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【事例】滋賀県豊郷町の部活動地域展開 ─ 生徒209人の町が4つの行動目標と4クラブでモデル事業を開始

公開:2026.07.28 更新:2026.07.28
この記事でわかること

・生徒209人の豊郷町が4つの行動目標で地域展開のモデル事業を始めた段取り
・サッカー・剣道・バレー・多種目スクールの4クラブを町教委が支援する体制
・小規模町村が直面する受け皿団体の弱体化と担い手確保の論点

自治体名 滋賀県豊郷町
人口規模 約0.7万人(2020年国勢調査)
中学校数 1校(豊日中学校・全生徒数209人)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ・スポーツ少年団・クラブチームが受け皿(町教委が地域移行検討協議会を設置し運営団体を支援)
対象競技 バレーボール、サッカー、剣道、多種目(スポーツスクール)
保護者負担額 参加会費800円/年(サッカー・剣道は別会費あり・令和6年度実証事業時点)

取り組みの概要

豊郷町は中学校が豊日中学校1校(生徒209人・10部活動)のみの町です。少子化が進む中、「学校単位」で「教員が指導」する仕組みが持続可能でないことを踏まえ、生徒が地域でスポーツ・文化活動に親しめる環境を新たに構築していく必要性を、中学校部活動を取り巻く多様な関係者にまず理解を得るところから取組を始めました。

地域移行検討協議会では、①地域連携協議会の設置、②児童・生徒及び保護者のアンケートから実態を把握、③広報による町民への周知、④令和6年度からモデル事業を開始──という4つの行動目標を決定し、具体的な方策や取り組みに着手。町から必要な経費についての予算措置も獲得しました。

特徴的な取り組み

  • 4つの行動目標による段取りの明確化: 協議会設置・アンケートによる実態把握・広報周知・モデル事業開始という手順を先に決め、着実に実行する進め方を採っています。
  • 4クラブの同時展開: サッカークラブ、剣道教室クラブ、バレーボールクラブ、スポーツスクール(NPO法人アザックとよさと)の4つの受け皿を整備し、教育委員会・検討協議会が運営団体を支援する体制を構築しました。
  • 低廉な参加会費設定: 参加会費は年800円(サッカー・剣道は別会費あり)で、活動場所は豊日中学校・町武道館・町民体育館を活用しています。
  • 率直な課題発信: 成果報告書では「『地域や学校の実情に応じて』という決まり文句ではなく、今こそ明確なゴールとロードマップを子どもたちに示すのが大人の責任」と、国の進め方への率直な問題提起も行っています。

課題と解決策

課題 解決策
学校単位・教員指導の仕組みが持続不可能 総合型クラブ・スポ少・クラブチーム・NPO法人の4クラブを受け皿とするモデル事業を令和6年度から開始
町内スポーツ団体・文化活動組織の弱体化傾向 教育委員会と検討協議会が運営団体を支援する体制を構築し、町から必要経費の予算措置を獲得
関係者の意識変革 アンケートによる実態把握と広報による町民への周知を行動目標に掲げ、理解醸成を先行

成果・効果

令和6年度実証事業では4クラブが月4回活動し、指導者13人・運営スタッフ14人の体制で、年間平均参加生徒実数はクラブ当たり3年生8人・2年生9人・1年生9人でした。実証事業2年目の振り返りとして、町は「教員の時間外労働の減少や少子化対策を目的に部活動改革を行うことは少し無理があるように感じる」とした上で、「明確なゴールとロードマップを子どもたちに示すのが大人の責任」と述べ、今後は取組を円滑に普及するため中学校と受け皿団体との一層の連携を進めるとしています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 概要・滋賀県(スポーツ庁)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

豊郷町の事例が持つ最大の価値は、生徒209人という全国最小クラスの規模でも、行動目標を4つに絞れば地域展開が動き出せることを示した点です。協議会設置→アンケート→周知→モデル事業という順序は、どの自治体にも当てはまる汎用的な段取りです。さらに注目すべきは、成果報告書に「教員の働き方改革や少子化対策を目的とした部活動改革には無理がある」「明確なゴールとロードマップを子どもたちに示すのが大人の責任」という率直な問題提起を記した誠実さです。現場の実感を隠さず発信する姿勢は、同規模の町村関係者にとって大きな示唆となります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

小規模町村での最大のハードルは、豊郷町自身も挙げる「地域団体の弱体化」です。受け皿になり得るスポーツ団体や文化活動組織自体が細っている地域では、4クラブ同時展開は容易ではありません。移植する際は、NPO法人アザックとよさとのような多種目型スポーツスクールを1つ確保し、単一種目クラブが立ち上がらない競技の受け皿として機能させる構成が参考になります。また、予算措置を協議会の行動目標達成とセットで獲得した進め方は、財政部局への説明材料づくりとしても有効です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

教育委員会・検討協議会・運営団体の三層構造で責任分担が整理され、アンケートと広報による住民への説明を先行させた進め方は、透明性の高い合意形成プロセスとして評価できます。年800円という会費は参加障壁を下げる一方、運営の大半を公費と担い手の善意に依存する構造であり、団体の弱体化傾向と併せると担い手の持続性が中長期の課題です。町が指摘する「明確なゴールとロードマップ」の提示は、国・県の制度設計側にも問われている論点といえます。

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