと、スポーツ少年団・競技団体等が実施主体(市は活動場所確保・指導者配置・大会派遣費補助で支援)
対象競技 バドミントン、ソフトテニス、剣道、陸上、バレーボール、演劇 ほか(順次拡大)
保護者負担額 クラブごとに設定(認定クラブ例: バドミントン月5,000円、ソフトテニス入会費10,000円+月4,000円/剣道稽古会 会費1,000円、陸上教室 会費3,000円/演劇ワークショップは参加無料+保険料50円×回数)

取り組みの概要

横手市は、国の改革推進期間(令和5〜7年度)に続く令和8〜13年度を改革実行期間(前期・後期各3年)と位置づけ、市立中学校6校の部活動地域展開を段階的に進めています。令和6年12月24日に準備委員会を発足させ、令和7年5月8日に「横手市部活動地域展開等推進協議会」の第1回会合を開催。令和7年4月に「部活動の在り方に関する方針」を、令和8年4月には「部活動の在り方及び地域クラブ活動の推進に関する方針」を策定し、「横手市部活動地域展開推進計画」とあわせて公開しています。当面の間は学校部活動と地域クラブが併存し、平日の部活動はこれまでどおり継続する方針です。令和6年8〜9月には小学6年生・中学1〜2年生・保護者・中学校教職員を対象としたアンケート調査を実施し、結果を公表しています。

特徴的な取り組み

  • 地域クラブ活動認定制度: 一定の要件を満たすクラブを「横手市認定地域クラブ」として認定し、活動場所の確保・指導者の配置・大会派遣費補助で支援。令和8年4月現在、横手バドミントンジュニア(小1〜中3対象)、J.Smash・大森STC(いずれもソフトテニス・中学生対象)の3クラブが認定されています。
  • 競技団体主導の休日地域展開: 認定クラブとは別に、横手市剣道連盟による「横手中学生剣道稽古会」、横手市陸上競技協会による「横手ジュニアハイ陸上競技教室」、横手市バレーボール協会による「YVAクラブU15」が休日の受け皿として活動しています。
  • 文化部の受け皿も具体化: 劇団「かんじき」による中学生向け演劇ワークショップを令和8年夏に5回開催(参加無料・保険料のみ)。運動部に偏らない地域展開を実践しています。
  • 「部活動地域展開だより」で継続発信: 令和6年度10号・令和7年度10号・令和8年度5号(7月時点)と、進捗・成果・課題を市公式サイトでタイムリーに公開。保護者・地域への情報格差を埋める広報を制度運用とセットで続けています。
  • 合同部活動・拠点校部活動の併用: 複数校の生徒による合同部活動と、希望する部活動が自校に無い生徒を他校が受け入れる拠点校部活動を地域連携の手法として位置づけています。

課題と解決策

課題 解決策
受け皿クラブの数と質の確保 認定制度で要件を明確化し、認定クラブには活動場所確保・指導者配置・大会派遣費補助の3点支援を提供
自校に希望する部活動が無い生徒の活動機会 合同部活動・拠点校部活動を制度化し、学校部活動の枠内でも複数校連携で機会を保障
教職員が地域クラブで指導する際の身分・報酬 地方公務員法第38条等に基づく兼職兼業許可制を整備し、報酬を得る場合は新たな雇用契約を締結
保護者・地域への情報不足と不安 「部活動地域展開だより」を年10号ペースで発行し、アンケート結果も公表して合意形成を継続

成果・効果

令和8年4月時点で認定地域クラブ3団体が稼働し、剣道・陸上・バレーボール・演劇を加えた6分野以上で休日の受け皿が具体化しています。会費はクラブごとに公開されており(月5,000円のバドミントンから参加無料の演劇ワークショップまで)、保護者が費用を比較して選べる透明性が確保されています。準備委員会から協議会第2回(令和8年2月10日)まで会議体の開催実績も公表されており、改革実行期間の前期(令和8〜10年度)に向けた推進体制が整った段階です。

出典

→ 原文: 横手市公式サイト「部活動地域展開」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

横手市の強みは「情報発信を制度の一部にしている」ことです。部活動地域展開だよりを年10号ペースで3年目まで刊行し、協議会の開催実績、アンケート結果、認定クラブの会費までウェブで公開しています。地域移行は保護者の不安(費用・送迎・指導の質)との闘いであり、情報の非対称性を放置すると反発が先に立ちます。加えて、認定クラブの月5,000円から演劇ワークショップの無料までクラブごとの費用を並べて見せることで、「地域移行=負担増」という単純化を避け、選択肢の幅として提示できている点は、広報に悩む自治体がまず真似すべき運用です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

競技団体・スポーツ少年団を実施主体とする方式は、既存団体の指導文化がそのまま持ち込まれるリスクと、団体が無い種目の空白が課題になります。横手市は認定制度で要件を課して質を担保しつつ、認定枠外でも剣道連盟・陸上競技協会・バレーボール協会の教室を「休日の地域展開」として並走させる二段構えでカバー範囲を広げています。会費もクラブ間で月5,000円から1,000円台まで幅があるため、導入時は費用差が参加格差にならないよう、横手市のような大会派遣費補助や困窮世帯向け支援の設計を先に決めておくことが重要です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

準備委員会→協議会→方針改定(令和7年4月→令和8年4月)という意思決定の履歴が公開されており、プロセスの透明性は高い水準です。財源は受益者負担(会費)を軸に市が場所・指導者・大会派遣費で側面支援する分担型で、市費依存が浅い分、制度としての持続性は見込めます。一方、認定クラブはまだ3団体で種目の空白も残るため、改革実行期間前期(令和8〜10年度)でどこまで認定数を積み増せるかが次の評価点になります。

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