トップ 事例を探す 滋賀県 【事例】滋賀県竜王町の部活動地域展開 ─ 生徒会との交流会で当事者の声を聞く合意形成と「竜中クラブネットワーク」構想
バスケットボール 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 滋賀県

【事例】滋賀県竜王町の部活動地域展開 ─ 生徒会との交流会で当事者の声を聞く合意形成と「竜中クラブネットワーク」構想

公開:2026.07.28 更新:2026.07.28
この記事でわかること

・竜王町が生徒会との交流会で中学生の声を聞きながら合意形成を進める方法
・総合型クラブ・スポ少・町内企業を束ねる「竜中クラブネットワーク」構想の中身
・運営費の捻出と有償化への理解という小規模町共通の課題への向き合い方

自治体名 滋賀県竜王町
人口規模 約1.2万人(2020年国勢調査)
中学校数 1校(竜王中学校・全生徒数339人)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ・スポーツ少年団が受け皿(町教委が部活動地域移行検討協議会を設置、部活動コーディネーター配置)
対象競技 男子バスケットボール、バレーボール
保護者負担額 参加会費0円/年(令和6年度実証事業時点)

取り組みの概要

竜王町は中学校が竜王中学校1校のみの町で、昨年度生まれた子どもたちが中学校に入学する12年後には、生徒数が40%以上減少することが見込まれています。現時点でも生徒数の減少により部活動の数を減らさざるを得ず、教員数の減少に伴い部活動の顧問を担う教員の確保も難しくなっています。

こうした状況を受けて町は「部活動地域移行検討協議会」を設置して定期開催し、総合型地域スポーツクラブとスポーツ少年団を受け皿とする地域クラブ活動(男子バスケットボール・バレーボールの2クラブ)を実証事業として実施。竜王中学校・スポーツ少年団・ドラゴンスポーツクラブ・スポーツ協会・スポーツ推進委員会・町内企業をつなぐ「(仮称)竜中クラブネットワーク」の構想も描いています。

特徴的な取り組み

  • 生徒会との交流会による当事者参加: 部活動の地域移行に向けた意見を、活動の主役である生徒たち自身から聞く交流会を実施しています。
  • 職員会議での理解促進: 竜王中学校の職員会議において地域移行に向けた資料を提示し、教職員の理解を推進しました。
  • 「地域移行から地域展開へ」のイメージ図作成: 移行の全体像を可視化したイメージ図を作成し、関係者の理解促進に努めています。
  • 町ぐるみのネットワーク構想: 学校・スポ少・総合型クラブ・スポーツ協会・スポーツ推進委員会に町内企業まで含めた「(仮称)竜中クラブネットワーク」を構想し、1校しかない中学校を町全体で支える体制を目指しています。

課題と解決策

課題 解決策
12年後に生徒数が40%以上減少する見込み 総合型地域スポーツクラブ・スポーツ少年団を受け皿に、学校単独に依存しない活動体制を整備
地域指導者への賃金・謝礼など運営費の捻出 検討協議会で費用の在り方を継続協議(実証事業では公費活用により参加会費0円で実施)
無償に近かった運営費の有償化への理解 生徒会との交流会・職員会議での資料提示・イメージ図作成など、段階的な理解促進活動を展開

成果・効果

令和6年度実証事業では、男子バスケットボール・バレーボールの2クラブが竜王中学校を会場に月4回活動し、参加会費は年0円。年間平均参加生徒実数はクラブ当たり3年生5人・2年生7人・1年生5人でした。指導者は地域連携を含む8人、運営スタッフは顧問・ボランティアを含む35人と、小規模町ながら厚い支援体制を構築しています。スポーツ庁の成果報告書では、検討協議会の定期開催、生徒会との交流会、職員会議での理解推進、イメージ図による周知の4点が取組成果として挙げられています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 概要・滋賀県(スポーツ庁)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

竜王町の事例で最も注目すべきは、生徒会との交流会という「当事者参加」の仕組みです。部活動改革の議論は大人(教員・保護者・行政・指導者)だけで進みがちですが、活動の主役である中学生自身の意見を聞く場を正式に設けた自治体はまだ少数派です。中学校1校の町だからこそ、生徒・教職員・地域団体の顔が見える距離感を活かし、イメージ図や職員会議資料といった「伝わる形」での情報共有を重ねている点は、合意形成の丁寧さという意味で規模を問わず参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

竜王町自身が率直に挙げているとおり、最大のハードルは運営費です。指導者への賃金・謝礼の捻出は小規模自治体ほど重く、「これまで無償に近かった部活動の有償化」への保護者理解も一朝一夕には進みません。移植する際は、実証事業期間中の無償運営をゴールにせず、早い段階で「将来の会費水準」の目安を示して段階的に導入することが望まれます。また、生徒会交流会は準備コストが低く効果が高い取り組みのため、協議会設置と同時に始めることをおすすめします。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

検討協議会の定期開催と、学校・スポ少・総合型クラブ・スポーツ協会・町内企業を束ねるネットワーク構想は、小規模町の総働型ガバナンスとして妥当な設計です。運営スタッフ35人という参画の厚さも町ぐるみの推進を裏付けます。一方、参加会費0円の現状は公費依存であり、町も運営費の捻出と有償化への理解を明確に課題と位置付けています。ネットワーク構想に町内企業が含まれている点は、協賛など財源多様化への布石として今後の展開が注目されます。

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